ネットレーベル振り返り(00s後期)

2006〜09あたりのネットレーベルをおれ視点で振り返ります。

ふと、そーいえば大好きだったVernon LeNoirって、Chinstrapからのアルバム(2011)以降に曲出してないのかな、と検索したら、Ukataという知らない名義でのアルバムが上がってた。​

uploadされたのは4年前だけど、アルバムのリリースは2003年。かなり"あの頃感"あっていいなあ……もうfileでは手に入らないのかなあ……

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なんか懐かしくなったので、自分が昔追っていた「ゼロ年代ネットレーベル」を改めて見回ってみた。

一時期、soundcloudとかのfollowやメーリスのSubscribeを解除しまくっちゃったせいで、最近の動きがほぼわかってなかった。

しかし、意外と活動継続中のところが多い! 愛しいぜ…… 勝手に過去のことにしないで紹介していきます。いっぱい書くぞ〜〜

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まずUpitupは今年もリリース継続中!

フランス、Tracky Birthdayのレーベルで、ユルめな宅録電子音楽中心に、Goto80のバンド録音から、RephlexのGlobal Goonも名を連ねる。日本勢だとサタポ、Satoshi & Makotoが出したり、Joseph Nothingもコンピ参加し てたり。

好きなリリースはやはり、音楽教育番組なども手掛けるTracky Birthdayと、たのしいサンプリングがLuke Vibertにも通じるVernon LeNoir

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Bedroom Researchも今年もやってる!

フランス、Deeworkらのレーベル。IDMやシンセデザインもの中心で、Digi G'Alessio(Clap!Clap!)の様々な過去作やユニットも残ってる。

おすすめは、トンチキ躁で隠れファンの多いTepや、King Deluxeからも出してるBraindanceなFlatland Sound Studioがイイ!

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Vaaticanは今年、どころか連日更新中。10周年アカウントもできてる。

フランスのアングラ、スカムグリッチ感のあるレーベル(ほんとうか?)。サタポを追って辿り着いたはずだが、深淵なのでおれはあんまりわかってなくて、今見直してみたらQebrusやAirborne Drumz、Michel Bananes Jr.にDim Dimまで居たのか。

好きなやつは、Ugh氏のこれの#4、#5とかDJで使ってたな〜、あとサイトがこわいね。

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Da!Heard Itも先月も出てるねえ。

フランスのレーベル。ここまで全部フランスじゃんか! Chiptuneに片足置きつつ宅録パンクなアプローチ……みたいのってネットレーベルっぽい。

Eat RabbitにGoto80らChiptuneサイドと、[GUŸÔM]やPuyo Puyoらトイ畑からの宅録シンセものや、Wankers Unitedのリリースもある。

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Love Love Recordsは来月にSi Beggのリリースを控えてるようだ。

イギリスのレーベルで、いつだったか一回旧譜を消してリスタートした気がする。昔はBreakcore中心、最近はBraindance〜Acidな感じが多い。

なんと言ってもweyheyhey !!の超絶名作『Harlott』の1曲目は涙なしには聴けない…… 今はRuby My Dear名義でIgorrrと双璧をなすDoc Colibriも、高密度かつ暴力的ブレイクコアのBeatwifeも好きだなー。

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MonsterK7も昨年末にリリースしている。

フランスのトイミュージックのレーベル。Carton SonoreやKlimpereiを中心にトイポップの作品や、ボリューム大なコンピをカセット等で出してる。コンピにはLullatoneやTwinkらもチラリと……

Artuan De Lierréeにはメチャメチャ影響をうけた。トイピアノ小品から、オルタナロックっぽいアプローチ、安価なアナログシンセを合わせたソロセッションまで、やってることも曲の内容も全部好き…… 中でも好きな曲のライブ観て……↓


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Bit-Phalanxも続けてて、Coppéの新譜は毎度こっちからも出てる。当時は速い曲ばっかり好きだったからIJOのDrill'n Bassとか聴いてたな。

