何買えばIKEA TRADFRIを外出先から操作できんの?

(追記8/28: Philips Hueブリッジとのあわせ技を試し、3-4以降を修正した)

 ネット上にあんまピンと来るまとめが無かったので書いとく。

 とはいえおれはスマート家電の事情通ってわけでもなく、自分の要望を叶えるためにこないだから試し始めたに過ぎない。
 なので、おれの把握できてない抜け道などがあったらぜひ教えてほしい。より精度の高い記事をみんなで作ろうぜ!(人任せ)

 この記事は、まずはじめにIKEAのリモート照明商品が、どれでなにができるのか書く。その後、ネットワークにつなぐ手段についてIKEA外も視野に入れつつ書く。最後に個人的な事情についてオマケで付け足す。


0. タイトルへの結論だけ先に……

 タイトルにピンポイントに興味あった人に向けて結論書いておくと、「IKEA製品+IKEAアプリ」だけだとどうにもならない。
 ただ、IKEA電球+IKEAゲートウェイを買って、Google Home / Google Assistantアプリ(無料)をインストールすれば9割方OK。若干制限は感じるがAmazon Alexaアプリでもよい。
 Apple Homeアプリを使いたい場合、ホームハブデバイスも購入しないとだめ。既に持ってたらいいですね。
 そして、ゲートウェイの代わりに、他社Philips Hueブリッジを買ってもイケる。おれはこれにした。


1. TRADFRIってなに

 IKEAには無線操作できる電球 TRADFRIシリーズ がある。バリエーション展開も十分豊富だからシリーズで統一するのもいいだろうし、何より値段がめっちゃお手頃なのが良い。
 他社Philips Hueなら電球一個で¥3,400するところを、IKEAは¥1,000からいけるわけだ(正確に条件を揃えるなら、色温度調整できるIKEAの電球は¥2,000だけどね)。
 この安さはAmazonに転がってる全然知らんブランドに匹敵する。こういう環境構築においてマイナーブランドは保守性に不安があるからね……

 しかしTRADFRI、オプションアイテムが多くてよくわからん。リモコン? 調光器? ゲートウェイ? それらを買わないと何ができないのか?
 IKEA公式の説明やFAQは「〇〇ができる」は言ってくれるんだけど、有無による違いはうまく説明してくれないんだよね……


2-1. TRADFRI電球のみの場合

 これだけじゃ、無線的な操作は一切できない。スマホがあろうとも。
 まあ、電球をぶっ挿すソケットの先にはきっと壁スイッチとかがあるだろうし、ふつ〜のLED電球のように使うことは可能。無駄に割高になるけどね。
 既にコントローラーを持ってる人が単体で買い足すためのパッケージだ。

 ちなみに、IKEAスマート照明カテゴリの中にはTRADFRIって名前じゃないやつらもある。これらは照明自体が無線を受ける機能を有してないので、ほんとうにただのLEDと思ったほうがよい。(モーションセンサー内蔵のものはあるけど、それは無線は関係ない。)
 これらは直接コンセントに刺すんじゃなくてドライバーっていうハブみたいなやつから電力供給するんだけど、TRADFRIって名前のドライバーを選べば無線操作することができる。


2-2. 電球+調光器

 オンオフ明るさ調整だけができるリモコン。
 電球と直接ペアリングを行い無線操作を行う。スマホ不要。WiFiやBluetoothではなくZigBeeという無線規格。赤外線ハック系スマートリモコンも使えないね。
 これ一つで最大10個までペアリングできるので、ひと部屋の電球をまとめて一気につけるとかできる。個別操作はできない。
 買ってないからわかんないけど(責任逃れ)、細かい段階で明るさ調整できるっぽい。「明・中・暗・消の4段階だけ」とかではないっぽい。


2-3. 電球+リモコン

 調光器の機能に加えて調色のできるリモコン。
 もちろん、もともと単色の電球の色は変えられない。「色温度調整可能」な電球を選ぶこと。これも複数の電球ひとつひとつの個別操作は無理。

 TRADFRI電球には「単色で、明るさしか変わらない」「白、薄オレンジ、オレンジの調色もできる」「もっとカラフルに色選択できる」ものがある。
 調色は3段階しかなく、連続的な調整じゃなく"3色からの選択"になる。カラフルな方はその3色を含む9色から選択できる。
(後述するゲートウェイも買うと、3とか9とか言わず細かく設定可能)


