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ハワイ移住生活記36 杖ついて歩いてます

手術の後、杖をついて歩くようになったことは書いたことがあったと思います。わたくしは現在、杖をついて、バックパックを背負って歩いています。

※上の写真は散歩の時のもの。バックパックは背負ってません。

バックパックを背負うようになったのは、3回目の手術をする前です。モーハワイ☆コムを辞め、H.I.S.に転職してクルマがなくなり、TheBus に乗るようになった時からです。特に深い理由はなく、カバンを持って歩くのが大変そうやったから、なんですが、その時使っていたバックパックがあまりにも見すぼらしかったせいか、現在の嫁がちょっといいヤツを買ってくれました。

そのうち、脳腫瘍の影響でフラフラするようになってきました。脳腫瘍が大きくなったために、三叉神経が圧迫されてたからなんやそうですが、脳天気なわたくしは、昔の手術のなごりやろ、と、まったく気にしていませんでした。

気にはしていなくても、フラフラなのです。TheBus から降りた途端にずっこけて地面に両手をついてしまったりしておりました。そうなっても、後遺症なんやろうなと笑い飛ばしておりました。ほんまにアホです。そして、その頃になったら、バックパックしか持ち歩けなくなっていました。

息子たちへの仕送りが終わり、再婚することになりました。で、入籍のため、休暇をとって帰国していました。念のため、と検査を受けたら脳腫瘍が見つかってしまいました。人生3回目の脳腫瘍摘出手術を受けることになったのです。大きくため息。

わたくし、新しい嫁には3回目の手術を受けるかもしれない話はしていました。嫁は心配性です。で、もしかしたらまた手術をしなくちゃいけないかもしれないから、と、こっそり調べてくれていました。そして見つけたのが、今回手術をしてもらった河野先生でした。嫁よ、ありがとう。

あ、命を救ってくれた先生のことを、「見つけた」なんて気安く書いてはいけないのですが、さくさく読めるようにするためこうしてます。お許しください。

河野先生がいらっしゃる東京医科大学病院は新宿にあります。先生に診察してもらうため、そんな大都会に、東北や九州の地方からも人が訪ねてきていました。果たして!河野先生は穏やかに話されるとても優しい方でした。静かに話されますが、デジタルに素早く判断されます。わたくしの症状を診て、最短でとれる手術日をおさえてくださいました。

河野先生は人気のドクターです。初診は1月でしたが、手術は8月1日となりました。半年以上先!涙

それまでに 何度か検査をしたりするので、4月ごろもう一度来るように、と言われました。8月までに死んでしまうんちゃうやろか。ちょっと落ち込みましたが、もともと能天気な人間です。1日落ち込んだら前向き人間に戻りました。

ハワイに戻り、2カ月ほど普通に働きました。脳腫瘍ということが分かったせいでそう感じているのかもしれませんが、足のフラフラが悪化している気がします。いや、自分が病気であることを意識してしまったから、そう思えてしまうのかもしれません。

帰国して、再び病院へ行く頃には、フラフラはさらに悪化していました。フラフラして普通に歩くことができません。で、嫁の肩に手をかけて歩くようになりました。

何かの検査で病院へ行ってる時です。立ち上がる時にわたくしはバランスを失いフラフラフララ、といつもより激しくふらつきました。それを見て検査担当のドクターが言われました。
「杖を持ったほうがいいですね。バランスが取れるだけでなく、杖を持つことで周りの人もぶつからないように避けてくれますよ」

目から鱗でした。バランスを取るためでなく、周りの人への信号になるわけです。

検査室を出て嫁に話すと、嫁は激しく頷きました。そして、さっそく、アマゾンで探して細い杖を買ってくれました。いくつもの金属管がゴムのようなもので繋がってる杖で、引っ張ったらバラバラになって、折りたたむことができます。

こりゃあいい、と思って使っていたのですが、いくつもの金属管が繋がっているということは、普通に使っていてもグラグラするわけです。構造上そうなので、まあ、グラグラして当然だと思っていました。

ある日、嫁のお母さん(義理の母)へ会いに行った時に、亡くなったおばあちゃんの杖が置いてあるのを見つけました。で、お孫さんと結婚させていただいた男です、みたいな感じで仏壇に挨拶をした後、杖を使わせてもらいました。と、なんと!まったくグラグラしません。まあ、棒なんですからグラグラしなくて当たり前です。よく考えたら、常に使っている杖なんですから、折りたたむ必要はありません。今まで使っていた杖がちょっと普通じゃなかったのです。

と、
「よかったらしゅんさん使ってください。おばあちゃんも喜ぶと思います」
お母さんが言ってくれました。というわけで、それ以降、おばあちゃんの杖を使うようになりました。

さてさて、手術をしたらこのフラフラは治るかと思っていたのですが、けっこう症状が悪かったみたいです。脳腫瘍は摘出できましたが、現在も杖をついて歩いております。

ちなみに、杖が無くても歩くことはできます。が、歩いていて誰かとぶつかったら制御が効かないので、バターンと倒れます。近くに壁があればいいですが、横断歩道なんかは怖くて渡れません。杖はわたくしにとって大事な存在です。

去年の年末、嫁のお母さんが、新しい杖を買ってきてくださいました。おばあちゃんの杖で良かったのに、と最初は思ったんですが、新しい杖は色もカタチもなんだかステキで、現在はそれを使わせていただいてます。お母さん、ありがとうございます。&おばあちゃん、ごめんなさい。

杖をつく人生はどんなのか。

杖持って歩いてるだけやろ、と思われるかもしれませんが、けっこういろいろ大変です。わたくしの場合、バランス感覚に障害が出ているために杖を持っています。いきなり、動きがあるエスカレーターに乗ったりすると、右手か左手で手すりを持って、その動きに乗らないといけません。

意味が分からないかもしれないので、具体的に説明させていただきます。

コーヒーを買ったりしたら、右手で杖を持って、左手にコーヒーを持って歩きます。このままエスカレーターに乗ると、いきなり足下が動き始めるので、バランスを取らねばなりません。普通の方にはどうってことない話なのでしょうが、バランス感覚がやられちゃってるわたくしにはスリル満点、超ピンチです。

両手が塞がってるまま足元が動くので、バランスが取れず、ひっくり返りそうになります。慌ててコーヒーを持ったまま杖を動かし、コーヒーをこぼしたこと数回。怖くて、最近は、コーヒーを買ったらエレベーター直行です。

ううむ、話がどんどんそれてきて、同情してもらいたいかのような話になってきましたな。もうやめときます。こんなきっかけで杖をつくようになりました、というお話でした。

。。。。。。。つづく

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