鍵盤弾けん奴が省スペースMIDI鍵のこと言う

2019年10月時点

●この記事のメインターゲット
 「別にピアノとか全然ひけねーし、そういう音楽やってるわけでもない、マウスでだいたいできちゃってるんだけど、ちょっとMIDI鍵にも興味あるな」ぐらいの人。

●これを書いている私
 「生楽器が一切できない。メロディの強い音楽もやらないが、コード考えるのは好き。フレーズづくりはマウスでポチポチと……」でダラダラと10数年やっています。

 そんな自分でも、鍵盤を適当にペラっと触るとイメージが湧いたりするもんです。毎度使うわけではないけど「あるとまあいい」。
 でも多用しないので、あんまり部屋を占拠してほしくはない。ギターとかと違って基本、平たい場所に置いとく必要があるんですよね……


 さてじゃあどれを買えばいいのか? いろんな製品があり、比較するのも大変です。

 なので、どんなチェックポイントがあるかを解説します。
 チェックポイントを知っておけば、「この機能はほしいな、この仕様はべつにどうでもいいな」って優先度をつけていけるし、選ぶのが少し楽になるかも。

 「いいから具体的にお薦め商品を教えて!」って気持ちもわかるけど、残念ながらそういう記事じゃありません〜。すまん。理由は最後にかいた。そういう記事は他所にいっぱいあるよ。


鍵盤数

 鍵盤数とMIDI打ち込み用途に関する目安は以下です。

  • 25鍵:メロディ・フレーズをサクッと作れます

  • 37鍵:和音進行を考えやすいです

  • 49鍵:さらにボイシングを気にしながら和音がいけます

  • 61鍵以上:演奏がいけてきます

 ……さてあなたはどこまでやりたいでしょうか? 目的に合わせて目処をつけましょう。鍵盤数が多いほど色々できるけど、デカくて場所をとります。

 世の製品では、省スペースならやはり25が人気! 37も選択肢が多いです。49はあんまりないです。61以上はお値段も張るしデカイけど、鍵盤の質も上がってきます。
(ちなみに鍵盤数って大体、12n+1になってます。鍵盤並べる時にドで始まってドで終わるようにすると、1オクターブが12鍵あるから。たまに32鍵とかもあるけどね。)

 おれの場合:49鍵を選びました。「和音探すのにMIDI鍵使いたい。シンセを鳴らすのでオープンボイシングも気にしたい。編集は後からチマチマやるんでザックリ触れればいい」から。


鍵盤の質

 高級なやつだと、ピアノの感触再現に自信あり!な鍵盤もあります。ガシガシ弾く人は実際に試奏しましょう。おれは「楽器弾けないし感触はどうでもいいわ」と試奏しませんでした。

 どうでもいい派の人にも大事なのは「鍵盤ひとつひとつの大きさ」です。大別して3択あります。(呼び方は各社あると思いますが…… )

  • 標準鍵:ピアノとだいたい同じ

  • スリム鍵:主に横幅が狭くなってる

  • ミニ鍵:縦幅もガッツリ小さくなってる

 弾かない人におすすめするのはスリム鍵です。
 ピアノサイズの鍵盤って、素人が片手で1オクターブ離れた鍵盤を押さえるのも難しいんですよね。横幅がスリムだと和音を押さえるのがグンとラクになります。
(でも、これに慣れると標準鍵への慣れがちょい遠のくので、"ほんとはピアノ弾けたい"人は少し注意)

 世の「25鍵の省スペース製品」は大体ミニ鍵です。縦幅もちっちゃいと和音を押さえるのはつらくなりますが、メロディ探しとかでは問題ないでしょう。


ノブ・スライダー・パッドなど

 ノブやスライダーがついている製品も多いです。シンセのフィルターとか、ディレイとかをリアルタイムでいじるのは楽しいですよね。引き換えに製品サイズがデカくなります
 おれはとにかく省スペースが大事だったので、ノブの一切ないものを買いました。


 ノブのうまみは基本、シンセいじりをリアルタイムで記録していけることです。更にものによっては、動きの記録だけじゃなくて音色づくりにも役立ちます。NI社 (Native Instruments) のNKSという規格なんかはそれをよくサポートしてくれます。

 「このノブを回したら、パソコン側のこのパラメータが動く」を紐付けるのってふつう手作業です。1つ2つの手作業ならどうってことないけど、「シンセの音色づくりしたいから、できるだけ全部動かせるようにしたい!!」となるとかなり面倒ですよね。違う曲を作るたびにそんな作業したくない。

 そこで、NKSって規格に対応しているMIDIコンとプラグインの組合せなら、ぜんぶの紐付けを自動でやっといてくれます。オートマッピング。
 NI社のMIDI鍵はそこそこ高級路線ですが、2万円を切るラインナップもあります(あんまり省スペースではないです)。