Cock Rock Discoが5年前に復活してたのはブレイクコア周りでは衆知でしょう。Jason Forrestの去年のアルバムもクソ良かったな……全リリース語り甲斐があるのであえてブレイクコア以外でいうと、Bong-Raのレイブ名義のGlowstyxとか、グリッチを最大限おマヌケに扱うDon Augustoが大好き。

Ego TwisterはオーナーYan Hart-Lemonnierの個人レーベルとして生存してる。今年のアルバム?でも愉快にやっている。

ProotはオーナーのThiaz Itchが変わらずトイポップ、マヌケトロニカな作品を出しつつ、昨年ISTOTA SSĄCAと合同で出したコンピにはおれことHercelotも参加している!!! Prootに参加するの夢だったんよ〜

いまだにレーベルカラーがよくわかってないけど総じて高クオリティでシリアスなことはわかるAcroplaneも健在。Optiのビート作品好きだったなー

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止まってしまっていたレーベルだと、52組のアーティストが曲をバトンしていく企画などをやっていたPeppermill。おれが好きな音楽家トップ3に挙げるGangpol & Mitもこの企画で知ったのだった……

あとアシッド系テクノなどを多く出してたThe Centrifuge。今やPlanet-μアーティストのThe Gasmanや、BPM280メロディックドリルンベースなど発想が変なのに綺麗なCarl Brownとかを聴いてた。

ad noiseam, WM, Chinstrap, Digital Vomitあたりも止まってた。そういうこともある。Bad Sektaはメーリスオンリーレーベルとして生きている噂もある。

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2010以降のネットレーベルだと、Bandcampベースでインストヒップホップビートやダウンテンポなテイストのものが一気に増えて(FlyLoやLow End Theory的な流れもあったと思う)、自分の興味もガッツリそっちだった。

今、SATURATE!はむしろ最新・極北なグリッチビート/ベースをどんどん出してるし、Outlierはoddlogicの独壇場。Gergazは変でいい感じのバンドを教えてくれるし、Astro Nauticoもビートから離れたことでヤバリリースが加速してる(Pulgasを教えてくれてありがとう)。Activia Benzもリリースが強すぎてなんの心配もいらない。当然Project Mooncircleも15周年をバッチリ祝ってからSubmerse新譜が控えてるし、Caoutchou, Care PackageUrban WavesCascadeあたりも続行中。KEATSも実は長いよね、とか。Stereopticoはダウンロード配信やめちゃったんだな、とか。

MAD-HOPerror-broadcast, Civil Music, Dropping Gemsは微妙なラインかな…… Grappa Frisbee, Ritmo Spotivo, Broken Bubbleはちょっと終わってしまった感じがする。Jellyfishも止まってるけど、Potatohead Peopleの二人がBastard JazzでガンガンやってるのでOK。

ビート以外だとB.YRSLF divisionが意外と止まってたり、Darling Dadaが惜しまれつつ(主におれに)終わってしまったり。

う〜ん、こんだけ箇条書きみたく書き連ねても、まだ半分残ってるわ……iTunesみながら「あーあったあった!」って言いまくってる。でも思い入れあるのはもう書けたから、つかれたし、いいや

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しかしこうして振り返ってなにがダメって、おれこういう流れを当時見てたし、その頃から曲作ってたのに、Maltine以外ほとんど参加してないんだよね。勿体無い。

いつまでもあると思うなレーベル。あると思うなムードとブーム。そういえば、Out of Dotsが開催されてた時期に東京で暮らしてたのってメッチャ贅沢な思いできてたんだなって、最近改めて思ったりしてる。よくよく考えたらすげえことだよな……

日本のネットレーベルでゼロ年代から生きてるのって、マルチネとBump Footと鯖缶と……2010〜ならトレッキーやセラミックやAnythingにOmantic、レーベル兼同人サークルも数えたらいっぱいあるか。

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「続けることが大事」とはよく言いますが、「何のために大事なのか」は場合によるので、続けないのがダメとも言えない。エバーグリーンなものの良さとは別に、時代の徒花に終わるようなものも特有の味がするもんです。

ただ、単に続いてるものを見ると嬉しい感情が生じることが、今日は、わかりました〜

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