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立方体の思い出カプセル【毎週ショートショートnote】

「吉田○郎の『落○』しか出て来んわぁっ!」
「そこを何とか! どうにか思い出して頂きたい!」
 記憶喪失症に陥って以降大阪に隠れ住み、昼間っからカップ酒をあおっていたところを発見された、かつての数学界における世界的権威が、未解決問題の回答を球状のカプセルに封じ込めていた。
 開けるカギだと残されたメモには、「立方体」としか書かれていない。
「立方体の、何であるかが問題なんです! キーは半角数字で5マスなんです! 展開図でしょうか体積でしょうか。それとも空間充填でしょうか」
「何の話をしとんねん」
 カップ酒をコクンとやる度にかつての助手は悲鳴を上げる。
「これ以上脳細胞を破壊しないで下さい!」
 カプセルを拾い上げて元教授は、5列の数字をカチャカチャやる。
「立方体やろ? まずサイコロやんか。ピンゾロの確率0行って0046ちゃうんか」
「何の話をしているんですか!」
 元教授の手元でカプセルが、ピーン、と音を立てた。
「開いたで」


(409文字)
ホンマに『落陽』が頭ん中鳴りまくってた。

本作品はamazon kindleで出版される
『410字の毎週ショートショート~一周年記念~』へ掲載される事について、たらはかにさんと合意済です。

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