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「よくがんばったで賞」

8月24日
午後、主治医から電話がかかって来た。
診察予約日ではなかったのに「病理の結果が出たのでこれから聞きに来られますか?弟さんと一緒に聞かれる方がいいですよね。」と、ご配慮いただいた。

弟と病院に向かう。緊張する...
診察室に呼ばれて入ると、フェローの先生とがん支援センターの看護師さんが同席されていて、さらに緊張。
弟と主治医は初対面だったので挨拶をした後、「切除した乳房にもリンパ節にも、がん細胞は全く残っていませんでした。完全奏効、治療効果判定グレード3、pCRです!」と説明を受けた。フェローの先生と看護師さんが手を叩いて喜んで下さった。

私は、最初の腫瘍の大きさや悪性度が高かったこともあり、良くても少し残るくらいだろうと思っていて、完全奏効になるなんて思ってもなかったので、驚きの方が大きく実感がわかなかった。
こんなに良い結果になるとは思ってなかったと言うと、主治医は「私たちはこれ(完全奏効)を目指してきたんですよ。断言はできないけど、今後再発転移の心配もないと思います。今日はお祝いしてくださいね。」と言ってくださった。
弟と2人で喜んだ!
「がんが消えるって...そんなことあるんや...!!!」

会計を待っていると、がん支援センターの看護師さんが来てくださって、改めてこの結果を喜んでくださった。
「本当によく頑張られましたね。」と涙ぐんでおられた。
告知からずっとお世話になっている方なので、喜んでもらえて私も本当にうれしかった。
夕食は予約をしていたおいしい中華料理でお祝いをして、夜、アメリカに残っている義妹と3人でLINE電話をしてまた喜んだ。
最高のタイミングで弟が帰国していて、本当に良かった。
友達や先輩、後輩にもLINEで報告しておいた。

8月25日
朝起きて、スマホを見ると先輩から返信が来ていたのを見て、ああ、私は完全奏効やったんや...と実感がわいてきた。
良くて2、3年くらいしか生きられないと思っていたけど、もしかしたらもう少し生きられるのかもしれない。
来年の手帳も買おう、今年は新しいコートも買おうなど、忘れていた未来への希望を取り戻した。

ランチに、昔家族でよく行った美味しいお好み焼き屋さんに行き、帰りに家電量販店に寄った。
弟が、洗濯物を干すのはしんどいし天候を気にしなくていいからと、乾燥機付き洗濯機を「よくがんばったで賞〜!」と言って買ってくれた。
告知されてから失っていた未来が急に私の目の前に現れた。
いつも、幸せを運んできてくれるのは弟だ。


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