フラワーカンパニーズの曲を聴いて声を出して泣いた話

フラワーカンパニーズというバンドの曲を聴いて、声を出して泣いたことがあります。正確にはちょっと嘘で、泣きそうになって涙がにじんだことがあります。声は出しました。長男が生まれた次の日のことです。そんなお話です。

長男は難産でした。25時間におよぶ陣痛の末の出産でした。

里帰り出産のため実家に戻っている妻から、出産予定日の前日早朝に連絡がありました。「破水した」と。
飛び起きて、妻の運ばれた産院へと車を飛ばしました。
予想に反して妻はケロッとしており、破水はしたけど産気づいてはおらず、陣痛が来るまで待ちましょうとのこと。産院の個室でゆっくりしたり、外へ一緒に散歩へ出かけたり、もうじき僕らはパパママになるんだね、なんて話したりしているうちに、夜。
寝ているうちに陣痛来るのかな、とか言いながら就寝することにした22時ころ、ついに陣痛が来ました。立ち合い出産のパパにもしっかり手伝いをさせてくれる産院だったので、そこからは付きっきりで妻をさすったり、押さえたり、激しく痛がる妻に声をかけたり。
フリースタイル出産の産院だったため、個室の主にソファーで出産は進みます。そこで全力でさすったり、押さえたり。
さするのは、手の平の油がなくなるくらい。押さえるのは、腕が筋肉痛になるくらい。でも陣痛に耐える妻はもっともっとしんどい。
そんな感じでフラフラになりながら朝が来て、陣痛の間隔は縮まらないながら痛みはどんどん激しくなり、でも子宮口はなかなか広がらず、妻はずっと飲まず食わずだったので飢餓状態になって夕方頃には熱が出たり、子宮口を柔らかくする薬や陣痛促進剤を何度も使って、陣痛が2分間隔まで縮まったと思ったらまた広がったり、ここまで来ての帝王切開が途中よぎったり。
そして陣痛が始まってから25時間後、出産予定日の23時、吸引分娩にて無事出産。元気な男の子。

泣きました。

妻は陣痛と闘う25時間の間、一度も弱音を吐かなかった。痛い痛いと叫びながらも、ネガティブなことは一度も言わなかった。頑張ったね、無事生まれたね、赤ちゃんかわいいね。かわいいね。

喜びなのか、達成感なのか、開放感なのか、感謝なのか。おそらくその全部と、他にも言語化できない感情がないまぜになって、あっという間に泣いていました。

泣いたんですが、フラワーカンパニーズの曲はこの時は聴いていないので、今回のお話の本筋はこことは違います。

翌朝、体はギシギシでした。長時間に渡るさすり、押さえ、声かけ、および睡眠不足もあってフラフラ、のはずなんだけど、子どもの生まれた喜びか興奮かで、ギシギシではあるけどしっかり元気。ひとりで車でラーメンを食べに行きました。産まれたての息子と産みたての妻にしばしの別れを告げて。というのも、入院する妻には食事が出るけど、私には出ないからです。
そして食事後さっそく出生届を出すため市役所へ行き、でも住民票のある市区町村で出すものであったため、妻の里帰り先の市役所では出せず、ありゃりゃと思いながら産院へと戻る車のカーステレオから、流れたのです。

  最後の最後の最後には 大体なんとかなるからよ
  最後の最後の最後には 絶対なんとかなるんだぜ

フラワーカンパニーズ "最後にゃなんとかなるだろう" (Official Music Video) - YouTube

わたし、「ウワーーー!」と言いました。涙がにじみました。
なんとかなったよー。産まれたよー。母子ともに健康だよー。

そして歌は上記歌詞のリフレインの後、最後のフレーズだけわずかに変えて
こう歌うのです。

  絶対なんとかなるんだぜ
  絶対なんとかするんだぜ

わたし、また「ウワーーー!」と言いました。
なんとかしたよー。妻は一度も弱音を吐かずに頑張ったよー。僕は体ギシギシになるまでサポートしたよー。母子ともに健康だよー。


こんだけの話ではあるけど、フラワーカンパニーズのことを好きな友人と会ったときに話したいなと思っていて、でも新型コロナのこともあって4年以上その機会は無いまま。そんな中、隣の市でフラワーカンパニーズのライブが先日ありました。しかし母子の事情によりどう頑張っても行けず。なんとか行けないか結構ぎりぎりまで模索したんだけど、やはりどう頑張っても行けず。この気持ちをどう片づけたらよいか分からず、ここに書きました。

次にフラワーカンパニーズがライブに来てくれるときは、家族そろって観に行ってみんなで大きな声で歌えたりできるといいな。おしまい。


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