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なんか変

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なんか変っぽいうたをまとめていきます。
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2022年3月の記事一覧

裏表

真空に生きる新しい生き物たちを 優しいタッチで描いてはいけない 心の無い生き物たちが それに心を塗布してしまうから 古びぬうちに時々でいいから 視線を与えてみるぐらいでいい 意識を飛ばすだけでもいい 寄り添うような真似をするより 疎かにしてあげてほしい

空気のように

空気のように話す人 その目はまだ虚空の中 澄ました笑顔は氷の中 浮かんで透けて見える様 あっち向いてホイ あっち向いてホイと 言えども視線は真正面 遥か昔につながっている 穴に声を発するような 途方もない時間の空虚に いつの間にか虜になる

恥知らず

時の拘束 差し出す足を キレイに整えた爪先を ぎざぎざにしてしまえる 昨日とは違う選択を全く 厭わないぞと胸に閃きを 地下の山脈 くりかえす永眠 掬われた命に惜しみない拍手 拍手よりも甲高い歓声を 喜びと狂気が差し違えたよな 身に覚えのない礼讃を

mood board

緑 湖のほとりにあなた さっきまで揺れてた輪郭 それはどちらかというと 私の方だったみたいで オレンジ 真っ黒な光 音と皮膚感覚で知れる 遠慮のない手つきたち 風船ねじ曲げる道楽 青 5時のチャイム 臭み 選ばれなかった惣菜 オークションにかけられ 所在ないわたしたち 白 駆け抜ける箒たち 振り落とされる脅迫 そのスピードに焦がれて みっともない素顔

collection

いつも要らないと 思ってしまってしまう 欲しくないものばかり 春を着飾る季節に いつものことだけど 少し恥ずかしくなります 欲しくないものばかり 集めてしまってしまう

背を伸ばす

あれだけ欲しかった背が いつからかいらなくなって 地中に埋まっている植物とか 虫みたいなものに憧れていて すごく静かで冷たいはずの その場所に行ける想像がない 永遠とは眠る時のそれと どう違うのだろうと考える時 すこしだけ今の身長より 少し先の中空に自分が存在して 湯たんぽでかかとに回らない 熱の存在を感じることがある 成長するのもいつか止まるの それはいやねと耳を塞ぐことが またいつかあるだろうかと