近所の牛丼屋で違和感を感じた話
この前、近所の吉野家行ったんです。吉野家。
で、「牛鮭定食食べよう~」って思って、牛鮭定食頼んだんですよ。それで、3分くらい待ってたら、店員さんが牛鮭定食もってきてくれたので、食べてたんですよ。牛鮭定食。
そしたら、なんかレジの方が騒がしいんです。見たら、お客さんの1人が店員さんともめてるんですよ。で、ヘイヨーさん、牛鮭定食のお肉とか鮭をパクパク食べながら様子を見てたんです。
「何事かな~?」なんて疑問に思いながらチラチラ眺めてたんですよ。
しばらくお客さんと店員さんがすったもんだが続いて、どうにか事情が飲み込めてきました。で、ヘイヨーさんが解読したところによると「なんか、口のきき方が悪い」みたいな話なんですよ。
「お前、店員のくせになまいきだ!」とか「店長を出せ!店長を!」みたいなこと叫んでるんです。
店員さんがペコペコ頭下げながら「いや、店長はこの時間不在で…」とか謝ってるんです。で、後ろのお客さんもイライラしちゃって。そりゃ、そうですよね。いつまで経ってもお会計が終わらないわけですから。
で、どんどんレジの前の列も長くなっていくんです。一人が交通渋滞の原因を作ってるおかげで。
そしたら、何かの拍子で別のお客さんが「違和感を感じる」みたいなことを言ったんですよ。その瞬間、クレームをつけてた人の頭に血がのぼっちゃって、大激怒ですよ!
「ミスター味っ子に出てくるラーメン屋のオヤジ甲山さん」みたいに、頭が活火山になってドドンがド~ン!ですよ!
どうやら、地雷を踏んじゃったらしいんです。誰にでもありますよね?「これだけは言って欲しくない地雷」ってのが。たとえば「さすがにちょっと長いですね~」とか「ユダヤ人大富豪の教え」とか。ああいうヤツですよ。
その牛丼屋に現れた悪質クレーマーは、「違和感を感じる」ってのが地雷だったらしくって。もうね、ムチャクチャにまくしたてて「違和感を感じるがいかに駄目か?」ってのを語ってるんです。
「違和感を?感じるだ?貴様、それでも日本人か!日本人なら正しい日本語をしゃべれ!違和感は感じるものじゃなくて、生じたり抱いたりするものだろう!」みたいなことをひたすら叫んでるわけです。
それで、またクレームが長くなっちゃって。クレーマーと店員さんと他のお客さんも巻き込んで、大激論ですよ!もう最初の「態度が悪い」とかどっかいっちゃって「違和感を感じるって表現が、日本語として正しいか?間違ってるか?」って大ディベート大会やっちゃってるんです。
そこで、牛鮭定食を食べ終えてごちそうさましたヘイヨーさんがさっそうと現れて、クレーマーの耳元で一言ささやきました。
「白馬の馬」…ってね。
その瞬間、悪質クレーマーはあらん限りの声で叫び出しました!
「ギャ~!」
すかさず、ヘイヨーさんの追加攻撃が入ります。
「馬から落馬」
クレーマー「ウギャ~!」
ヘイヨーさん「白馬の馬から落馬」
クレーマー「フンギャ~!」
ヘイヨーさん「白い白馬の馬から落馬」
クレーマー「フンギャギャギャギャギャ~!」
ヘイヨーさん「どうだい?まいったかい?『違和感を感じる』のどこに違和感を感じるんだい?」
クレーマー「わかった!もうわかったから!頼むからやめてくれ!」
牛丼屋の床の上を転がり回りながらもだえ苦しんだ悪質クレーマーが、そう懇願してくるんですよ。食べたばかりの牛丼と卵とみそ汁を吐き出しそうになる勢いで苦しんでたもんだから、さすがにかわいそうになってやめてあげました。
その後、お会計を済ませた悪質クレーマーとヘイヨーさんは、冷静になって話し合いをしましたよ。
ヘイヨーさん「『新しい』って単語知ってる?」
クレーマー「『新しい』?知ってるよ。そんくらい」
ヘイヨーさん「でも、新しいのこと『あらたしい』って言わないでしょ?」
クレーマー「あらたしい?いや、言わないね」
ヘイヨーさん「『あたらしい』ってのはね。元々誤読なんだよ。本来なら『あらたしい』って読まなきゃいけないの。でも、みんなそんな読み方しないでしょ?」
クレーマー「…………」
ヘイヨーさん「『的を射る』だって一緒よ。元々は的を射るだったかもしれないけど、今や『的を得る』派の方が増えてきてるくらいだからね。辞書によっては『両方正しい』って載せてるとこもあるくらいだよ」
クレーマー「あ~、それはいかんね」
ヘイヨーさん「『敷居が高い』は知ってる?本来は別の意味だったんだけど、今や『ハードルが高い』と同じ使い方をされてるからね。『物事を行うのが困難』みたいな使い方だよ」
クレーマー「あ、それは知らんかったね」
ヘイヨーさん「言葉ってのは、時代と共に進化していくものなの。言葉の使い方だって自由なんだよ。誰がどんな使い方しようとも全くの自由!イッツフリーダム!」
クレーマー「ウ~ン…そういうもんかな~?」
…って、牛丼屋のクレーマーも最後まで納得はしてくれなかったんだけど。それでも、以前よりは言葉の使い方に寛容になってくれたみたいでした。「自分は自分。人は人」みたいな感じでね。
みなさんもこだわってる言葉づかいとかあったら、気をつけた方がいいですよ。もしかしたら、その使い方すでに時代遅れになってるかもしれないので…
※今回から「漫談」に関しては「ホラ話度」を設定します。ヘイヨーさんのホラ話を本気で信じちゃう人が出てきちゃうので(「ホラ話度が高い」と作り話の度合いが上がっていきます。逆に「ホラ話度が低い」ほど事実に近づいていきます)
「これ、ほんとの話なの?ウソじゃないの?」って思った方は、タグで「ホラ話度」を確認してください。
ちなみに、今回のホラ話度は80%です!(ある意味40%くらい…)
noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。