女性への渇望選手権
もし昔の私がこのような選手権にエントリーしたならば、余裕で優勝。
むしろ第1シード、いきなり決勝。でも余裕で勝つ。
昔は誰よりも女性に飢えていたし渇望していた自信はあるけれど、ただただ性欲を発散出来ればいいかと問われるとそうじゃなかったというのが私の厄介なところだった。
初めてキャバクラや風俗に行ったのは私が20歳の時に上司に連れられて。
しかし、心を許さず、体だけ許す関係にどうしても興味が持てない。
それならば、体は許さず心だけ許す関係の方がいい。かと言って、性欲は私の内側で暴れる君だった。
決してその業界を否定してるわけではないし下に見ているわけではないが、私はものの数回でキャバクラや風俗に飽きてしまい、彼女を作ることにした。
とはいえ、当時は1人しか彼女がいた事がなく、女性に不慣れで全然出来なかった。
合コンに次ぐ合コン。合コンのハシゴも珍しくなかった。
どれだけ回数をこなしただろう。100回以上はゆうに超えていたかもしれない。私はとうとう疲れてしまった。
ノリが良かった私は幹事をしなくても、有難いことに合コンには困らなかったが、疲れてしまった私に待ち受けるのは合コンの誘いに断る日々だった。
そんなある時、お世話になってる上司から誘ってもらい、無碍(むげ)に断れなかった私はしょうがなくその合コンに参加させていただいた。
そして、なんとその合コンで彼女ができたのだ。彼女が欲しい!!という願いを手放した途端、彼女が出来ちゃうというこの現実。
神様のイジワル!と当時は思ったかもしれない。
その彼女はむちゃくちゃ私のタイプで、セックスも最高だった。しかし、私は最高に女性に不慣れ。
自分をさらけ出せず、一緒にいても本心を出せず、どんどん一緒の空間にいる事がしんどくなっていった。
会う時は仮初め。いつもの私じゃない。
決して、カッコつけてたわけでもないけれど、ただただふざけるだとか、甘えるだとか、そういう自分の素を出すことがからっきしダメだった。
うまく話せず、沈黙に次ぐ沈黙。ドライブ3時間しても、お互い全く話さず。何かの苦行なのかと思った。
だから、その彼女とは3ヶ月で幕を閉じてしまった。私が耐えられなかったのだ。私が未熟すぎたのだ。
それからいろんな女性とお付き合いさせていただき、どんどん女性にも慣れていった。
中にはセックスがあまり好きじゃない女性もいたから、私から真剣にセックスがしたいと話したり、セックスだけじゃなく、普段想うこと感じることを妥協せず伝えることも大事にしていた。
何人かの女性はセックスした時に、
「こんなに優しいセックスは初めて」
と号泣してくれたり、涙を流してくれたりした。
私は決してセックスのテクニックを持ってるわけではない。
挿入したらしばらくは動かさない方がいいだとか、ただ激しければいいわけではないだとか、そういう最低限の心得はあるが、決してテクニシャンではない。
それでもやっぱり、感動してくれる女性はいることを知った。
しかし、私の渇望は止まらない。
どれだけセックスしてもまた求めてしまうし、相手も私が求めた時にいつも応えられるわけでもないから、そんな状況にどこかで苦しみを覚えていた。
飽くなき渇望。終わらない欲望。
出せど出せども、私の睾丸はすぐに白いやつを貯蔵してくる。まるでわんこそばのようだ。
私は相手が嫌がられない程度に、出来るだけプレッシャーを与えないように求めてきた。
しかし、それでも自分を抑えられない時は自分で散々処理してきたし、相手もプレッシャーに感じたことも多々あるだろう。
みんな優しかったから、出来るだけ私の欲望に応えようとしてくれた。
しかし、痛かったり、そこまでセックスに興味を持てなかったりで、私が満足できないセックスをすることも多々あった。
私は自分だけ気持ち良くなっても全然満足せず、相手もちゃんと満足しないと満たされないのだ。
相手も気持ち良くなければ気持ち良くない。だって、セックスは2人でするもんだろう?サックスじゃないんだから。
散々求めて、散々葛藤して、散々苦しんだ私はいつしか渇望が極端に無くなっていることに気づいた。
とはいえ、ある。あるけど、前に比べたら賢者レベルである。
相手が痛くて出来ない時は途中で挿入せず、終わったことなんて何度もあるし、それでも大丈夫になっていった。
そしてある時、私は気づいたのだ。
キャバクラも風俗もそうだけど、セックスにも女性にも俺が求めるものはねえ。
と。
でもそれは散々もがいたからこそ、分かったこと。散々もがいたからこそ、自身の納得になったこと。
私が真に求めていたのは自分による自分からの認めだった。
私はただ何にもないありのままの私、裸の私を認めて欲しかっただけだった。
あぁ......もう今なら、裸で外を歩けるぜ。
今、女性への渇望選手権にエントリーしたら、予選敗退だ。
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