2-4. モーションセンサーとかショートカットボタンとか

 ぼちぼちあるけど割愛します 用途特化型なんで


2-5. 電球+ゲートウェイ+スマホ

 TRADFRIをスマホ/インターネットから操作したい場合、ゲートウェイが必須。iOS / Android のアプリ"IKEA Home Smart"で操作する。

 こいつを部屋に設置すると、スマホアプリ→こいつ→ほかのTRADFRIすべて という流れで個別操作できるようになる。
 リモコン類だと、電球を個別操作したり、部屋ごとのグループとして使い分けたいなら分けたいだけリモコンが要った。すぐにリモコンどっかいくタイプの人に、アプリ一元化はありがたい。

 電球とゲートウェイのペアリングには、公式FAQには「別途リモコンが要る」とあるんだけど、2022年8月現在は不要。「電球を6回連続でオンオフすると特殊モードに入る」みたいな力技でペアリングできた。

 あとは、自分好みのテンプレセッティングを複数機器に一発で呼び出せるシーン機能や、タイマーやスケジュール機能での自動化や、マルチカラー電球の色を細かく調整したりできる。


* ゲートウェイまで揃えてもできないこと

 それで、要注意ポイントが3つある。

 まず、本体に有線LANをつなぐ必要がある。空きのあるルータの近くに設置したり、ケーブルを隠したり……みたいなことが気になる人は事前にレイアウトを想像しておくこと。

 あと、ずいぶん局所的な話だけど、iOSのショートカットアプリの実行アクションとしてIKEA Home Smartを直接指定することができない。IFTTTもたぶんむり。間接的に指定する抜け道はあるので後述。

 そして、個人的にすげー残念だったのが、「スマホが自宅WiFiに接続していないと、スマホとゲートウェイが繋がらず、アプリ自体起動できない」ことだ。
 まあ、外にいながら家の照明の調整したい時あるか?って考えの人は多いと思うが、おれは諸々自動化して「家を出た後でスマホからワンボタン押すだけで、家の照明を消し・エアコンを止め・鍵をかけたいな〜」って思ってたわけ。
 施錠のこともあって手動ボタンでそれをしたかったんだよね。自動で外出判定する工夫(スマホの位置情報とか、現在接続中のネットワーク名を読んで自宅Wifiか判定するとか)があるのは知りつつも……
 しかし、外出して4Gなどになった途端、IKEA Home Smartにはアクセスできなくなる。

 これを、TRADFRI環境だけで解決することはできないらしい。いや〜融通効かないね。有線LAN繋いでまでこれかよ〜とは思ってしまう。

 だが望みはないわけじゃない。別の道は用意されている。スマートアシスタントへのブリッジだ(べつに声で操作したいわけじゃないんだけどな〜……)。

 以下、TRADFRIゲートウェイは買って繋いでる前提。


3-1. Apple HomeKit & Siriへのブリッジ

 このへんからいよいよややこしくなってくる…… おれはiPhoneユーザなのでまずはHomeKitをみてみよう。

 IKEA Home Smartアプリから設定を行うと、TRADFRIたちを、Appleの"ホーム"アプリからアクセサリとして認識することができる。
 ほかのHomeKitデバイスと同じ目線で管理ができるのはうれしい。Siriから声での命令も効くようになる。ショートカットアプリのアクション対象としても認識できる("ホーム"への命令として)。

 しかし、HomeKitがそもそも、外出先からのアクセスには制限をかけている。こちらも基本、在宅中に触るものなのだ。外から触るには、"ホームハブ"機能を有するAppleデバイスを家に常駐させておき、 電源を入れてネットワークに繋いでおかなくてはならない。
 ホームハブさえあれば、「外出先のスマホ → iCloud → ホームハブデバイス → TRADFRIゲートウェイ → TRADFRI照明」と命令をくだすことができる、らしい。遠い!

 ホームハブデバイスは、HomePodやHomePod mini(1.5万)、Apple TV(2.6万)、電池のきれてないiPad(5万〜)などがある。
 すでに持ってて使ってる人ならばよいが、それらに興味のないおれみたいな人がわざわざ買うには高価だし、常駐させる場所・管理手間も考えるとあんまり現実的ではない……


3-2. Google Assistantへのブリッジ

 ブリッジはApple以外にも、GoogleやAmazonに対応している。iPhoneだろうがこのへんのアプリは使える。HomeKitとの違いはあるだろうか。

 まずスマホにGoogle AssistantとGoogle Homeをインストールし、IKEA Home Smartからブリッジを許可してみる。
 Google HomeとTRADFRIが接続できたら(すげーあっさりできた)、Google Home上からWifi無しでTRADFRIを操作することができた。つまり外出先からも操作可能ってことだ。
 TRADFRIゲートウェイがあるなら、Google Nestみたいな別デバイスもいらない

