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妖怪に会うためには

 娘が買ってきた『会えるかも!? 妖怪ずかん』(よしながこうたく氏・ようかいガマとの氏著、あかね書房、2020年)が愉快で、拝借して楽しんでいます。
 いいなあと思うところ、いろいろありますが、とりわけ私が愉快になるのは、「むかしみたいな小川や井戸が少なくなったから、今は学校の水飲み場に出るかも!?」みたいな語り方かもしれません。
 いつだったか幼い頃、「現代は開発のせいで、何々が現れるような小川が減ったから、人類は自然環境を大切にしましょう」という趣旨の話を聞いたことが。自然環境の保全は大事、でも――、と、少年の心はわくわく震えるどころか、ただ鼻白んだのでした。 
 「今は学校の水飲み場に出るかもよ!?ガクガクブルブル((((;゚Д゚))))」という、今なりの楽しみ方。私は大好きなので、そういうの、今後とも忘れないよう心がけていこうかという所存です。

 また本書は、「妖怪は、かつて出会った人たちが伝えてくれたので、今も知ることができている。いつ、なにが起き、どんな気配があり、こんなすがただったと知っておけば、妖怪に会うためのヒントになる。妖怪があらわれそうな時間や場所、状況などがそろったら、注意してみよう」(本書冒頭より)ということなので、『稲生物怪録』『諸国百物語』『絵本百物語』『画図百鬼夜行』『今昔百鬼拾遺』『百怪図巻』などだけでなく、『日本書紀』『枕草子』『大鏡』『今昔物語集』『宇治拾遺物語』『伊勢物語』、歌舞伎の話、明治時代の新聞記事、柳田國男『妖怪談義』等々、昔のいろいろな文献に対し多めに触れられていて、好きな子は研究につながっていいのかもしれません。
 とはいえ、子どもが一人で読めそうなものは一つもないですが――、まあ、仕方ないですね。

 ところで、「百鬼夜行」について娘に教えたので、ここにも。百鬼夜行の今年のスケジュールを。

 百鬼夜行は定期イベントらしく、よく参照されるのは鎌倉時代の『拾芥抄しゅうがいしょう』。「諸事吉凶日部第三十八」に「百鬼夜行日」の項があって、写本の一つには、「百鬼夜行日」は「不可夜行」、「子々午々巳々戌々未々辰々」と書かれています(洞院公賢編、藤原言継写、1530年写)。
 今年令和6年(2024)ですと、その日は――、

◆正月と2月は子の日
1月1日(月)甲子
1月13日(土)丙子
1月25日(木)戊子
2月6日(火)庚子
2月18日(日)壬子

◆3月と4月は午の日
3月7日(木)庚午
3月19日(火)壬午
3月31日(日)甲午
4月12日(金)丙午
4月24日(水)戊午

◆5月と6月は巳の日
5月5日(日)己巳
5月17日(金)辛巳
5月29日(水)癸巳
6月10日(月)乙巳
6月22日(土)丁巳

◆7月と8月は戌の日
7月9日(火)甲戌
7月21日(日)丙戌
8月2日(金)戊戌
8月14日(水)庚戌
8月26日(月)壬戌

◆9月と10月は未の日
9月4日(水)辛未
9月16日(月)癸未
9月28日(土)乙未
10月10日(木)丁未
10月22日(火)己未

◆11月と12月は辰の日
11月12日(火)庚辰
11月24日(日)壬辰
12月6日(金)甲辰
12月18日(水)丙辰
12月30日(月)戊辰

 これらの日、よい子のみんなは夜外出せず、早くお布団に入り、外の気配をじっとうかがってみましょう。
 直近は、明後日8月2日ですね!