見出し画像

高級イタリアンをいただいてきた

大学生が友達と行けるところじゃあない。親と行くのとはまた違う、先輩にご馳走になるという体験をして来た。

千歳烏山は「エノテカ のんとろっぽ」さん。

店内はこじんまりとしていてクラシックが流れている。カウンターに案内されると目の前でシャンパンを開けてくれた。おしゃべりしながらも手際がよくて、とても緊張してしまった。

イタリアン料理を基本として、シェフの和風な味付けにより、どこかさっぱりして食べやすい。「食べたことがないのに食べやすい。」そんな料理の数々だった。
そして、「味や香りが層となって押し寄せる」のである。思えばいつも食べている食べ物たちは甘い、とか辛い、とかソース、とかチーズとかの直線の味しかない気がする。感じようとしてないからか?いや、この料理たちは、味覚と嗅覚に集中すればするほど味や香りが表れたのだ。今まで食べてきた既成のソースや調味料のどの味とも結び付かない、深い深いものだった。

コース料理のお品書き(HPにメニュー名がなかったものはうろ覚え)
①うずらの卵で出汁を取った茶碗蒸し
 大きい受け皿にちぃぃさいおちょこみたいな中に具なしの茶碗蒸しが出てきた。これからずっとこんな量しか出ないのかもしれないと心配になった。正直うずらの卵嫌いで食べたことなかったから普通のうずらの卵の味を知らなかったのだが、とてもだしの効いた茶碗蒸しだった。スシローのあの卵豆腐みたいな茶碗蒸しとは根本から違った気がした。
イタリアンのお店であるが、箸も用意されているように、シェフは江戸料理にも長けているそうだ。

② 走水産さよりとウドのカルパッチョニ サルサヴェルデで
 緑に近い水色が中心に彩られているお皿で出て来た。
セロリかな?と思った茎はウドという多年草だったらしい。また、いわしかな?と思った青魚は鱵という秋刀魚と同じダツ目の魚だった。
料理の説明の際に、「わ〜!」とかいうお決まりのリアクションを取ってないで聞き返したり質問したりするべきである。

はらわたをとっても黒い膜が張っていることから、腹黒い人という意味もあるらしい。旬は12月から3月。日本海側とか千葉県でも獲れるらしい。
サルサヴェルデとは、北イタリアでよく用いられるイタリアンパセリをベースにしてアンチョビ、ニンニク、ケイパー(香辛料)を攪拌させた緑のソース。万能ソースと言われてるらしい。肉料理や蒸し料理に使われることが多いそうだが、カルパッチョに使うとは。粋である、ということか。これを全部スプーンで舐めたかったが気が引けてしまった。

③ 九十九里産小ハマグリの白ワイン蒸し(違うかも。お吸い物だった)
 国内のハマグリの90%はロシアや中国からの輸入品らしい。そんな中、今回は国産、しかも九十九里産の蛤をいただいた。身がしっっかりしていてプリプリとしていた。こんなハマグリ食べたことないぞ。また、お吸い物の中にタイムというハーブが入っていた。くさみ消しになるらしい。たしかに、貝なのになんのくさみもなかった。だれだローズマリーとかいったやつ。

④ うるいと蒸し新玉ねぎのサラダ アンチョビオイルがけ
 水菜と思って信じて疑わなかった山菜はうるいだったと思われる。茎は水菜、葉は食べたことのない香り高い葉っぱだった。あの香りの高さはなんなんだ!?うるいがすごいのか?サラダだけど料理方法がすごいのか!?玉ねぎも甘かったなぁ。サラダなのに。

⑤ ロールキャベツ トリュフの香り
 キャベツの中に肉が入っているのではない。なんと、フォアグラがキャベツで包んであるのだ。
おまけにトリュフが香ってたらしいがわからなかった。ちなみに古代ローマ料理らしい。
フォアグラをしっかりと食べたことがなかったのだが、いざ食べてみるとなんとコクのある美味しいお味!今までの自分の中にあった味覚の記憶と結びつけて例えるならばそう、くさみのないウニに美味しい味がついてる感じ。ファーストフォアグラがあれじゃもうフォアグラ食べれなくなっちゃうんじゃないかという懸念がある。

⑦ 下北半島産さくらマスのミキュイ ライムマヨネーズ
 ミキュイとは、「半分火が通った、半生」を意味するフランス語らしい。これがまた美味しいのなんの。身がほろほろとしている中に半生の食感。口の中の全ての場所が美味しいと歓喜する。
身がオレンジなので途中からサーモンと思ってしまったが、サケ科のサクラマスという違う魚である。味の違いがいまいち…感じ取れなかった泣共にあったそら豆も品のあるお味だった。祖父母の家のそら豆も、あのシェフにかかればこんな上品なものになるのかもな…