 さて、おれは「iOSウィジェットのワンボタンから、様々な操作を一発で済ませたい」のだった。ショートカットアプリを経由することをまず考える。
 Google Homeのコマンドはウィジェットに直接出したり、ショートカットアプリのアクションには取れない。なのでGoogleアシスタントアプリを経由することを考える。
 ショートカットからGoogleアシスタントへ「"OK Google, [照明]をオフ"と文字でtypeする」アクションを渡せばよい。これで目的はほぼ果たされた。

 唯一の難点は、ウィジェットからこのアクションを実行してもGoogleアシスタントの画面に直行するんだよね……ウザい……裏で走っててくれよ…… それさえ止められたら100点なので止め方知ってる人いたら教えて下さい。

 ちなみにGoogleアシスタントをウィジェットに直接出すと声操作しかできない。ウィジェットから操作する上で、ショートカットの使用は避けられなさそう。


3-3. Amazon Alexaへのブリッジ

 続いてAlexa。両アプリをインストールしたあとで、IKEAアプリ側の操作だけで接続しようとすると、Alexaアプリを開くためのリンク踏んだとき何故かよくわからんページに飛ばされる(ダサいカラフルなパンツの通販とか、ロンドンの画家のサイトに飛ぶので謎)。Alexaアプリ側から操作してIKEAアクセサリを追加しよう。

 で、こちらもWifi無しで操作可能。外出先からもアクセスできる(なぜApple HomeKitだけだめなの)。

 ただしiOS ショートカットの対象にはならない。Alexaが直接ウィジェットになるときは音声入力だけ。ウィジェットからスイッチ化したい自分には合わなかった。


* Raspberry PiとHomebridge?

 ギークな人向けの道として、Raspberry PiにHomebridgeなどをインストールして、Apple HomeKitが公式に対応していない接続・操作を切り拓くことができる?っぽい。HomeKitは通信プロトコルが一般公開されているから自分でプログラムを書いてみたり、すでに書いた人のプラグインを拝借することもできるっぽい。

 ただしそれで具体的になにができて、なにはできないのか、よくわかんなかったし、Raspberry Piを購入するところからやる気合いも足りなかったので見送り…… 安いもんじゃないんだこれも


3-4. 他社ゲートウェイによるコントロール?

 ここまで、TRADFRI電球をインターネットにつなぐための窓口は、TRADFRIゲートウェイを使う前提で話してきた。他に道はないのだろうか?

 それで対抗馬となるのがPhilips Hueブリッジだ。HueシリーズとIKEA TRADFRIはどちらもZigBeeという無線規格を使っているので実は互換性がある。
 そもそもIKEAが自社ゲートウェイを発売するまでは、ユーザがIKEA電球をインターネットから使いたかったらPhilipsのブリッジを利用せざるを得なかった時期があるらしい。

 しかしHueブリッジの方は元々外出先からのアクセスが可能。iOSのショートカットアプリにも対応。

 冒頭で、IKEAはPhilipsの何倍も安いと書いたがそれは主に電球についてで、IKEAのゲートウェイ(2018〜)が¥5,000に対し、Hueブリッジは旧型(2016〜)で¥6,000前後、最新型(2021〜)で¥8,000前後だ。+¥1,000程度でスマートアシスタントを経由せずに自宅外操作できるなら、おれにとってはかなりいいぞ……
 (ちなみにIKEAのゲートウェイ、発売当時は¥3,000だったらしい。かなりの値上げ)


3-5. Hueブリッジ買ってみました

 実際にHueブリッジを買って試してみた。こちらのblogを参考にした。コンセントに電球直差しできるアダプタを島忠で買って(320円くらいだった)ブリッジと電球の距離を近くして試したが、必須だったのかは不明。

  1. Hueブリッジに電源とLANを挿し、Hueアプリを入れてブリッジの認識をすすめる。Hue製品を他に持ってないので途中で進行不可になるので一旦止める。

  2. Hue Lightsアプリを入れて、Touchlink へ進み、成功表示を見る。1:30ちゃんと待つのがミソかなあ。ここでは躓かなかった。

  3. Hueアプリに戻り頭から設定をやり直す。今度は電球が見つかるおかげで設定完了できるはず。電球が見つからない時は、電球をペアリング待機モード(オンオフ6連続)にするといいかも?

  4. 自宅内ネットワークで動作することを確認したら、スマホのWifiをオフにして操作してみる。操作は効かず、トラブルシューティングが下に出てくるので、「自宅外ネットワークをオンにする」を選ぶと、Philips Hueのアカウントを作る画面へ行ける。

  5. アカウントを作る。作ったらもっかい4をやり直す。今度は途中で一旦スマホのWifiをオンに戻して進め、Hueブリッジに"権限を付与"を行う。これで自宅外アクセスが可能になる。

