春日部大通りモノクロ

2018年2月

今年から日記をつけてみることにしました。 ぼちぼちと。書かない日もあると思うけど。

6日

うちの店のバイトのSちゃん、
高校三年の小柄でいつもにこにこしているかわいい子。
化粧も上手で目元がキラキラしている。
仕事がデキるというわけではないけど、人好きする子だ。

うちに来るお客様はそんなSちゃんのバックグラウンドを知らない。

Sちゃんは児童養護施設から高校に通っている。
お父さんはいるらしいが、養育できない環境なのだろう。
詳しいことは聞いたことはないが、
どうやらSちゃんのお母さんもこの施設にいたらしい。
話題にお母さんの話が出てきたことがないので
今その存在がどこにあるのかも知らない。

児童養護施設に暮らしている子がうちにバイトに来たのは
Sちゃんの前に二人。その二人は姉妹。
姉は頑張り屋で自力で大学に入学した。
管理栄養士になると言って、四年制の女子大に入り、
バイトしながらがんばっていたのだけれど、
三年で資金が続かなくなって辞めてしまった。
それでも、再度大学生になる希望は持っているそうだ。

妹は高校1年の時に担任とのトラブルがあり、中退。
高校を辞めると施設にもいられなくなるので、
知人のつてを頼りにシェルターに入り、生活保護を受け
通信制の高校に入り、保育士を目指している。

姉妹のどちらも将来の自分に目指すところがあり、
何とか前を向いて進もうとしているし、彼氏はいても、
女性として自分を守る凛としたところを持っているので
落ちては行かないと確信している。

ところが、Sちゃんは……危なげなところがある。
店ではいつもにこにこして、
時に理不尽なシェフにも歯向かう姿もなくおだやかで
悩みがなさそうなのだけれど、よく学校に呼び出される。
タバコも外では常習のようだ。
しょっちゅう彼氏が変わって、LINEのアカウントも度々変わる。
婦人科系の病気にもなった。
もともと勉強に意欲がない。
就職に必要な卒業認定がなかなか出ない。
三年生の2月はほとんどの生徒が登校する必要がないのに
Sちゃんは補修のため、通っている。
そして試験に受からないと単位を落として留年になってしまう。

留年になったら、前の二人の姉妹とは違い、
資格や卒業への執着などないから、きっと中退してしまう。

その後のことを思うと、暗澹たる気持ちになる。
施設を出た女の子がどこでどう暮らしていくのか、
そこに何が寄ってくるのか、よくないものをはねつけられるのか。

どうしても高校だけは卒業してほしい。
卒業して、それなりの就職をしてほしい。
いつか信頼できる相手と結婚してお母さんにもなってほしい。
自分の子どもは施設に入れなくていいような、家庭を持ってほしい。

いつもバイトに来るたびにSちゃんには言っているけど、
本人はなんだかへらへら~っとしている。

親にはなれないけど、親心でいつも案じている。


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