⑧ ペコリーノ・ロマーノと山椒のペンネ
 ペコリーノ・ロマーノは、羊のミルクを原料とした、イタリア最古と言われるチーズらしい。言われてみれば、普通のチーズとは違うミルクの味がした気がする。あれが羊のミルクか…色も白っぽかった。それに山椒とペンネである。味わったことのない組み合わせであったがペンネが進む進む。山椒をあれほど味わったことはなかったと思う。

⑨ AUST産子羊のロースト あまいスペイン産ちびグリンピースと
 ついにメインである。まずソースとグリーンピースだけでいただいてみたのだが、このソース、おかずになるくらい食べ応えのある日本人が大好きなソースという味なのだ。グリーンピース味のクノールカップスープをソースにした感じ。明らかにこの優しい味はシェフ独自のレシピだと思う。わかんないけど。そしてこの羊肉。癖強めかな?と思ったらもう、香り、味といい牛肉とか豚肉食べたくないわ!と思わせるような美味しさ。今も口蓋と咽頭がこの味を記憶しており、また食わせろと仕切りに訴えている。すまん……もう食えないかもしれない………。脂身まで全くしつこくなかった。
今日は胃がもたれる、と言っていた先輩の分も食べたのだが、大丈夫ですよ!と言って食べて貰えばよかった。全部平らげてしまったよ………人として大丈夫だったかなあれ。よく考えると。


⑩ カカオと栗、オレンジのトルタとバニラアイス
 トルタはチョコレートとアーモンドのケーキという意味らしい。オレンジの甘く煮たやつ?と生クリーム、バニラビーンズとなんらかが入ったいろんな味のするバニラアイスと栗のソースである。栗のソースはカカオも入ってたのか!わからなかった。バニラアイスは絶対になんか入ってたと思うが今となってはわからない。こういうことを質問するべきだったな。食べ切ってしまうのが勿体無かった。
でもまだ、デザートだけが味覚の記憶と結びついて味の特定ができる料理であった。それはコンビニデザートとかで甘いものをよく食べてるからか?というかデザートって感じ取れる味の範囲が狭い気がする。まあでも、それ以外の料理が自分の記憶とかすらないくらいぶっ飛んだところにあったのだろう。

 また、食事が進むにつれてワインも飲ませていただいた。最初はスパークリングワイン。なんとも飲みやすい炭酸である。レモンサワーなんかよりはるかに香り高く、次へ次へと口に運んでしまう美味しさだった。
次に白ワインを2019.2018,2004?,2014?のように4杯ほど出してもらったのだが、とても美味しくてびっくりしてしまった。ワインてもっとこう、うざいほど甘い匂いのする苦い飲み物と思っていたのだが、嗅げば嗅ぐほど葡萄の香りが広がり、口の中では甘さだけでなく苦味などだろうか、全く飽きさせないのである。だから何杯でも口に運んで、その美味しさを味わってしまうのだ。熟成期間が長いものほど重いそうだが、自分的には2004の熟成されたワインが一番飲みやすく、美味しいと感じた。自分の中で美味しいは、多分偏りのない味だった、ということだと思う。
次に赤ワインもいただいた。正直赤ワインは一杯しか頂かなかったため、あじの違いがわからなかったが、自分的には苦味が強く、白ワインのように何杯も続けて飲める感じではなかった。というかワインてそれが普通!?
ワインの度数を全く理解してなかったが8-15度らしい。その度数の白ワインんバカバカ飲んでしまったのは相当やばいのではないか。思ったよりも食後酔いが回っていてびっくりしてしまった。
 白ワイン、めちゃくちゃ美味い。これからレモンサワーじゃなくて白ワインがいい。

ご馳走になるのは申し訳ないので自腹で行こうかな、と思ったら、料理だけで13000円を超えそうだった。これにワインである。総額弐万円といったところか。
 こうしてまとめてみると、もっと料理に対して知らないこと、不思議に思ってることが沢山あることがわかった。そもそも、料理に対してこんな理解しよう、とか知りたい、という気持ちを普段持ち合わせていないため、咄嗟に「わ〜!おいしそー!」しか言えないのである。

今回で料理に対する考え方、味覚の感じ方、食材への関心など、色々なことが変化した気がする。料理に対して「味わう」という概念を持ち合わせれば、これからの人生もっと楽しくなるのではないか。

どんな趣味を持つにしろ、食事は生きていく上で必要不可欠な存在である。そんな食事を、「味わい、楽しむ」ことができれば、日々の生活、人生が変わるかもしれないと思った。

あんな食事、月に一回、食べれたらどんなに幸せかなぁと思う。稼ぎたいなぁ。

羊肉食べたいなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?