得意技

朝、起きて、今日はブログ5つ書くぞって決意が降ってきた。
なぜ5つかはわからないけど、スマホに消費されすぎて何か生産しなきゃみたいな意識はあった。どうせ就活やらないしね。

起きてからとりあえず、ご飯を食べようと思って、妹にすき屋行かない?と誘った。
父と次女が旅行でいなかったし、おととい買った本に載っていたダイエットに最適なメニューが揃っているから。

すき屋から帰ってきて、ちょっと横になった後ブログ頑張ろっかなと考えつつ、
ほぼ日のサイト見ていたら、糸井重里とアラーキーの対談が乗っていて
それが面白くて、いいな、覚えておきたいって思う発言をスクショにとりまくった。

「男は顔がヌード」

「人ってたいがい悪いところは隠すけどワルじゃないと魅力ないんだよ、男ってさ。」

「(写真って)写真家の思うがままなんですよね。」

「写真を撮る行為ってのは、引っ張りだすってことだからね。相手の魅力をさ。」 

「(女で「裸ノ顔」をやるのは?)いろんな得意技を引っ張り出してやろうとこっちだって思うから。媚びだとかさ、裏切りだとかさ、そういう得意技をね。」

「(男の)秘密なんか当然バレてるし、毒だってバレちゃうから。女の毒は、わかりにくいよ。」「何か、おいしいものに混ざって、「そこおいしいでしょう」って毒ね(笑)」

「他方で嘘の魅力ってあるよ。」

「嘘は美しいよ。」

「写真ていうのは、昨日今日撮った写真でも、うーん、懐かしいなって、そういう気持ちが出る写真が、いいんだよ。」

「自分が相手に染み込んで写っていない写真はだめだよね。」

スクショをとりつつ、去年アラーキーの本読んだよなあって、いい本だったてのはなんとなく覚えてた。多分捨てずにとってもある。けど、なにが書かれたか全然覚えていない。
今から読み直す気分でもないなあと再びゴロゴロ開始。

アラーキー77歳なんだなあ、生きているうちに、写真撮ってもらいたいなあなんて。
生きている今写真展にぐらいは行きたい、あっ今やってるのでは?と即検索‥‥やってたー!

そうだよ、今夏はこうやって時間を使わないとって気が大きくなって、
その気分のままに、普段なら足の太さを気にして着ない着れない、ミニのデニムワンピースを着て出発。

東京オペラシティでやっているらしい。最寄りは初台だけれど、夏になると狂ったかのように歩く習性がある私は、汗だくになることを承知で新宿から20分歩いた。
南口はすごく混雑していたけれど、都庁付近まで行くと祝日でオフィス街だかたらか閑散としていて緑と風が気持ちよかった。
ハンカチを忘れて、ティッシュ配りのお姉さんに自ら声をかけてもらった。お姉さんが2個くれた。

到着して、汗をかきすぎてボロボロになったファンデーションをすぐ直し、アートギャラリーがある3階へ。
チケットの買い方がわからず、わざとゆっくり歩いて、前の男の人がどう買っているか確認した。普通におばさんに言うだけだった。

静かで、監視の目が厳しくて、少し窮屈に感じた。
祝日で時間も15時頃だったから、混んでいるかと思ったら、そんなに人はいなかった。
客層は、中年の冴えないおじさん、サブカルなカップル、私みたいにサクッときたようなおばさん。
帰り際、白人の外国人の団体と日本人が楽しそうに鑑賞していて、おしゃれな光景だった。

ちゃんとした写真展なんて初体験。
写真を展示するにも、こんな見せ方をするんだって思った。
小さい部屋に入って、壁3面それぞれ違う写真を流していくとか。

あと、写真をパシャパシャとスマホで撮っている人が多くて驚いた。
写真オッケーだしマナーがどうこうじゃなくて、
私が行く前に対談見たからかもしれないけれど、
一流の写真家の写真をそんな風に扱っていいの?記録用としてももう少し敬愛を込めて撮らないの?と思ってしまった。
彼の写真に惹かれてここまで足を運んでいるんだから、なんだかもったいないというか、残念だった。

写真は、風景のよさはぼんやりとしかわからなかった。
いちばん、女のヌード写真がよかった。あまり顔もよくない太ったおばさんの修正なしの写真。
陰毛やおしりのシミ、毛穴の開きまで、全部見える。
全部見えるのに、その女性たちがどう生きてきたかなんて、全くわからなかった。
歳をとって、肌のキメやハリはなくなり、体もたるんでいた。おっぱいも垂れ下がって、乳首も黒くなって、お腹は三段バラになっている。
おばさんって、一括りにされてしまうような人たちが、一人の女として写っていた。それぞれの得意技をもって、アートとかじゃなくて、一人の女だった。
女のそれぞれの得意技がそれぞれ出ていた。
見ていて、個性ってこういうことなんだと思った。
個性って、一言で言えるものだと思ってた。プラスな言葉だけが個性だと思ってた。
個性って、その人の隠したいところ、隠したい性格のこと。悪が個性で、一言で言えるようなものじゃない。個性ってだすものじゃなくて、滲みでるもの。
女性は、男性よりも、個性が複雑だってこと。

わたしがわたしの嫌だと思う部分が、わたしの黒い部分が、個性でいつか得意技になるんだ。私の悪が、私になるのが怖いと思っていたけど、もう既に、今のわたしに組み込まれているんだ。
直そうと思えば直せると思っていたけど、手遅れで、直そうとしなかった行動こそが、個性だ。
そうならば、歳をとることも太ることも怖くなくなるかもって思った。ようやく、わたしはわたしになれるのかもしれない。

全て見終えて、外に出た。夕方になって、ちょっと涼しくなっていた。充電が4パーセントだったから、コンセントがあるカフェに寄って帰ろうかと思ったけど、どこも混雑していて、携帯を触らず帰った。
音楽を聴かないで、電車に乗ったのは久しぶりだった。することがないから、車内の人を観察した。最寄の駅で降りて、汗をティッシュで拭いて歩いて家に帰った。

今年、アラーキーは約15の個展を開催するらしい。今日行ったのが、その中で最大の規模のものらしい。また秋、冬と行きたい。
写真を見て、その場で何かを感じたけれど、それが何かわからなかったから、書いて気持ちを浄化できて、うれしい。
はちゃめちゃな文だけれど、書ききれて、安心している。
もし最後まで読んでくれた人がいるならありがとう。わたしの個性は嘘です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?