コロナ禍、教育格差…。子供たちを取り巻くIT教育の現状とは?

2020年、世界を震撼させ今なお人類を脅威にさらしている新型コロナウイルス。
コロナ禍での学習の遅れや教育格差は一体どのようになっているのか?

今回はIT教育全般における現状を調査してみました。

【学業遅れに対する懸念】

日本財団による18歳意識調査(https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2020/20200611-44985.html)の結果、休校によってもっとも困ったことの割合は以下のようになっています。

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上記グラフによると3人に1人が休校により学業面で不安を感じていることがわかります。
自由記述の回答を見るとオンラインでの授業への戸惑いや、ネット環境のせいでの授業の受けにくさを挙げている意見もみられます。

また、イー・ラーニング研究所の「2020年新型コロナウイルスによる学習対策に関する調査」(https://www.sankei.com/economy/news/200625/prl2006250562-n1.html)によると
親の約8割が学習の遅れに関する今後の対策に不安を抱いているようです。

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具体的にどのような点に不安を感じるかについては以下のようになっています。

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学習格差について各家庭レベルでの格差が生じる可能性を懸念している親が多いことがわかります。
親・子共に学業に関する不安は大きく、更に学習格差に大きな懸念があることが伺えます。

このことから、早急なオンライン化への期待と需要の高まりと現実の環境の乖離が確認できます。

【学校のICT環境整備について】

2020年4月3日の未来投資会議では家庭学習の環境整備のため安倍晋三首相がノート型PCなどの情報端末を2023年度までに生徒1人に1台整備する計画の前倒しを表明しました。

しかし、2019年3月に発表された全国の自治体を対象に小中高校における遠隔教育の実施状況に関する調査結果(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040500159&g=eco)による結果は以下のようになっています。

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昨年のデータとはいえ、約8割の自治体が遠隔教育を実施していないことが明らかとなりました。

更に、今後の実施の意向については以下のようになります。

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約7割の自治体が「今後遠隔教育を実施する予定はない」と回答しています。
通常業務に加えてのICT整備に対する、準備不足は明らかです。

新型コロナウイルスによるICT環境整備の為にNTTドコモなどの携帯大手3社が期間限定で通信料負担を軽減したり、政府からのWi-fiルーターの貸し出しなども検討されているものの、経済団体幹部からは「学校側の受け入れ体制が整っていなければ意味がない」との指摘もあります。

【教育格差の実感】

再度、日本財団による18歳意識調査(https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2020/20200611-44985.html)の結果によると、子供たち自身にも教育格差を感じている現状が明らかになりました。

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自由記述の抜粋によると、「私立と都立では差でてしまうかも」「公立に通う私たちは自習で頑張るしかない」といった経済的格差からの教育格差、休校期間の長期化による地域差などでも教育格差を感じているようです。

その対策として52%の子供たちが「オンライン授業を増やす」ことを期待している一方で、現実には学校側の制度が整っているのか不明瞭となっています。

【家庭学習も学習評価に反映されるように】

2020年4月10日、文部科学省の学習指導の通知によって指導計画を踏まえて学校が課す家庭学習が評価に反映されることが可能になりました。

家庭学習の具体例としては「教育委員会や学校作成のプリント」の他に「NHK、Eテレなどのテレビ放送を活用した学習」「文部科学省Webサイト」「ICT教材や動画を活用した学習」があげられています。

ここでも、各家庭レベルのICT環境の格差が教育格差に影響してきます。
特に親がフォローしきれない部分の学習についてはどのようにサポートしていくのかについては何も記されていません。

【災害などによる避難、登校停止】

新型コロナウイルスもそうですが、自然災害も子供たちの学習を脅かしています。
令和2年7月豪雨が特定非常災害になったのは記憶に新しいですが、頻発する地震、ゲリラ豪雨などによる水害も学習環境を阻害する要因です。

避難所での学習は身体的、また精神的にも難しいことは想像に難くありません。
未曾有の大災害に見舞われている昨今、現状を悔やむより「今、私たちができること」を改めて考え、行動し、実現する必要があるのではないでしょうか。

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