安部元首相を悼む

私が、安倍元総理死去の第1報に触れたのは帰宅中の路上でした。
たまたま小さな居酒屋の前を通りかかったときに入口の戸が開いていてテレビの音が外に漏れていました。そして、「安倍元首相が亡くなられた。」の音声を一瞬耳にし、思わず引き返してテレビの映像を外から覗き込んだところ、あの信じられない映像が、、、、、、しばらく動けませんでした。
帰宅すると、家の中には沈痛な空気が流れ、家族がニュースに見入っていました。

私は、元海上自衛官で平成31(2019)年2月に定年退職しています。第2次安倍内閣は平成24(2012)年12月から令和2(2020)年まででした。自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣であり、私は自衛隊勤務の最後の約6年間を安倍総理の下で務めました。
その間、詳しくは触れられませんが、おそらく安倍総理でなければ実現しなかった困難ですがやり甲斐のある任務も多く経験しました。
また、安倍総理は自衛官や海上保安官などをとても大事にされる方であり私たちの名誉を重んじてくださいました。
海外での行動に従事した指揮官と乗員代表を夫婦で桜を見る会に招待され、私たち夫婦も招いていただき参列しました。
桜を見る会では自衛官を自らの一番近い席に呼ばれ声をかけられていました。一部の野党やメディアが批判されるような会では決してありませんでした。
自衛官だけではなく、私たちと共に仕事をした同盟国の軍人たちも招待されていました。私は、会の中で任務の中で知己を得た米海軍の指揮官と劇的な再開を果たしそれぞれの家族と共に親交を深めることもできました。

自衛隊の制服を脱いだ時に色々な意味で安倍総理に対する感謝の気持ちで一杯になったことを思い出します。

それだけに今回のことは残念でなりません。喪失感と虚しさが心に満ちています。怒りもありますが悲しみの方が大きいです。
犯人が元海上自衛官であったことにも衝撃を受けています。たった3年間であったにせよ、かつては職場を共にしていたわけですから。退職後、どんなことがあったのかわかりませんが、自衛隊時代の気持ちは失わないで欲しかった。今はこれだけしか言えません。
メディアが元海上自衛官と繰り返し報道するのは本当に辛いのですが、それに耐えることも義務だと受け止めています。

現政権は、安倍総理が遺されたことをしっかりと継承していただきたい。
悲しんでいる暇はありません。日本の置かれている状況はとても厳しく危機的なものです。

そんな中、各国のリーダーが真心のこもった哀悼の意をいち早く示されていることには、多少救われた気持ちになります。インドのモディ首相は、本当に気持ちのこもった発言をされ国を挙げて喪に服すことを明示された。エリザベス女王は天皇陛下に弔意を自ら伝えられた。その他多くの国、ロシアのプーチン大統領、タリバンまでもが弔意を示しています。この事実を見ても、安倍元首相を失ったことが日本、世界にとって大きな損失であるといることが言えると思います。

最後に警備に当たられた奈良県警の昨夜の会見ですが、県警本部長が対応されなかったことに疑問を感じます。現場で警備に当たられた警官には敬意を表したいのですが、警備自体は失敗したわけですから、まずトップが謝罪されるべきではないでしょうか。

しばらく気持ちの整理がつきそうもありませんが、衷心より安倍元総理のご冥福をお祈り申し上げます。

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