なるべく動物園果し合い【毎週ショートショートnote】
二種類の猿の鳴き声が、ウキー、ウホホホと響き渡る猿舎に、
人の目にはそれほどとも映らないが、動物たちにとっては絶対的なカリスマを誇る園長が、ゴム長靴でケージに入り込んだ瞬間から、猿種族のリーダー二匹は足元に跪くのだ。
「ウキー! ウキキキキー!」
「ウホウホ。ウホホホ」
「よし分かった。お前たち二匹だけでやり合え。他の個体には手を出すな。かつ出されるな。ここはなるべく動物園でなければならないからな」
リーダー同士がウキキキウホホホやってる間に、すみやかに子猿たち一匹一匹にまで餌を配り終え、ケージ内も清掃して去っていく。リーダー以外の猿たちが去っていく園長に向けて頭を下げ、中にはひれ伏す者もいる。
ケーン! ココココと鳥舎から、パオーン! ガルルルと獣舎からもだ。
「毎日こんなですぅ。もうイヤですぅ」
と泣き言をいう天使たちもいるが、
「そもそも異なる個体同士だ。同じ土地の内で仲良く過ごせるものか」
と神は事も無げだ。
(410文字)
本当はゾウにはカバを対峙させたかったけど、
鳴き声が想像できなかったのでせめて見出し写真。
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