男女の友情の話


男女の友情は成り立つのか。
他の人はどうお考えなのか問うてみたいことのひとつだ。

自分は今のところ成り立たないと思っている。
幼なじみとかちょっと長い付き合いのやつなら例外はいるけど、それ以降出会う人たちとなかなか友情を育めないでいる。
友達でいたいのに、向こうがそうじゃなかったり。
後輩だと思って可愛がってくれていると思ったら違ったり。
居心地のいい関係を保てないのも辛いけど、何よりも私の気持ちはどうでもいいんだなと気づいてしまうのが悲しい。

『ドライブ・マイ・カー』を観た。
劇中劇で男女が親友になる手順についてアーストロフが話す場面がある。
初めは友達、次が愛人、最後に親友になるらしい。
恋人を一旦挟まないといけないのが嫌だけど、そういう過程で仲良くなった人も確かにいたなと思う。
最初は互いの猫かぶりとか性的魅力であやふやしていたことが、付き合いの中でだんだん見えてくる。
関係が終わって、時間を置いてから急に仲良くなったりする。
私が相手のことを本当に理解できるのは、近づきすぎて喧嘩して、離れてからなのかもしれない。

自分が男だったら、相手の性的指向が男だったら良かったのに思ったことも何度もある。
好きな先生がいた。人として好きだった。
『こころ』の先生とKのような関係が羨ましかった。
先生の家に行ってみたり、一緒に旅行に行ってみたいと思った。
もっと先生を知ることができると思ったからだ。
でも現実でそんなことがあったら世間が黙っていない。
先生は仕事を失ってしまうだろう。

それに、私はその気がなかった訳だが、先生が誤解してしまうのではないかと思うと怖かった。
私が人懐っこいあまりに相手の誤解を招いて、結果的にその人を嫌いにになることが良くあったからだ。
そういう心配事に苛まれる度に、女でいるのが煩わしいと感じた。

去年はそんな駆け引きばかりでしんどい思いをしたので、今年はちょうどいい距離感を掴めたらいいなと思う。
ついでにちゃんとした順序で恋愛ができたら満点だ。

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