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メモランダム拾遺

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気づいたこと、調べたことのおぼえ書きなどです。
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#読書

泉鏡花『眉かくしの霊』の奈良井宿「桔梗ヶ池」

きのう奈良井宿に立ち寄った。江戸・明治の時代まで時間を遡ったかのような錯覚に陥る。道路開発の対象とならなかったことからこの街並みが残った、と聞いたことがあったが、そういう偶然があったとしても、大変なご努力で守ってこられたのだろう。 奈良井宿は中山道六十九次、そのうち木曽十一宿の一。江戸時代に栄えたという。 木曽路というと、文学では島崎藤村『夜明け前』の舞台として有名で、奈良井もたびたび登場する。が、私にとって奈良井といえば、なんといっても、泉鏡花の怪異譚『眉かくしの霊』の舞

大根の淡味と『剣客商売』

青首なら輪切りにする。煮えやすいよう、食べやすいよう、幅は3センチくらいにして、片方の切れ口に十文字の切れ込みを入れる。太い三浦などであれば、適当な大きさに切る。青首でも三浦でも、皮は厚めにむき、できれば面取りをする。 済んだら鍋に入れ、真昆布の出汁をひたひたに注ぎ、少量の生米を放り込んで煮る。 たれは米味噌に砂糖、酒、みりんを加え、焦がさず、煮詰めてつくる。 煮えたら大根を皿に取り、味噌だれをかけ、私はさらに粉山椒をふりかけて食べる。大根料理はだいたい山椒と相性がいいらし