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ぬくもりの哲学

その肌は冷たくて。
無骨な後姿は何も語ってくれない。
忌々しいほどのかたくなさで、時にわたしを傷つける。
ぶつかり合っても、いつも負けるのはわたし。
重そうな体をじっとその場にとどめたまま、一言も発せず、その存在感だけが今日もわたしの隣にいる。

ねえ。わたしをあたためて。

底冷えする冬の夜に、そんなお願いをするわたしをちらりとも見ず、反応すらしてくれない。
同じ寝室で夜を共にするようになってから、2回目の冬。
こんな時、焦っても仕方がないことを、わたしは知っている。
だから、あっさりと体に触れただけで、おとなしく別の場所に移動する。

たあいないことをして30分ほどやり過ごし、寝支度をして寝室に戻る。
そして、もう一度そっと触れると、その体は先ほどとはうってかわって淡く熱を帯びている。相変わらず武骨で、なにも語り掛けてはくれないけれど、黙ったままの時間の中で、心地よい熱がわたしを包む。
そうして眠りにつくまで、その熱を感じ、時には夜具を剝ぐほどに汗ばんで、寒い冬の夜をやり過ごしてゆく。

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昔からエアコンやファンヒーターなど、風が出る暖房器具が苦手です。
一番好きな暖房器具は石油ストーブ(お湯も沸かせるし、餅も芋も焼ける!)なのですが、就寝時に使用すると、文字通り身も心も(家も)焼き尽くす可能性があるので、就寝時はもっぱらオイルヒーターを利用しています。

利点は空気が乾燥しにくいことと、火災の心配が極めて少ないこと、そして、あの優しく空気をあたためる心地よさ。
逆に難点は、温まるまでに時間がかかること、電気代がまあまあかかること、でしょうか。
あと難点というほどでもないですが、見た目が無機質なのと、金属製で重量があるため、足の小指をぶつけた際には2分ぐらい言葉を発せないまま蹲るほどの痛さです。

以前はどんなに寒くても、木綿のパジャマで、自らの体温と猫で暖をとり、暖房の無い部屋で眠るのが好きでしたが、ここの所めっきり暖房器具に頼るようになりました。

みなさまも暖かくして、良い夜をお過ごしください。





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