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デザインフェスタに参加する事、を考える。

何故今頃考えるのか

デザインフェスタ(通称デザフェス)に参加し始め、約20年が経過しました。今更メリットやデメリットを整理し、出展者として向き合い方を考えようと思ったのは何故か。それは、自分自身の活動形態や規模、イベント自体や作家を取り巻く環境などの変化がここ数年非常に大きいからです。
どなたかの参考になるかは分かりませんが、今後参加する上で必要だと思うのでまとめておこうと思います。
ちなみに、画像は2017年にデザフェスに参加した際に発行したフリーペーパーvol.1です。

初参加の思い出と旧名義での活動

私が最初に出展者として参加したのは学生だった時です。デザイン系の学校で知り合った友達4人と一緒に参加し、ハーフブースに長机だけを置きスペースを5等分にして各々の作品を陳列しました。
私は自宅のプリンターで出力してハサミで一つ一つ切ったシールを12枚1セットにし、100円で販売しました。友達に「安すぎる」と言われましたが無名な自分が家で印刷してカットラインもガタガタなシールに100円より高値を付ける事ができずにそのまま販売、身内も買ってくれたことで何とか完売しました。
その後バイト生活を経て会社員になりましたが、仕事をしながら趣味でイラストを描き続け、旧名義である「soudayo!」でデザフェス参加を続けました。今思えばあの頃は「デザフェスで何か良いご縁があったらイラストの仕事に繋がるかも」と言う激甘な事を考えていました。当時は参加したその先ばかりを見ていたように思います。だからお客様の反応がどうだったか、正直あまり覚えていません。そんな他力本願なもんだから何にもならず、結局その先ではなく目の前の展示物や販売物の製作に追われていました。もちろん利益など考える頭はありませんでした。
私の活動形態の変容は今回の主題ではないのでさらっと書きますが、アクリル製品を作るようになり名義を現在の「並行世界」に改め、作品の内容もイラストから文字のデザインへと大きく変わっていきました。
その変化がなかったら今まで活動を続ける事はなかったと思っているのですが、それもデザフェスに参加していたからこそだと思います。
作品を作る上でブレてはいけない芯を持たねば、と言う考えを持つことができたのも、デザフェスでたくさんの方に作品を見て頂くと言う経験があったからこそだと思っています。

変化

デザフェスに関して初参加の時と今と一番大きく違うのは、参加する出展者が激増した事です。当時は開催日1、2ヵ月前でもブースを確保できました。
フェイクスイーツやレジン、羊毛フェルトなどハンドメイドを楽しむ方が増えると共に参加者も増え、2013年頃から出展申し込みが先着ではなく抽選制になったように記憶しています。専業で作家活動をしている方にとって、年に2度の内の1度でも出展の機会を逃すのは死活問題です。
夏場に開催する「真夏のデザインフェスタ」も開催されるようになるのですが、出展者参加者共に本開催程の数にはならず、盛り上がりもそこまでではなかったように思います。
そして世界的なパンデミックが起こり、現在はブースのサイズや出展日によっては申し込み開始から随分日にちが経過しても申し込みが通るくらいの参加者数になりました。それは開催会場を東京ビックサイトの南館にまで広げてくださったお陰でもあります。大規模イベント運営、と言うだけでも大変な中出展者としては有難い変化です。
一方でその変化によって生まれた不便さやトラブルもありますので、それは後述します。
出展者にとっての大きな変化は、個人でグッズを小ロットから作れる業者さんが増えた事だと思います。そしてここ数年はTwitterでデザインフェスタ公式アカウントによる出展者告知ツイートの拡散強化週間(RT祭り)によって事前告知がより周知されやすくなった事と、当日リアルタイムで拡散してくださる方が増えた事もとても良い変化です。
一方でライブコマースなる今まで聞いたことがなかった事をする来場者もいるようで、出展者としては対策を考えねばならない事も増えました。出展者も来場者も、人が増えれば問題が増えるのは仕方ないですね。

