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物語

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2021年8月の記事一覧

ずるい

しかめっ面だだこね やけに舌っ足らず ぶつくさグチとごうまん ぶちぎれゴジラキングコング 最強の俺みたいに 最悪な君はうたう ごねたりない口を 馬鹿でかくかっぴらいて 明日とか明後日を無視している 過去とか未来などをないがしろに 風が吹いて口笛吹いて 雨が降ったら家でゴロゴロ していてずるい

中央線新宿駅

うるさいコーラを喉に浸して 世界の脅威に立ち向かう女 間違ってなんかない、いつだって 最高の想像だけが敵を討つのだ

水、首、窓

シャワータイプの洗面台から 覗き込んだ排水口の向こう 呻き声が聞こえた日から 私の首の後ろ側 淀みと深い重みが沈む なんでもこの部屋の築年数は そのままソレの没年数で ここで起こるソレらはすべて 何かの吉兆とか福音のような ソレ的なものとされているらしい 窓の向こうに映る景色と 窓が映したこちらの景色が 一瞬わからなくなった瞬間に 私の首は私を無視して 360度回転を始める

レモンチューニング

スタックしたワークを消去する 中指1本で終わる今日 正確な日時をわざと曖昧にして さらに曖昧にするレモンサワー びっくりするほど消せるはず びっくりするほど消せるはずと びっくりするほど消えない夜とは 話しにならないね、カーテンの裾から 忍び込む夜に投げる、缶 踊り疲れて眠るように 眠る私、整った整った

回顧録

シャツの襟に染み付いた皮脂の 湾曲の一本線がいつか あなたとつなぐラインをいずれ 拒んでしまうのだ

end of the doll

真っ暗な闇の中に あと何年 捨てられるタイミング 失ってあと何年 あと何年と ほつれた瞳に沈む未来 それでもいいわと 黄金に輝く日々から もう何年 何も怖くない暖かさに 包まれていたもう何年 もう何年 黴びた夢に染みるナフタリン かけがえのないもの 迷子のあなたを慰めて 凌いだ時間に移る涙 移る匂い 眠ることなく想うばかり 私はあなたと言えた時が 確かにあったことバカみたいに 光の中からあなた あれから何年 あなたによく似た子供たち いぶかしげな目 これなーにこれなーに

レモンティー

アガルタパンゲア全部聴いて 聴いて聴いて聴いて 呪詛みたいなものを見出しキミは 海に還る日に取り憑かれた そんな話を対面でできる日が また来る日をずっと待ってる

へそのお

永遠をほどいた バナナの皮を剥くように 真っ白な顔の部分に ひまわりのような種の密集 枕元から起き上がる首が ゆっくりと朝に沈み込むような そのスピードが潜り込んだ 私たちの後悔たちに 飛び乗ったり降りたり 箱乗りのヤンキーみたいと あなたは子供のように 溶けないアイスキャンディーを 舐め続けていた 

ワーカホリック

また仕事の夢だ 仕事の中で味方は敵となっている あなたの案は理解できないと ど直球な意見で私を殴打する 生真面目で静かな彼の顔はひん曲がり 曲がっているが笑みだから凄く変だ 彼は元ボクサーだった 暴力を振るう親父に殺されないように 彼はボクサーになったと以前話していた 殴られると肌は収縮して硬くなる それはきっと筋肉の動きを鈍くするのだ だって僕もそうだから 納得ができないことが生まれた場所に 納得のできない顔が帰ってきたのだ 曲がりながら直線に居なおそうとする顔は 優しさで

ピナコラーデ

正しくはピニャコラーダらしい。 嘘だ。なにその正解。納得できない。 っていうか、正解って、なに? ノンアルコールのピナコラーデを飲んで ずっと父が女とゴルフしてんの待ってた 内緒にするかわりにこんなもので釣られて。 でもその秘密お母さんに言ったら 終了。

連続体

高級店で飯食う突発も 冴えない午後のお薬も 平静装う真夏の怠惰も 同じ物体の連続 人との距離の詰め方も 驕り高ぶる労働賢者も 餌に食いつくケアレスミスも 浮かんで消えた藻屑のように いつ頃となく宇宙を漂う 鏡のように私を映し出す 朝のテレビは絶対見ないと いつから決めていたのだろうか

Rolling down

キレイでない方が美しいと さぞかしそれはまともじゃないか 歴然と立ちふさがる真夜中を 崩れた動力で 二度と戻れなくても 進むことを辞めたくはない