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2020年世界の繋がり方 -Kawaiiの場合-

こんにちは。HELI(X)UMスタッフです。

もうすぐこのNPOを発足して一年です。去年の今頃は、早速オランダから2人のインターン生とアーティスト・バスコスタスを迎えたり、アートを通じた世界とのコミュニケーションや教育について考えながらワクワクでいっぱいでした。

しかし、一年たった今。ご存知のように世界はこんな状況です。海外から日本に来る予定だった子達は皆キャンセルとなり、日本からも留学はもちろん旅行にすら行けません。

それでも、今だからこそできることもあるはず。今日は、この状況の中、私たちが重ねた活動についてお伝えしようと思います。

Kawaii Tribe宣言

2020年5月のはじめ、世界的にロックダウン真っ只中で、まだまだ絶望と閉塞感が充満する時期。戸惑い、落ち込み、それでも前を向くしかないと試行錯誤しながら、代表である増田セバスチャンと辿り着いたのは「自分たちにしかできないこと」を「自分たちでしかできないやり方」でやるしかない、という考えでした。

となると、我々のやるべきことのキーワードはもちろん「Kawaii」です。

私たちがKawaiiと共に、Kawaiiを愛する世界中の人のためにするべきことはなんだろう。まず初めに行ったのは「Kawaii Tribe」という宣言文の発表です。

Kawaii Tribe(カワイイトライブ)は、2018年に増田セバスチャンがニューヨーク大学(NYU)の客員研究員として在籍していた時に、「デジタルトライブ」という概念についてディスカッションした際に出てきたことばです。

トライブ=部族。デジタルトライブの概念では、これからの時代は既存の人種・宗教・年齢・性別・国境、ありとあらゆるボーダーを飛び越え、それぞれの共通項でデジタルを通して新たなトライブの形が生まれます。

一方、Kawaiiフォロワーはリアルコミュニティではマイノリティであることが多く、インターネットを通じてKawaiiを好きなもの同士でつよいつながりを持っており、まさにデジタルトライブが発生していました。そこで、これを増田セバスチャンが「Kawaii Tribe」と名付けたのです。

これまでKawaii Tribeは、ファッションやアートなどのビジュアルがコミュニケーションの中心でした。ですが、お買い物にもいけない、友達にも会えない。

でも、きっとKawaiiのハッピーなマインドはビジュアルだけに反映されるものではないはず。こんな時こそ、言葉でも自分を表現していこう、という思いで、宣言文は”Speak Up”で締められます。

▼増田セバスチャンが投稿した宣言文「Kawaii Tribe」(Instagram)

ー序文ー
今、僕たちにできること。

国や境遇によっては、さらに窮屈な環境を強いられている人もいるし、先行きが見えずに、ただただ落ち込んでいる人もいると思います。

日本にいる自分にできることは、ここから(世界の)皆に声をかけることくらいしかないかもしれません。

まもなく、次の時代がやってきます。

同じスピリッツによる「つながる思い」は、今ここから一歩前に踏み出す勇気を与えると、僕は信じています。
ー本文ー
A dark, closed world has come about in a moment.
Not knowing where tomorrow is heading, everyone is filled with unease.
But remember.
We’ve been walking a path, uncertain if it was the right one.
It seemed like a lonesome journey, but we knew it wasn’t.
We may speak different languages and live in different places, but we have all been united by our common language of “color”.
We can remember all that we’ve seen walking that path with our friends.
We have the power of color.
It‘s possible that we can relish the pleasure of meeting new people if we freely use our common language.
Overcoming any possible border such as nationality, gender, age or religion.
Now, although we may not be able to travel freely,
let’s surrender our pride to the power of color.
We can see the world using the language of color.
Yes, let’s “speak up” now.
In the best way you can,
before this world loses its color.

#KawaiiTribe
Speak Up
ー本文ー<日本語訳>
一瞬にして、暗く閉じた世界がやって来た。
明日がどこへ向かってしまうのか、誰もが不安を覚えた。

でも、思い出して。
気がつけば、正解のない道を僕らはひたすら歩いて来た。
時には笑われ、時には好奇の目にさらされたこともあった。
振り返るとどこまでも続くこの道を、たったひとりで歩いてきたわけではないよね?

