気になるCase Reportを読んでみる#1
はじめに
続けていくかは分からないですが、元々論文を読んでまとめを発信をすることには興味を持っていました。
ただ論文のまとめは最近ではm3をはじめとした医療者のポータルサイトや医局や大きい病院などが発信されています。
(当科でも有名なところだと飯塚病院血液内科さんがまとめていますね)
ということで、あまりまだ発信はないであろう参考になったCase Reportを読んで発信する記事を作成してみました。
反響があれば続けていこうかなと思います(不定期になることを最初から予告します)。
今回のCaseの概要
Caseのリンク
https://is.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/006030200j.pdf
治療介入がなされていないものの腫瘍崩壊症候群が起こることを自然崩壊型腫瘍崩壊症候群(Spontaneous Tumor Lysis Syndrome;Spontaneous TLS)とされているが、そもそもTLSの発生の少ない固形癌で、さらに発症することが稀であるSpontaneous TLSの状態であったと考える症例である。
数十日前に肺癌(肺扁平上皮癌)の診断がつくも、動機・呼吸困難で入院となってしまう。入院時にDICを合併している状況で、翌日に腎機能や尿酸値が増悪したため、Spontaneous TLSと診断するも、全身状態が増悪し死亡した。
コメントと日常臨床への気づき
論文には書いているが、Spontaneous TLSが起こり得る状況としては白血病やリンパ腫といった血液悪性腫瘍がほとんどである。
またSpontaneous TLSでは一般的なTLSで値の動きが見られるカルシウムやリンの値が動かないという特徴がある。
そんな中で起こる固形癌におけるSpontaneous TLSについての特徴が本論文中ではまとめられており、文献的考察がなされている。
どの症例でもSpontaneous TLSを起こし得るリスク因子は持っているが、やはり言えることは早期診断と治療介入が予後を規定するようである。
腫瘍の診療に携わる医師はFNや椎体転移による神経圧迫障害といった、いわゆるOncologic Emergencyの診療にあたることがあるが、このTLSもそれに該当するものであり、またその特殊型であるSpontaneous TLSといった病態も救急対応が必要であることを学んだCase Reportであった。
(とはいえ、だいたいのTLSはやはり殺細胞性抗がん剤投与後=入院中に起こることではありますが…)
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