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LOVE SONG

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愛のうたっぽいうたをまとめていきます。
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2020年9月の記事一覧

サンデーモーニング

髪切ったのに気づかない のろいスピードで 浴衣姿の彼女は走り 霰もない未来が萎びて堕ちた 寝冷えて風邪ひくぼくの背中が か弱き脚を支えていたなんてね

肌色の範囲

あなたの肌色の範囲に 興奮している私は あなたの布切れの範囲を 消し去ろうと試みる あなたの闇雲の範囲を 知る術もないけれど わたしの肌色の範囲で 包みこんでも良いですか ガムを包みこむ銀紙みたいに ギラつき散らばる光を背中に

恋人の部屋

水色のマーチが 僕らの夏を 鮮やかに 色付けていく 寂しくなって 泣いてしまった あまりに騒がしい 花火で 絵の具が 足りなくなって 僕たちは 大人になったのさ 離れたビルと ビルの隙間を 抜き去るように 今日が過ぎる 街の真ん中に 付いている目が 世界を小さく 閉じ込める 泡になった 誰かの声を 拾い集めるよ

まぼろし

きみと車で走ったことだけ覚えてる なにを話したかなんて忘れてしまったよ 眠い目こすりながら喋ってた口 カレー食べたサービスエリア ああ今日がいつもと違わないように あの日きみはいつもとおんなじ顔で笑った シャンプーを変えようか迷っていた髪 薬局の店員がうるさかったな

幽霊

どこからともなく 叫び声 愛するふたりを 呪う声 かすれ声 ちぢれ声 やっぱ怖ええ~ 幽霊が見えたら 悲しくなっちゃうね 幽霊はぼくらを 見えているのかな? ひええ~ YEAH~ ひええ~ YEAH~

運命くん運命ちゃん

運命くん運命ちゃん なんども食べたくなるんだけど 3回ぐらいでもういいやってなっちゃうの 運命くん運命ちゃん 忘れてしまえばへっちゃらなのにさ 私の体の一部になっててちぎると痛いんだ

ひとつだけ

やがて積もる雪は誰かの思いを 無視して消え去ろうとする 永遠みたく感じた時間は あくまで一夜城に過ぎない 知らない誰かの足跡が 君のだったらいいな 忘れたままの秘密が すごく静かに身体に染み込んで また会えるかな?なんて考えてると 温かい場所を想像したくなる 屋根の上から滑り落ちる雪と 同じスピードでいい たまに急いだりして たまに忘れたりして

男と女

記念受験のような恋でいい 記念受験のような恋でいい 忘れた頃に思い出すような 記念受験のような恋がいい

サーモンブルー

睫毛の先に 乗っかる睫毛が あなたに揺れて 世界へジャンプ 身体の一部が 数カ所ちょんぎれ ちょこまか踊って 親戚の子かよ 髪の毛 削いだ あなたの頭を ペチンと叩く 破裂する夏 恋人気分の メタモルフォーゼ 採用されない DNAの鬱 後部座席のシートに隠れて 遮る火花と 背泳ぎの指先 風のいびきで 缶カラ 弾ける あ、今 最北端の星と目が合った