金持ち教習所デストロイヤー【毎週ショートショートnote】

　またしても私のかつての悪友である。今度は仮想通貨含む資産運用レクチャー集団、「金持ち教習所」を立ち上げやがった。
「屋号がすでに正体を言い表している事を、良心的と言ってやるべきか……」
　そしてまたしても私は、存在を知るなり怒りの一報を入れ、嬉々として招かれたバックヤードで忌憚の無い感慨を述べている。
「教習所、というからには免許でも発行されてくれるんだろうな」
「そこはねぇ。金持ちという事実が大抵の事は免じて許させてくれるよねぇ」
「うわ。貪るだけ貪り尽くしてノーギフトか」
「君もこっち側に回っちゃえば良いのにー。向いてるよ？　一瞬で構造裏側まで見抜いちゃうんだからー」
「お断りだ。見抜けるからな」
　相手が笑顔で差し出してくれる飲食物に、私は手を付けた事も無い。
「生涯に一度の挫折も無く、順風満帆で生きていられる奴なんか、諸々の要因ですでに、人間じゃないんだよ」
「神かゴミだよな」
　ほら、と元悪友はクスクス笑ってきやがる。

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（410文字）

　小説、ですから。