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物語

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2021年5月の記事一覧

TOWN

ただならぬ消去法で街は出来ている 誰かに関する記憶はすべて無視されている 燃えた屋根が剥がれてキシキシと恨み節 ぼくが盗んだ駄菓子は冤罪でしたよ叔母さん みくびっていたがマンション建つ速さよ 横切る雲たちは干渉度めちゃ低いのね 衛星中継されたかったビルも家も施設も いまやgoogleに残ればと気休めだ 発展しすぎて嫌いになった風景たち 取り残されて自粛する風景たち

ぼくらの危機

死を彷徨った翌日の 生の実感を知ってしまった日から 夜明けの美しさよりも 悪夢からの解放に魅せられて 歌うことを忘れた動物は キミのシを願い待ちくたびれていた そんなこと言わないでいいからさ 早く電話してきてくれよ 君のコールが 出口だと知ったとき 静脈の色がとても 蒼くて美しくて 地球じゃないかと 不思議を想った 生還した遭難者のその後よりも 当たり前の私を正解と認定しよう ピンポーン 死を彷徨った翌日の 生の実感を知ってしまった日の その翌日のレポート

Swan Song

隙間がない。人には隙間がない。 身体中に肉やら血やらが凝縮されていて、 なかなか入り込むことができない。 いくつか空いてる穴も小さく、 これはさすがにはいりこめない。 どうやらここまでみたいだな、 ぼくが君の横にいれるのは。 離さなくちゃ連れて行ってしまう。 壊れた部品直せぬままで。

プラグ

苦労人 飛べるかな 罪が主導 仕送りに躊躇いを 親の愚行 ツベルクリンしてた頃はまだ 肥沃でマシだった心 オレンジ色 がちゃついた 夕方思考 渋い背広 ヘビロテ 就活児童? 知能数を知恵比べでは 図れませんねと奴等 奪うことで得るもの 知り過ぎてる 使えば使うほど 脳は擦れる 広げたばかりか後に狭めてる いろんなグータラ 赦してくれ

ドントスリープアローン

オレンジジュース溢れて 心がピンチに 汗ばむ肌と肌着の隙間で 虫がジジジ 飲み込めない感情はソテーに しばらくしたら醒める悪夢 振り替える休日を待たずとも キミは飛び跳ねて進む

街は春

きみは緑 腫れた手を合わせ 願う 二階の窓の向こう側 ベランダ越しの青 つまらない話題を振って 時間繋ぎ繋げて ラメの刺繍が入った財布を 落とした 水溜り飛び跳ねた きみの軸足見ていた 根暗なぼくだから 日差しに慄くぜ 今朝のニュース速報で 春の訪れ知ったよ 魚屋さんのワゴンに 春の魚並んだよ 今朝のニュース速報で 春の終わり知ったよ 友の不幸の便りは ぼくの耳にも届いたよ 風が強く吹いた日も 街が穏やかだった日も きみの指の温度だけ ずっと感じていた

夏の背景

さぞかし苦しみながら死んだのだろう 好きなだけ刺せ 君を知らない人にしてしまえば 何も苦しむことなく生きれるのに 君を誰より知らない人にしてしまえれば すべてうまくいくはずなのに

still alive together

解ける気の無い結び目 穴開けて 一番最初の状態に戻すの 等しい形に生まれた 運命 同じ星の下出会った 宿命 怖がらないよな素振りで i want be a part of you 誰に禁止されても 私たち友達 並べた未来 どこ吹く風だし

リップクリーム

裂けた唇から芽吹く真実 荒れた素肌に溺れた数日 思い出す くだらないねと笑った小咄は 嘘で塗り固めたトタン屋根 君のため

ルカさん

きみの地獄と ぼくの地獄は アメリカと日本ぐらい違うか 言葉や文化 その他もろもろは 分かり合えたりするものか 悪く言うつもりは ないけど 卑怯な逃げ方 だけはするなよ せこく生きてきた ぼくだけど 大切なひとは 守るよ 最低限 波紋みたく広がる このイヤな予感が 激しい雨で すべて水の底へ 沈みますように きみの地獄と 僕の地獄は 男と女の子ぐらい違うか 気持ちや仕草 歩みゆく未来を 分かり合えたりするものか どうにもならない事柄も どうってことなく話せれば ふたり迷いこ

うぬぼれ

鰻を食べて 夜をこぼして 845円 ふたりの国へ 家具が届いて こぶが治って 解けた段ボール 選んだビーサン エコバック買って 着崩して 夏には海へ行こーぜ 罪滅ぼしのおでんの味が 壊れたヒビに染み渡る 海老より跳ねた祭りの後で 月がきれいねと チョウチンアンコウの物真似 キミがねだると 僕はおどけて うるさいラジオ しばらく切って 甘い匂いは 疲れて消えていく

序章

ジュースの中に 浮かんだ虫が 最後の望みで 出汁を利かせてる ごめん待った?と言いそうで言わない ギリギリラインの口元が歪む