まちへ

2018年6月

今年から日記をつけてみることにしました。 ぼちぼちと。書かない日もあると思うけど。

4日

昨日、ランチ営業前のひととき新聞を読んでいた。
目に留まった記事が「金沢おくりいえプロジェクト」

おくりびとならぬ、おくりいえ。
住む人のいなくなった家を取り壊す前にきれいに掃除する。
結果、借りたい、住みたいという人がでてきたそうだ。
いいプロジェクトだなあと思っていたら、
知り合いの整体師さんから連絡が入った。
「あの、富士の湯さんを見にいきたいのですが、
いっしょに行ってくれますか?」

富士の湯さんはもう7年前くらいに廃業した銭湯。
私の父は小さな風呂が嫌だと言って、家風呂を作らず、
私も実家を出るまでずっと銭湯通いだった。
昔は市内に4軒あった銭湯だったけれど、次第に廃業して
とうとう最後の一軒になった銭湯。

3年前、地域デザイン研究所という若手の建築士や広告マン、
カメラマンなど、アートやデザイン系の若い団体に声をかけられ、
廃業した富士の湯を活用したいから間に入ってもらえないかと言われた。

銭湯の2階に住んでいたご主人は掃除してくれるなら
好きなように使っていいよと承諾してくれた。
地域デザイン研究所の数名の方が暑い中(クーラーがない)
掃除に通って、きれいにしたそうだ。

けれども、そこで活動がストップした。
電気系統、トイレなどの改修に費用がかさむ。
それをだれが出すか?
さらに、それぞれ本業の仕事が忙しくなって、
団体の活動自体が休止状態になったのだった。

あれから3年して、別の空間デザイナーが銭湯に興味を示した。
その空間デザイナーとイベントを共にしていた整体師さんが
自分の本業とも絡めて銭湯の空間を活用できないかと
見学を申し出てきたのだった。

ちょうど「おくりいえプロジェクト」が目に留まったときと
その申し出のタイミングがシンクロしていた。

銭湯の持ち主のおじさんに連絡するにも
電話番号を知らなかったので、とりあえず、今朝、行ってみた。
新築の住宅やマンションの合間にレトロ感あふれるお店が混じる通り。
そこから銭湯への狭い路地を入ると、うっそうとした草木。

びわがたわわに実っていたけれど、人が暮らしている気配がない。
廃墟のような階段をおそるおそる昇り、玄関を開けようとしたけど
鍵がかかっている。郵便受けには新しめの新聞は1部刺さってはいたけど
呼んでも、ドアをたたいても人の出てくる様子がない。

近所の園芸店に入り、年配の従業員さんに聞いてみた。
定かではないけど、銭湯のおじさんは2年前に急死したとか。

娘さんがいるとは聞いていたけど、
その人も住んでいるのかはわからない。

この周辺は昔の町のたたずまいを残している建物が点在していて


面白い。そういう地の利で若い人が何かイベントをしたいのはよくわかる。私もぜひ、これを活かしてもらいたい。

けれども、空き家といえども
相続問題や改修費用などクリアしないといけない。

おくりいえが「送る家」から「贈る家」になる。
そういうプロジェクトは素晴らしいと思う。
http://okuriie.jp/


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