本物の音を知ることの大切さ
本物の音。
それは人の心に響く音。
感覚として知っている人は、それを再現することを目標とすればいいのだ。
だから知ることは最大の強みになる。
本物の音を知る人だけが、本物の音を出すことができる。
クラシック音楽ではそれを追求することが一つの道であって、目的の一つだったりする。
声楽もそうだ。
音楽性が高くて努力家の友達は、教授にこう言われていた。
「いくらがんばっても、声質が悪いからダメだ。」
意地悪で言っているのではない。
残酷だと思ったが、教授の耳が長年の経験から判断したことなんだろう。
感覚の世界だと思われがちな音楽。
実は音楽は数学と相性が良く、というかあのピタゴラスが「ピタゴラス音階」を作っていたりして、数で表現できる世界でもあるのだ。
有名なバイオリン、「ストラディバリウス」の音を分析した番組を見たことがある。
ストラディバリウスは、現在残っているものに名前がついていたりして、優秀な音楽家のみが使えるという価値の高いものだ。
なぜ価値が高いかというと、それが今の技術で再現できないから。
要するに超えるものを作れないのだ。
その番組では音がどのように響いているのか計測して、3Dグラフィックにしていた。
すると、やっぱり名器は音の形が違うのだ。
ある部分の響きが突出している。
そしてその分析を見ながら、現代の匠がストラディバリウスの音を再現することに挑んでいた。
難しい挑戦のようだった。
昔の職人を超えられないって、すごい世界だよね。
ホルンの練習をしていたときによく思ったのだが、
西洋音楽は教会、日本音楽は和室。
家で練習してると音が吸収されてしまうため、音質の練習がうまくできなかった。ホルンはベルが後ろを向いていて、壁から返ってきた音を聴く楽器なのだ。
一方教会のような西洋的な建物は吸収しない。だから音が返ってくる。反響を聴きながらそれも含めて音作りをする。
演奏する場所がそもそも違うから、音の出し方も違う。
良い音とされるものも違う。
洋楽と邦楽もそうだ。
響きを消してしまう和室音楽の影響が出てる。
響きが吸収されてしまう中で残るのは耳に届きやすい高音。刺すような平べったい声質。
音の作り方が西洋と日本ではまるで違うことは、そこから来てるのではないか。
また、音そのものを楽しむ洋楽と違って、邦楽は物語を楽しむ。語り部のようだ。
だから歌詞や抑揚が大事になってくる。
そんな気がするけどどうだろう。
長い間ホルンに真剣に取り組んできたけど、ずっと試行錯誤していたのは音作りだ。
一番大事なのは音質。
どんな音を出すかで、説得力が全然違う。
技術より先に来るのが音なのだ。
それくらい聴いている人に与える影響は大きい。
おそらく音波とか目に見えないものが、人体に響いているんだと思う。
その結果心まで届くというか。
もちろん魂の音楽というものは存在していて、
そんなものは超越して人に感動を与えることもある。
でもそんな奇跡は頻繁に起きるわけではない。
これは音楽をやっている人なら分かるはずだ。
なので、歌の方でも音作りをしていきたい。
今はまだ作り方が良く分かってないから。
でも、いい音は知ってる。
それが私の強みだ。
あとはいかにそれに近づけるかだ。
試行錯誤は慣れてる。
得意分野だ。
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