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何かを失う悲しみとは、何かを大切に想う気持ちの現れだと思う。

株式会社ヘラルボニーでプランナーをしている丹野晋太郎です。

先日リリースさせて頂いた、新型コロナウイルスの影響によって卒業式」が迎えられないかもしれない子供たちとそのご両親に向けて、自宅で出来る #家族卒業式 が今日でプロジェクト公開最終日となりました。

プロジェクトの最終日は、東日本大震災から9年が経過する2020年3月11日。当時15歳だった僕は、24歳になりある程度大人と言われる年齢になりました。必然とこの日になる度に、僕は東日本大震災のことを思い出しては、亡くなった両親と祖母のことを想い、14時46分48秒になれば手を合わせて拝むという行為をしています。

話は変わって、東日本大震災以降とても仲良くさせて頂いているフォトジャーナリストの方が出した、東日本大震災の経験を綴った本にこんな言葉があります。

何かを失う悲しみとは、何かを大切に想う気持ちの現れなのかもしれない。

人は失ってから気づくと良く言いますが、東日本大震災で僕は失って初めて大切に想っていたこと、想われていたことに気付けました。だからこそ、この企画を通してなかなか気づくことが難しい”家族の存在の大切さ”に新型コロナウイルスが社会を騒がせるタイミングだからこそ目を向けて欲しいと思いました。

そして、プロジェクトの企画者として最終日にどんな言葉を残すことがいいのか、何が正しいかもわからないまま筆をとっている中で、僕が今両親や家族にどんな言葉を届けるだろうかと考え、文章を綴ってみようと思います。

MY HOME 卒業証書 父、母、祖母殿

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父さん、母さん、おばあちゃん。東日本大震災でまさか亡くなるなんて思ってもいませんでしたがあれから亡くなった家族へ向けてこうして恥ずかしげもなく言葉を綴ることはなかったと思ったので素直な気持ちを綴るね。

まずは、東日本大震災から9年が経ち、高校、大学と卒業をして今では社会人として、周りの人に迷惑をかけることも多いですが仕事をしながら生きています。

今では、知的な障害のある作家さん達と一緒に大きく言うと福祉を軸に企画と編集やデザインで社会に新しい価値造りをしていく”ヘラルボニー”という会社で働いています。

真面目で心配性な母さんは、大丈夫なの?怪しい会社じゃないの?とか言いそうだね。あまり口数は多くなかったけど言う時にはしっかり怒ってくれた父さんは、心配はしつつも自分がやりたいことなら頑張れって言ってくれそうな気がしているよ。おばあちゃんは、いつもみたいに優しい顔で褒めてくれたりするのかな。

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もうすぐ”ヘラルボニー”に入ってから1年が経つんだけど、代表の2人の凄まじい行動力とパワーに必死にしがみつきながら、うまく立ち回れない自分にがっかりしたりするけれど、一緒に働く人も増えたりして、徐々に大きくなっていくこの会社でいい加減社会人3年目にもなるし、周りの人達の優しさに甘えないでしっかり存在感を出して頑張っていかないとなと思っているよ。大変な時もあるけどきっと”ヘラルボニー”は大きくなっていくんじゃないかなと思う。

最後に、人生で1つだけ後悔していることがあるんだよね。東日本大震災で父さん、母さん、おばあちゃんが亡くなって、どうして自分が生き残ってしまったのかと悔やんだ以上に、「ありがとう」という感謝を言えなかったことです。

あの時は気づくことが出来なかったけど、ここまで生きてこれたのも、生まれたからご飯を食べさせてくれたり、スポーツをさせてくれたり、色んな体験をしていく中で側にあったのは家族の存在だったなと気付いたんだよね。綺麗事抜きにしてね。

もう面と向かって言うことすら叶わないし、心配や迷惑をたくさんかけてしまったけれど、陸前高田市に生まれたこと、父さん、母さんの家族に生まれ本当に良かったと今こうして胸を張って言い切れます。

まだまだ未熟で、できることも少なくて、周りにたくさん迷惑をかけながら生きていくんだと思うけど「父さん、母さん、おばあちゃんの願うような大人になれているかな」と思いながら、父さん、母さんが保育所の卒業の時に書いた「21世紀を生きる素晴らしい大人になれますように」という願いとも思える言葉を胸に、今日からも頑張ろうと思うよ。

そして、最後にこの言葉で締めたいと思います。この言葉が届いていることを願って。

「本当にありがとう」

2020年3月11日 丹野晋太郎

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