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天使の輪っか色

銀座を歩いているとそこらの道端に座りこんでいる外国人がたくさんでイヤんなる。ほとんど地べたにベターっと座っているのを見ると心底ガッカリするからやめておくれよう、と泣きそうな怒りそうな気持ちになる。かなしいと悔しいの狭間。

とあるワインバーへ連れて行ってもらう。20年もお店をしていて、高級なワインがグラスで飲めるという。1杯2000円から、5万円ほどのものまでをずらりと20種類並べられ、目の前で店主がひとつひとつ説明。これ、ワインにまったく興味がなかったりする人にとってみれば地獄絵図。ワイン好きにとっては垂涎ものだ。その時のわたしはとにかくシャンパーニュをひたすら飲みたかったので、白ワインから赤ワインの説明を20本ぶん聞きながら、シャンパーニュをおくれ…と願っていた。何分くらいワインの説明を受けただろう、いい意味でクセが強いこのお店で飲むファーストドリンク、すべては1発目にかかっている。ぜんぶ説明してくれて「さあ何を飲まれますか」となったとき、わたしの口と舌はすっかりシャンパーニュを待ち受ける体制だったので、結局シャンパーニュをいただくことに。

「シャンパーニュは1日1本しか開けないんです、次の日に持ち越したくないので」と店主は言い、ルイロデレールのロゼをボトルのハーフで飲むことになった。嬉しいありがたや〜!背の高いフルートグラスと、丸みをもったブルゴーニュグラスのふたつのグラスで飲み比べをする。そうそう、わたしもこういうことがしたいんだよなあ、とか思いながら、美しいピンク色の液体をぐびぐび流し込む。幸せだ…ご馳走様でした!

銀座っていろいろあるなあ、と改めて実感。そのあとは朝の5時までやっているという牛タン屋さんへいき、しっかり飲んで食べた。グランヴァンを飲んだあとにシメるユッケとレモンサワー。シャンパーニュを飲むとどこへだって行ける。危険で安全安心な飲み物。コーヒーは悪魔の飲み物だなんていうけど、シャンパーニュは天使の飲み物だ。きれいな泡、きれいな香り、きれいな舌触り。シャンパーニュの黄色は天使の輪っか。飲めば飲むほど天国に近づき、近づいたと思ったらベッドで倒れてる。あー地獄。地獄絵図を見ながらまた飲もう、いつだって天国に近くなる。天使が連れて行ってくれる。シャンパーニュを飲んだ勢いで、神様に名刺を渡してしまってはずかしい。美味しいシャンパーニュっていつまででも飲めるし、いつまででも飲めると思ったとたんに突き落とされる。



嬉しい!楽しい!だいすき!