 とりあえずこれで満足できた。自宅外アクセスだとラグが2秒くらいあるけどおれの用途では気にならない。ショートカットアプリにも登録できるし大満足だ。電球2個の同時操作も申し分ない。TRADFRIゲートウェイは返品してきます。
 あとは……明るさの操作ができることは確認したけど、調色操作がIKEAとPhilipsでどのくらい互換性があるかは各自で調べてください。


4-1. おれの用途上の解決

 はい、おれの「外出時メニューとして、外出後にiPhoneのウィジェットをワンボタン押すだけで、消灯・エアコンオフ・施錠をセットで行いたい。その消灯部分について」の解決策としては、

  • ショートカットのウィジェット→Philips Hueアプリ→Hueブリッジ→TRADFRI電球 が一番よかったので、そうした。

  • ショートカットのウィジェット→Googleアシスタントアプリ→TRADFRIゲートウェイ→TRADFRI電球 という経路。これは最安だが、実行ごとにスマホがGoogleアシスタントのアプリ画面になってしまうのが嫌だった。

  • いっそAppleホームハブとなるiPadとかHomePodを買い、ショートカットのウィジェット→Homeアプリ→ホームハブTRADFRIゲートウェイ→TRADFRI電球 とする道もあった。でもべつに今欲しいホームハブ無かった。

 くわえて、4択目のことも考えてはいた。


 おれはエアコンをスマホから操作するためにNature Remoというスマートリモコンをすでに導入している。
 これは「本体をコンセントに繋ぐ」「アプリ経由で本体とWifiをつなぐ」「本体に赤外線リモコンの信号を覚えさせる」さえすれば、スマホからの命令でリモコンの信号を発射することができる。たとえば帰路、最寄り駅についてから冷房オンを命ずることで、帰宅するころには部屋が冷えている。

 で、先日までは部屋の照明が、ふつうに赤外線リモコンで操作するシーリングライトだったから、Nature Remoから操作できていた。外出先での消灯もなんなくできる。

 結局、おれが照明をスマート化したかった理由は「外にいても手動で消したい」だけだ。オンオフが肝要で、調光調色は二の次だ。
 ならばこんな、スマートデバイス環境とか作らなくても、ただのリモコンつき照明でいいのだ!!!!


4-2. シーリングライトのリモコン事情

 じゃあなんでここまでスマート電球と格闘してたかというと……

 まず、オレンジ単色のシーリングライトが壊れたので代替品を探していた。シーリングライトは狭い部屋でも天井の圧迫感が減るし、落ちてくる心配が全く無い見た目をしてるからベッド近辺にも設置しやすいよね。
 それで、オレンジが点きさえすればいいんだけど、その辺で売ってるシーリングライトは今や、白単色 or 色温度調整機能付きがほとんどだ。じゃあしょうがないから「色温度調整できるやつを買って、オレンジのみで運用しよう」と考えてアイリスオーヤマのを買ってみた。

 しかし、調色機能付きのシーリングライトって各社出てるけど、リモコンに点灯と消灯のボタンが独立していることがほぼ無いのだ。これは驚き。一個の"電源ボタン"でオン→オフ→オン→……とトグルするばかり。
(正確には、1万円以上出すと独立消灯ボタンありがちではある。でもシーリングライトってベースライトであって、薄く・色馴染み良く・無装飾で、存在感を消してほしい。そういうモノのリモコンボタンのためだけに5〜8千円上乗せできるかというと不服だ。)

 "電源ボタン"の何がまずいかというと、「今照明がついていようがいまいが、とにかく消灯させる」ことができない。消えてるときに更に消そうとすると逆についてしまうのだ。そして、リモコン側は「今ついてんのか消えてんのか」の状態を取得することができない。信号を発射するのみだ。

 そんなわけで、「オレンジ単色が出せて、赤外線リモコンがついていて、消灯ボタンが独立している、外観の気に入る、お手頃価格のシーリングライト」が全然無かったので諦めて、いっそスポットレールとかにしよっかな〜 電球単位のスマート化ならIKEAが手軽か〜 あら素敵なシェードとかあるじゃない〜 ってところから地獄の門が開いたのだった。


 Amazonで、どことも知れぬマイナーブランドを見ると、IKEAでもPhilipsでもない「リモコン付きLED電球」はぼちぼち存在する。たいがい、リモコンは2.4GHzの無線で電球と交信するようなのだが、きっと根気よく探せば「赤外線リモコン(消灯ボタン独立)付きLED電球」もあるだろう。そしたら好きなシェードやレールと組み合わせつつNature Remoで制御できる。
 今回はそうしなかったが、将来的な拡張性を考えなければそういう道もおおいにありだったな。

そんな感じっす。


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