実際に体験した搬入トラブル

会場が西館、南館になった事で起こったトラブルについて書きます。まず申し上げたいのは誰の事も批判する意図はありません。起こった事を事実として書き、出展者としてできる対策は何だ、と言う事だけ述べたいと思います。
2022年5月開催のデザインフェスタ、私「並行世界」は初めて南館1階に配置されました。朝現地に到着し配送した荷物を受け取りに行くと、同じく荷物を受け取りに来たのであろう女性と、いつもは見かけないスーツ姿のスタッフさんが話をしていました。何となく、荷物の配送に不備がありまだ届いていない、と言う状況が読み取れました。出展者として他人事ではなく、何となく胸をソワソワさせつつ列に並び、スタッフさんに配送時の控えを見せると、なんと私の荷物(160サイズ1個)も届いていませんでした。
手違いがあり西館に行ってしまっているので、こちらに届くまでに時間がかかる為ブースでお待ちください。
スーツのスタッフさんはこのトラブルの対処の為に呼ばれた人なのだなと分かりました。どうする事もできずブースまで戻り設営が遅れる旨をツイートし、できる限りの荷解きをしましたが手持ちの僅かな備品と商品だけでは何もできず、諦めて持ってきたおにぎりを食べました。
食べながら「同じ状況の人はどのくらいいるんだろう」と思いTwitterで調べると、同じく荷物が別の場所に届いている人もいれば、荷物の現在地が不明と言う更に困った状況の人もいて「私だけじゃないのか、仕方ない」と妙な落ち着きを得ました。
そうこうしているうちに出来上がっていく周囲のブースに焦りを感じつつ、伝えられていた予定時間のちょっと前に再度受け渡し場所まで行くと荷物は届いており、ブースに届けてもらうのを待てず台車を借りて自力で運びました。
これが、私の身に起きたトラブルの一連の流れです。結局荷物が届かず出展を諦めざるを得なかった人もいたと聞いてとても悲しい気持ちになりました。自分だったら、と思うとこの日の為に費やしてきた労力や費用はなんだったのかと途方に暮れてしまいます。

備品をレンタルする際の注意

もうひとつ、レンタルした備品で困った体験があります。
机や椅子の他に、網什器を借りた時の事です。網什器は幅広の物とスリムな物、2種類があります。高さはどちらも同じです。通常、その2種類を連結しての設置になるので、それ以外の場合は備考にお書き添えください、と表記されていました。幅広+幅広、スリム+スリムで連結してほしかったのでその旨を書いておいたところ、「承知しました」との連絡を頂いて安心していたのですが、当日ブースに行くと幅広+スリムで連結された網什器が二組…
折角してもらった連結ですが手持ちのカッターナイフで分離させ、やり直しました。
搬入のトラブルよりも遙かに楽に修正はできましたが、こんなこともありますよと言う事で書き残します。

出展者ができるトラブル回避方法

他の作家さんと話したんですが、「自力で搬入する事でしか、搬入トラブルは回避できないのではないか」と言う結論に達しました。
西館のみでの開催の時、少なくとも自分や知り合いの作家さんでこのような目に遭った話は聞きませんでした。
長年免許書を身分証明書としてしか活用できていない私はいよいよペーパードライバー講習に行かねばなと思っております。
宅配搬入した荷物が破損、商品がダメになったと言う話もちらほら聞くのですがそれはもう梱包を強化する他ないと思うのです。
本業でも荷物の発送をしている身からすると、業者さんがたくさん扱う荷物の一つなのでそれは当然です。配送が不安ならば、壊れやすい物は手持ち搬入する他ないと思います。
段ボールもダブルカートン(二層構造)の物を使えばより安心かと思います。お酒などの瓶を入れる箱はダブルカートンである事が多いので、見かけたら確保しておくことをおススメします。
私は商品のジャンル毎に小さめの段ボールに入れて、それを160サイズの大きな段ボールに入れています。実質ダブルカートンです。ここ数年荷物を送って搬入していますが今のところこれで什器や商品の破損は起こっていません。
またレンタル備品に関しては、極力イレギュラーな事はお願いしないが吉、な気がします。ものすごい数のブースに備品を届けるのはとんでもない労力が必要ですもんね。

いろいろあるけど参加し続ける理由

ここに書いた以外にも様々な事をデザインフェスタ会場で経験してきました。でもこの先も参加し続けたいと思うのは、やはり出展者と来場者の数がとても多いのが一番の理由です。
今現在私がお世話になっている委託先様や過去に参加したイベントの主催者様が並行世界を知るきっかけの多くがデザインフェスタでした。
デザフェスほど一度の出展で多くの方に作品を見て頂き反応が見られることはありません。店舗委託が東京と大阪しかない私は、それ以外の地域にお住まいの方に直接作品を見て頂ける機会がとても貴重なのです。
たまたま通りかかった方に見つけてもらえるのもとても良いところです。
「デザフェスは参加費が高い」と言う声は多く聞きますし、確かに学生には痛い出費だとは思いますが、それをかけても出展するだけの価値があると私は思います。出展費での出費が大きい分レンタル備品や搬入などでできるだけお金をかけない、という工夫は可能です。
展示作品や販売物のラインナップを考えるだけでなく、ブースのレイアウトやSNSでの宣伝など、セルフプロデュースをする力も養えると思います。
私も未だにブースのレイアウト、商品の価格、宣伝など悩みながら行っています。
他の展示即売イベントに出展した経験がある私ですが、金銭的なハードルさえなんとか越えれば、創作活動をしている人やこれから本格的にしていきたい人は良い経験ができる場だと思っています。
最後まで読んでくださいましてありがとうございました。
次回の出展でも良い出会いがあることを祈りつつ、準備に励みたいと思います。


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