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けんちゃんの胸の内

今日2月26日は
へっころ谷46回目の誕生日🎉

今は国道であるお店の目の前の道路はまだ舗装もされていなく
派手なお店や住宅も少なく
南風が吹けば肥しの香りが漂ってくるようなのどかな場所に

「元祖へっころ谷」が産声を上げました

良く「元々の古民家なんですか?」と聞かれるのですが

山梨出身の両親は郷土愛がとても強く

故郷の古民家から大黒柱や梁や木戸・古材・古道具などを運んで
当時移築再生した建物なのです

「わざわざ山梨から…」

と思われるかもしれませんが

それほどまでに山梨LOVE・ふるさとLOVEの2人だったんですよ

開店15周年記念にこんなカセットテープ作っちゃうぐらい笑
👇

「ほうとうの詩」
キングレコードでレコーディングして
1000枚を手売りであっという間に完売笑
全6曲すべて父の作詞笑


だからこそ
当時ほうとうなんてまったく誰も知らない土地で
山梨を代表する郷土料理であるほうとうのお店…

今思うとかなりのばくちですよね💦

僕ならできません(笑)

それほど本当にたくさんの苦労があったんじゃないかと思います

厨房でのケンカもしょっちゅうでした(晩年期は仲良しこよしでした😊)

でも
いつでもどっしりと構えている2人にけんちゃんには見えていました

当時の店内

どんな苦労があっても
子どもの前ではその姿は見せないと決めていたのかもしれません

もし

常にお金や経営の心配をしている親の姿を見ていたら
けんちゃんはへっころ谷を継ぐことはなかったかもしれません

今のへっころ谷もなかったかもしれません

高校時代は部活に没頭していましたが
学校帰りや週末は両親とともに働き
それは専門学校時代も続きました

専門学校卒業時
仲の良かった友達全員が就職していく中で
けんちゃんはライブハウスに通いつめ
パンクロックやロカビリーに夢中になり
一切就職活動はせず遊び呆けておりました💦

それでももともと料理が好きで
性別・年代・性格・ジャンルも全然違う人たちと出会えてたくさんの刺激をもらえる「飲食業」が大好きで

他にちょこちょこバイトしながらも
へっころ谷は継続して働き続けました

そんな中
子どもができてちゃんと働かなければいけない状況となり
親の勧めもありましたが
やっぱり働くならここしかないと
正式にへっころ谷の従業員となったのが1994年のことでした

(笑)(笑)(笑)

あれから31年

2006年に代替わりしてから19年

代替わり当初は経営の「け」の字もわかりませんでしたが

ただただ

「美味しいごはんを作っていればわかってくれる人は必ずいるはず!」と

新メニューを作ったりブラッシュアップしたり

でも…

減り続ける貯金残高をどうしたらいいのかわからず・・・

けっこうな借金もしました・・・


ようやく軌道に乗ってきたころ

2011年の原発事故

放射能の影響で地産地消の想いがぐらつき

3月であったのにその年はじゃがいもを植え付けることができませんでした

計画停電などもあって食材はすべて廃棄

人件費も払えないからスタッフ全員お休みしてもらい

薄暗い中来るか来ないかわからないお客さんを
BGMもなく一人で待つ状況…

「田舎に移住しよう
俺がやりたいのはこんなことじゃない」

本氣で思った瞬間でした

そして2020年のコロナ騒動は
それ以上の衝撃が全国の飲食店に走りました

発酵こそが

自分の常在菌を守ることこそが

自分を守る最大の術と伝えてきた小さな声は
マスメディアによって簡単に吹き飛ばされ

「消毒液を置いてない店」とネットで叩かれ

お腹を満たすだけのお店にはしたくないと笑顔での接客をすれば

またまた
「店員がマスクをしていないとんでもない店」と叩かれ…

きつかった~(笑)

でも

そんな中でも

「へっころ谷がなくなったら困る」と言って

支えてくれた

応援してくれた

お客さん一人一人の顔を思い浮かべると

今でも泣きそうです

いや

泣いてます今(笑)

だから僕らもがんばれました


僕が従業員として働き始める以前

僕が知らないところで両親は
こんなにたくさんの苦労と同時に

こんなにたくさんの
他の仕事ではなかなか味わうことのできない感動も経験してきたんだな

そう思うと46年という歴史が

まっすぐ一本の切れない糸で繋がった氣がします

この糸がどこへ向かうのかは誰にもわかりません


でも両親が名付けた

山奥のへんぴな場所という意味の「へっころ谷」

いつもどんなときも

「誰の心の中にもある故郷に還ったように

毎日の忙しさやストレスを一旦お休みにして

ここでは安心してくつろぎ

美味しいごはんを食べて笑顔に元氣になってもらう場所でありたい」

この想いが続く限り

この糸も続いていくんだろうと思います

このメッセージを書きながら
なんだか自分の氣持ちの整理にもなったようで
僕にとっても
良い記念日となりました

かなり長文になってしまいましたが

最後まで読んでいただいたあなたとの出会いに感謝を込めて

「いつもありがとうございます」

また都合の良いときに
ふらっと立ち寄ってくれたら嬉しいです

2024.2.26  店主拝

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