ヘライさんの死生観がバグっている話②

前回が一回目に死にかけた?ことだったのだ。
母イさん曰くヘライさんがやっと産声を上げたその声を聞いた時
この子は大丈夫だと生きると思ったらしいのだ…

そして二回目に死にかけた話なのだ。
それはバイクでの事故だったのだ、大きな事故だったのだ。
その頃ヘライさんはバイクに乗るのが本当に大好きだったのだ、大好きで大好きで毎日最低片道50キロは走ることにしていたのだ、ヘライさんはバイクの運転が上手になりたかったのだ。


ジムカーナもオフロードのダートコースもチャレンジしていたのだ。
それは当時バイク仲間だったおっちゃんたちがヘライさんがバイクに乗ることを応援してくれていたからなのだ。

やっぱりおっちゃんたちはみんなすごく上手だったのだ、キャリアの違いってやつなのだ。
それかヘライさんは運動神経が悪いからきっと上手にはならなかったかもしれないのだ。
それでも毎日バイクに乗って走ることに夢中だったのだ。

親に酷く怒られたり理不尽なことがあって、いつもおっちゃんがいるところに行って泣きながら凹んでたら

「なーに、そんなことか、そんなんバイク乗ってればなんとかなるんだよ、ちょっと走ってこい」

いつもそう言っていたのだ、実際泣きながら海の見える国道を走っていると本当にどうでも良くなってくるから不思議なのだ
ただいけなかったのがヘライさんはハンドルを握ると性格が変わってしまうくらいのスピード狂だったのだな…
高速道路を運転するのも大好きだったのだ

そしてあてもなくただ走るために国道を走っていた日なのだ。
どういう状況だったか記憶が曖昧なのだけれどもヘライさんは華麗に事故ったのだ。

事故った瞬間バッと視界が暗くなりヘライさんは宙を羽が舞い落ちるよようにゆっくりと舞っていてとっても気持ちよくて

「あー、やっちゃったんだな…これでやっと死ねる。」

そう思ったのだ。

バイク仲間のおっちゃんの一人にキリンという古い漫画を借りて読んでいたことがあったのだ、ヘライさんがスピードの向こうに求めていたものは“死”だったかもしれないのだな…

そしてヘライさんの身体が地面に着地したのだ。

そしたら強烈な吐き気をおぼえてシンプソンのフルフェイスのヘルメットの中でゲロゲロ吐いてたのだ。
そしてまた視界が暗くなって目が覚めたら親が泣いていたのだ。

ヘライさんは救急搬送されて4日意識が無かったらしいのだ。
ヘライさん本人はそんなことはわからなかったから病院であろうベッドの上で視界に入る母親がなぜが号泣していてその頭越しに点滴のパックがいくつかあったことが印象的だったのだ。

「あ、死ねなかったのか、生きてしまったんだな」

その時そう思ったのだ…

ヘライさんはその時頭蓋の後ろ側にヒビが入っていたらしいのだ、それでも奇跡的に脳は無事だったそうなのだ、内臓破裂もなく骨折も軽いものだったのだ。
全く一般的にいう運だけはほんとにいいやつなのだ。
ヘライさん的にはあーあ死ねなかったって感じだけれども、今考えるとヘライさんが死ぬ死なないってことより事故った見ず知らずの相手を殺人者にしてしまうかそうでないかなのだから、きっと運はいいのだろうなと思うのだ。

2回目に死にかけた話だったのだ。
今日はちょっと長かったのだ、みてくれてありがとうなのだ
次はまた小さい頃の話に戻るのだ。

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