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物語

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2020年11月の記事一覧

君といつまでか

月に行けるよと言われた日 俺は行きたくないと断った 毎週テレビ千鳥観なきゃだし 遠距離彼女に手紙も出すから 世界がもっと狭けりゃいいのにね 戦争が起きた日も2人は笑ってた それで100年後も彼と彼女は 火星に移住せずにいたので 巨大な土の隆起と混ざって 惑星の一部になったとさ

pray

何つ葉のクローバー探しても 願いことなどはもう 時間が経ってしまったこと 願いことなどはもう 何つ葉のクローバー探しても 記憶のほころびだけが 呼吸をしづらくするだけ 記憶のほころびだけが しおりに挟んでいなければ 平たく萎れた茶緑色 あの日 雨が降っていれば 冷たく萎んだ人差し指 どうか色褪せますように 刻んだ四つ葉のクローバー 何つ葉のクローバー探しても 心の隙間に吹く風が 透明な花を揺らすだけ 心の隙間に吹く風が

渚街

無意味な補修 繰り返す言動 荒れ狂う海 投げ捨てた 束の花束 浴衣姿 セクシー気取るママ 不埒な夕暮れ プラチナ席予約して 野球観戦 お腹が痛くなるよ それいつも 忘れてしまえれば 楽なことばかり 世の中多すぎて萎えちゃうね ピカピカだったぼくの毎日は 静けさばかりで埋め尽くされてく 涙を流す暇すらないさ 愛は何処 愛は何処

ドレッシング

お辞儀をしている 夢を見る 相当つかれた夜 間違いしたこと 気が付かず 誰かに怒られる 涙を流せば負けだわと 唇噛み締める 一流シェフが作り上げた 要塞サラダ食う 空くまで待って 座る場所 切るまで待って 注ぎ口 明日にはきっと 美味しい私 本日終了 さよならまたね

眼鏡眼鏡

通りを行く人々が なんだか妬ましい それから心が病み 自らを消したくなる もう帰って寝たいや 人生とは長い坂道で 登ったり下ったり いつまでも 飽きずにいれるか ぜんぶ君の根気次第 最悪は回避したい 迷惑もかけたくない だからどうか神様 眼鏡を返してくれ

遠くの星に投げろ

いくらか理解していた事柄 世界が自ずと示すイキサツ あー果てしないと項垂れては 腹を満たす マック行く ゼロベースで初めから話せば 納得してくれるかもと勇み足 もーダメかもねとメール打っては それらを消す ファミマ寄る 深夜3時 なる早 急ぎ足 特段生きる 速さなど 置いてきたそれら どこにしまった 誰が知ってる 僕が知ってる ようやくだなと 顔を出す去年や 一昨年やもっと もっと前のやつら 今更だよ お呼びでない 三つ目の角を右だと覚えて 忘れていたこと思い出した

ワンワン

負け犬気取って飯を食うな 喜ばせるぜ尻尾を振って 闇に潜んで眼光らせるな 伝染するほど病んでないぜ 心の在り処を探っても わかりませんよ私にも 時代のせいだと嘆きましょう 共に手を取り沈みましょう 勝ち犬狙って石を投げるな 利口じゃないぶん卑怯者 足引き摺って彷徨うな 緑の芝生で眠りたい

僕は斧だ 鋭い斧 醜い斧さ 時代遅れの斧 錆を怖れる斧 古来伝わる斧 斧に生まれた斧は 斧を生き抜くしか無い 僕は斧だ 鋭い斧 無様な斧さ 意味を持たない斧 倉庫の奥の斧 機能果たせぬ斧 斧に生まれた斧は 斧を辞めることは無い 僕は斧だ 鋭い斧 愚かな斧さ 田舎暮らしの斧 手入れされない斧 満身創痍斧 斧に生まれた斧は 斧を諦めたりしない 僕は斧だ 鋭い斧 普通の斧さ 愚痴を言わない斧 愛を知らない斧 闇に潜める斧 斧に生まれた斧は 斧を生きてく以外無い 僕は斧だ 僕