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音楽は不要不急ではない

私がエレファントカシマに突然、沼落ちしたのは2017年の5月30周年の全国ツアーの時だった。エレファントカシマシのメンバーは1966年生まれの中学の同級生。当時ですら50歳を過ぎたバンドが47都道府県を巡る全国ツアーを無事にやり遂げたのは凄い事だと感じていた。
「30周年のツアーをやり遂げたら、ソロをする」宮本浩次はそう心に決め、周りにも宣言していた。
2019年「宮本散歩中」で、ソロ活動開始。TVドラマ後妻業のエンディングテーマ曲として「冬の花」をリリース。2020年、ソロとしてのファーストアルバム「宮本独歩」を引っ提げて全国ツアーに出るはずが、コロナ禍の始まりのせいで全てご破産に。ステイホームの中、宮本浩次は、女性ボーカルの名曲カバーのアルバム「ROMANCE」をリリース。同アルバムな功績を認められ、令和2年度(第71回)芸術選奨 文部科学大臣賞 大衆芸能部門を受賞する。

2021年、アルバム「縦横無尽」リリース。

2021年10月から、小林武史をキーボード兼バンマスに迎え、ギターはギター名人名越由紀夫、ドラムは日本代表、玉田豊夢、ベースはロックベーシスト、キタダマキの最強メンバーで47都道府県を回る日本全国縦横無尽コンサート48本を敢行。
去年の11月頃までは、時節柄、会場には半分のお客しか入れられなかった。年明けから徐々に全席入れられるようになり、ようやく、通常定員での公演が出来る様に。
そして、ついに6月11日、12日に完結編として代々木体育館で120,000人を会場に入れてのコンサート開催となった。

私は初日の11日に参戦。
オープニングでドデカイスクリーンに47都道府県のそれぞれのツアーシーンが走馬灯の様に映し出される。
途中、宮本浩次自身がコロナ罹患のため(本人曰く、新型コロナの風邪)4本お休みしたが、キッチリ振替公演で取り戻し、全国47都道府県(東京2days)計48本ものコンサートをこの5人のバンドメンバーはやり遂げてきたのだ。

映像が終わると花道の先の円形ステージにスポットライトを浴びた宮本浩次が不意打ちで浮かび上がる。
1曲目は「光の世界」
ピッチの正確さに定評のある宮本浩次のはずが
最初から音程が不安定に。

宮本浩次が泣いていた。

代々木体育館の満員の観客の光景に、ようやくここまで来た…と、感情を抑えきれなかったのだろう。

12000人もの観客は、一言も声を発せず
拍手だけで宮本浩次に「頑張れ」と「ありがとう」の想いを届けた。

あの小林武史も泣いていた。

2020年に始まったコロナ禍により、エンターテイメントの世界は厳しい状況に追い込まれてきたが、音楽は不要不急ではない。 

宮本浩次が全身全霊で届けてくれた28曲は、120,000人にしっかり届いた。

「ゆく」とか「ゆかない」とか
訳のわからぬたわごとばかり溢れてる世間の中にあって
泣くなlike a rain
時に殴られたような愛を感じて
全てをかなぐり捨てて駆け出したくなる ああ
時代の所為にしたくない わたしの明日を

rain-愛だけを信じて- by   宮本浩次

雨を降らせる派手な演出もソロの宮本浩次には似合っていた。


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