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オバケレインコート渡来人【毎週ショートショートnote】

 小耳に挟んだ噂話の一種なのだが、日頃「霊感が無い」と思っている人には、霊が「雨降り」に見えているらしい。
 あ。雨が降ってる。干してた洗濯物は、と外に出てみたら快晴だったし地面も濡れていなかった経験は無いだろうか?
 私には、ある。
 何なら日頃利用している最寄り駅のホームに、どれほど晴れた日でも常に雨が降って見える箇所がある。
 なのでそうした場所は極力直視しないように、近寄る際には「失礼します」と胸の内で挨拶するようにしている。オバケレインからのコート(身を守る術)である。
 ちなみにその駅を含めた路線全体では、事故が起きたと言う話も、取り立てて多いと言う話も聞かない。しかしながら駅という施設そのものが、不特定多数の人々とその情念が集まっては散っていく場所であり、その地域全体が歴史的にも渡来人(その末裔の一人が菅原道真)によって築き上げられたエリアなので、
 そりゃ良くも悪くも何かしらは在わしなさっているだろう。


(410文字)

 普通に共存。

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