 NKS以外も、各社オートマッピングの工夫は頑張ってるようですが、これぞ!ってのはまだ少ないかも(Abletonは比較的イイかな、PushとかAPCとか)。


音源つき

 MIDI鍵というのはそもそも、それ自体が音を鳴らすことはできず、あくまでパソコンやMIDI音源のコントローラーでしかないわけです。

 しかし、曲を作っていて終盤、トラック数もプラグイン数もギリギリになってから「ドレミの確認だけしたいけど、動作が重たくてダルい……」シチュエーションもあります。

 そこで「単体でも鳴るシンセやキーボードを買って、基本的にはMIDIコンとして使う。場合に応じて単体でも鳴らす」もおおいにアリです。大抵のキーボードにはMIDI端子やUSB端子があります。
 DAWを介さず鳴らせる、もっと言えばパソコンを点けてなくても弾けるというのは意外と便利です。スピーカー内蔵は更に取り回しがよいです。金額はややかさむけど。

 おれはノートPCがメインマシンで、よく持ち運ぶので、「パソコンに繋がなくても鳴らせる鍵盤」はうれしい。そういう確認用の鍵盤はMIDI鍵とは別にもう一個買いました。


接続方法

 今どきのMIDI鍵はほとんど"USB-MIDI"で繋げられます。USB一本でパソコンに繋げば面倒事なしにすぐ使えるってこと。

 MIDI鍵じゃなくてさっき言ったみたいな、音源付きキーボードを買うときは、意外とUSB端子が無いケースもあるのでよく確認しましょう。
 代わりに、昔ながらのMIDI端子(でかくてまるいやつ)は大体ある。この端子でパソコンと繋げる場合は、MIDIインターフェースという専用機器を介する必要があります。
 Amazonで1700円くらいからある。激安ので600円とか? 変にトラブルでまごつくくらいならお金出したほうがいい気持ちと、別にハードオフに転がってる中古品でも大して問題ない気持ちもある。

 また、Bluetoothで無線で使えるMIDI鍵もあります。配線しなくてもいいのは便利で、友達を家に呼んで共作する時なんかいいかも。
 一方、有線よりは10msくらいラグいのと、電池の消耗を気にする必要があるので、「いつも部屋の定位置に鍵盤を置いとくつもりの人」にはあんま意味ないかも。


見た目

 堅牢なシャーシに、軸ブレの小さいノブ、ほぼかっこよさだけの木製サイドパネル……ノブが光れば暗所でも使いやすいし、鍵盤がカラフルにぴかぴか光るものもある。機材はブラックで統一する派? 鍵盤はどうしても白ベースになる、と思うと白黒逆転の鍵盤もあったり…… 白プラスチックは黄ばむかな?

 このへんはもう、各々の好みで選ぶっきゃないです。インテリアとして作業区画の雰囲気にそぐうかどうか。ブツとして気に入るってのは制作テンションを上げる上で大事。一方で、コストと機能だけ重視するのもそれはそれでイイし、使わない時は仕舞うって手もあります。

 しかしまあ、MIDI鍵盤ってそもそもが安価なアイテムがちです。見た目の質感にそんなにこだわってないものと、こだわる代わりに機能も盛られて高額!なものに2極化してるかも。
 だから、ちょっくらMIDI鍵ほしいな〜ってくらいの人は、多少安っぽい質感でも受け入れて選んじゃうのがいいと思います。


値段

 ……さあ、これらのスペックとお財布を相談します。もちろん基本的には「でかくて、高品質で、機能が多いほど……高い!」です。

 裏を返せば、ほんとにちょろっと触れればいいなら〜1.3万円ぐらいで結構選べますし、十分に楽しくなれる可能性があります。


結局どれがおすすめなのよ

 というのを言えない! 最初に述べたとおり。
 なぜかというとおれはKORGで働いているので、たとえばKORG製品がイイと言うとステマなんですね。KORGが国内輸入をやってるブランドも。かといって敢えてけなすのも違うし。具体的にいけなくて申し訳ない。

 お部屋探しの時とか「角部屋がいい、鉄筋コンクリートがいい、トイレ・バス別がいい……」みたいに要望を書き出して、全部はクリアできないとしても優先順位をつけてから、住宅情報にあたる……みたいな作業をしたことないでしょうか。ここまでの内容はそういう感じで使ってもらえたら……


 あと、最初の想定が「部屋を占拠してほしくはない」から始まったけど、弾けなくてもデカイキーボードあったほうが音楽家っぽくてテンション上がるぜ!!という人は、デカイの買っちゃってもいいと思います!

 パッとそう思うタイプの人はたぶん後悔しないと思うし、毎日触ってたら弾けるようになるかもだし、しっくり来なかったら中古で売ればよし。怖がることはありません。


おわり

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