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ハワイ移住生活記42 ニイハウ島へ行った時の話

わたくしが、脳腫瘍の検査を受けるために帰国したのは2月末です。中国でのコロナウイルス騒ぎが日本でも騒がれ出していましたが、世界的には現在ほど大騒ぎにはなっていませんでした。先日、ハワイで暮らす名犬ゆか(前の会社のメンバー)と話すことがあったのですが、今、ハワイは大変なことになっているみたいです。

「お客さんの数が、他の時と比べものにならないくらい減ってしまったんです」

ハワイ州の経済を支えているのは「観光」と「軍需」です。かつてハワイは、サトウキビ畑がいっぱいあって、シュガーケインプランテーションで大儲けしていました。が、砂糖が後進国で安く作られるようになってからは、観光業が一番となりました。

911のテロの後、軍需が1番になったこともありましたが、現在はどっちなのかは知りません。とにかく、ハワイは「観光」と「軍需」で生きています。その観光業が、今、コロナウイルス騒ぎで壊滅的な打撃を受けています。飛行機がガラガラというか、本数も減ってしまってるみたいです。打撃を受けてるのは世界中ですから当然ですけど。

こんな時に何を書いたらええんやろう、と、悩んだんですが、わたくしは長い時間考えることができません。この状況に絡めて、観光に関することを書こうと思ったんですが、何も思いつきません。というわけで、今回は、ニイハウ島の話(なんでやねん)

ハワイの島々というと、日本では8つの島を紹介されます。が、本当は、はるか北北西の「ミッドウェー環礁」があるあたりまでの約20島のことを言うそうです。まあ、ミッドウェー環礁は軍の島になってるし、それ以外は無人島なので、数え方としては間違っていないみたいですけど。

日本で紹介されている島々は8つ。西から並べます。

・ニイハウ島
・カウアイ島
・オアフ島
・モロカイ島
・ラナイ島
・マウイ島
・カホオラヴェ島
・ハワイ島

ハワイ州の州旗(元はハワイ王国の国旗)には、8本のラインが描かれていますが、それはこれらの島々を表しています。現在、この8島のうち、人々が普通に尋ねることができるのは6つの島だけです。上陸できない島は以下の2つの島々。

■カホオラヴェ島/アメリカが日本と戦争をしている時に上陸作戦の練習をしたことから、軍の演習場として使われ始めます。朝鮮戦争、ベトナム戦争時は、爆撃機による空爆演習が行われたりして、不発弾いっぱいの危険な島になってしまいました。現在は立ち入り禁止。ボランティアによる不発弾の撤収作業が行われています。

もうひとつの上陸できない島は、一番西にある島です。

■ニイハウ島/この島はなんと、個人所有の島です。「田中さんの家」と同じで、勝手に上がることはできないのです。

ニイハウ島は、カメハメハ5世の時代に「島民付き+ピアノ1台+$10,000」で売られています。購入したのはスコットランド人のエリザベス夫人。亡くなる前に遺言を残します。

「ニイハウ島のハワイアンの生活を変えないように」

西洋化することなく、ハワイアンの生活を守るように、と言ったのです。エリザベス夫人の末裔、ロビンソン一家(現在の所有者)は、この遺言を守っています。ニイハウ島の住民が他の島を訪問することは許されていますが、外からは人がやってこないようにしているのです。

そんな島ですが、上陸することができます。ロビンソン一家は、緊急時の医療救助用に、ヘリコプターを持っています。そのヘリコプター維持費をまかなうために、ニイハウ島観光ツアーをやっているのです。なんじゃそれは!?と思われるかもしれませんが、一応遺言は守っています。ツアーに参加すると、ヘリコプターでカウアイ島からニイハウ島のビーチまで連れてってもらえます。

が、そこは無人のビーチです。ビーチで数時間過ごしたら撤収します。ニイハウ島住民と接することはありません。あ、もちろん、勝手にビーチを離れて島の中へ行くことはできません。

ニイハウヘリコプターINCのWEBサイト▼
http://www.niihau.us/index-2.html


6人乗りのヘリコプターで、ニイハウ島の無人ビーチへ向かいます。パイロットがいるから、参加できるのは5人。維持のためにやっているので、参加者が5人揃わないとツアーは行われません。

わたくし、そのツアーで2006年にニイハウ島へ上陸したことがあります。「行くべしカウアイ島見るべしニイハウ島」という本の取材のためです。それについて書こうと思ったのに、前置きがこんなに長くなってしまいました。すいません。

さて、ニイハウ島へ上陸できると聞いて、わたくしはいろいろ勉強しました。

外から人がやってこないように、と書きましたが、勉強したら、それがいつからなのか、ちょっと分からなくなりました。真珠湾攻撃の後、日本軍の零戦がニイハウ島に不時着しています。その時に、ニイハウ島でお店を経営していた日系人が零戦搭乗員と一緒に、ニイハウ島島民に殺されています。

零戦搭乗員が日本の情報を守ろうとし、日系人も零戦搭乗員を守ろうとしたから。とか言われていますが、島民の証言なので、どこまで事実なのかわかりません。それより、外から人がやってこないようにしてたんじゃなかったっけ?どうしてニイハウ島に日系人がおったんや?

ひょっとして、その日系人の奥さんがニイハウ島の人やったんかな?と思ったんですが、奥さんも日系人でした。でもって、島の外の人と結婚したら、ニイハウ島を出ていなかいと行けません。

とにかく、わたくしはいろいろ調べて、ドキドキしながらヘリコプターに乗り込みました。

カウアイ島の南にある、Port Allen Airport から出発して、ニイハウ島の真ん中へ向かいます。そこから海岸線を海から眺める感じで南へ。ニイハウ島は南北に長い島です。南を回りながら折り返し、北へ。と、ヘリコプターは途中から内陸を飛び始めます。どうやらその辺りの海岸線に島民が住むエリアがあるみたいです。島民とは遭遇しない、と聞いているものの、キョロキョロして人影を探してしまいます。見つけたからどうってわけでもないんですけど。

ヘリコプターは島の北海岸を回った後、ビーチの近くの芝生地帯に着地します。そこは、カウアイ島から一番近いビーチでした。真っ白な砂浜の向こうに、崖っぷちが続く山脈が見えています。ビーチはオアフ島のカイルアビーチのように続いているので、かなり歩かないとその山脈の入り口までは行けません。

陸地側を振り返ると、明るい緑色の草がボーボーとどこまでも続いています。そして、あたりに人はいません。ビーチにいるのは、ツアーに参加した人だけ。

ニイハウ島に上陸した!

わたくし、この時のことを「行くべしカウアイ島見るべしニイハウ島」という本で1回と、モーハワイ☆コムというWEBサイトで2回の計3回紹介しているので、ご覧になられた方はいらっしゃるかもしれません。ハワイアンモンクシールがいっぱいいたり、ビーチにサメの死骸が転がっていたり、一緒に行った人がスパイニーロブスター(ハワイの伊勢エビ)を見つけたり、結構楽しかったです。

なんすけど、実は、その時思ったことで、書いてないことがありました。

わたくしは、ニイハウ島がどういう島かを勉強してから上陸しました。なので感動したし、いろいろ妄想してしまいました。が、もし、何も知らない友人を連れてきていたらどう感じるんやろう? ハワイアンモンクシールがいっぱいいるのはすごいけど、風景として、何か特別なものがあるわけでもないような気がして。

世の中には、今まで興味がなかったけど、そこへ行ってからハマってしまったりする場所もありますが、ニイハウ島は勉強してから行ったほいうが良いと思います。

。。。。。。。つづく

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