違う言葉を喋り、違う土地に住むものどうしを、”色”が僕らをつないでくれていたはずだ。
そう、僕らは、同じ向こうの景色を見ていたのだ。
僕らは”色”という力を持った。

“色”という言葉を持てば、もっと自由に、もっと鮮やかに、人種・宗教・年齢・性別・国境、ありとあらゆるボーダーを飛び越えて皆とつながることができる。

世界を自由に飛び回れない今、
“色”という言葉で、飛び回る勇気を持とう。
”色”というパワーに僕らのプライドを託そう。

さあ、今こそ話しだそう。
世界が色を失ってしまう前に…

#KawaiiTribe
Speak Up

信じがたいかもしれませんが、Kawaiiを愛する子達はシャイな子たちがとても多いのです。「Speak Up」。そんな彼らに向けて、こんな時だから、今だからこそ、もっと自分らしくなれる。そんな強い想いを込めてのスローガンを発信しました。

Kawaii Tribeにより世界に拡散された宣言文

この増田セバスチャンからのメッセージをキャッチしたKawaii Tribeは、自分の国の言葉で宣言文の翻訳を始めました。​

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ボリビア、ベルリン、ブラジル、チュニジア、ベルギー、台湾、フランス、イスラエル、チリ、ルーマニア、オランダ、スウェーデン…
自分の母国語で翻訳することで、自国の人々にメッセージを届けてくれたのです。

Kawaii Tribeは私たちの声を待っていてくれている、そう確信するには十分の反応でした。

Kawaii TribeのZOOM開始!

世界中の人たちが外に出られないのなら、実際の距離なんて関係ない。今こそデジタルの力でつながる大きなチャンスなのかもしれない。そんな思いで、次に行ったのがzoomを使った世界各国のKawaiiコミュニティとのオンラインでの会話でした。

各国の時差を計算しながらアポを取って、毎週水曜日の17:00くらいから27:00くらいまで。今、どんなことを考えいるの?そちらの状況はどう?みんな元気?様々な国のKawaii Tribeと話をしました。

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さらに発展‥‥Kawaii Tribe Session!

そしてその発展版が、先日ヘリウムnote会員の皆様もご案内した「Kawaii Tribe Session」です。

2020年7月5日「Kawaii Tribe Session in Canada」

Kawaiiを愛する人たちが一同に介して行うオンラインセッションです。第一歩は、カナダのKawaii Tribeのメンバーと行いました。

配信は、増田セバスチャンと同じく京都芸術大学が誇るアーティスト工房「ウルトラファクトリー」に所属する、メディアアーティストの山城大督さん率いるオンラインチームにご協力いただきました。

オーガナイザーは6%DOKIDOKIのカナダツアーもアレンジした、コミュニティリーダーのアレクシア。集まったメンバーはカナダのKawaii Tribe、16名。(最初なので人数は少なめにでお願いしました。)「トライブ」という言葉になぞらえると、地域別の民族会議のようなイメージでしょうか。

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とにかく皆嬉しそうで、でも真剣で。「あなたにとってKawaiiとは?」という質問や、彼女たちからの質問にセバスチャンが答える時間など、久しぶりに皆と時間を共有することができました。Kawaii Tribeによる世界サミットも夢ではないかもしれない、そんなことを思い描くことができました。

そして新たな時代へ

結果的にこうやって世界中のKawaii Tribeと繋がることができたのは、今の状況のおかげでもあります。これから中東などまだ訪れたことない国の子たちともコンタクトを取っていて、ワクワクしかありません!

ちなみに、同じく京都芸術大学のウルトラファクトリーで毎年行っている増田セバスチャンのゼミ「カラフル・ラボ」では、このKawaii Tribeを含めた日本発のKawaiiの歴史を研究することを決めており、文化研究の視点からの展開も考えています。

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巷では今、この状況での人との繋がりを表す言葉として、
「世界と〇〇で繋がろう」
「会えなくても気持ちは一つ」
など、いろいろな表現がされています。しかし実はKawaiiが好きな人たちは、世界がこうなる前からインターネットを通じてそれを実行している人たちでもありました。

Kawaiiがもつ世界中と繋がる力とその可能性を広げていくことで、次の時代へ行くためのヒントがあるかもしれません。

暗中模索な時が突如訪れました。
こんな時こそ、私たちらしいNPO活動として、Kawaii Tribeと対話し続け、明るい未来へ向かうパワーを生み出す小さな種になれたら。

Kawaii Tribe Sessionなどへ皆さんをご招待する日がくると思いますので、その時はぜひ覗いてみてくださいね。

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