松原ヒロ / baratti

作編曲家、ボイパ奏者。筑波大、バークリー音大卒。ナギーレーンメンバー。 2021年「関…

松原ヒロ / baratti

作編曲家、ボイパ奏者。筑波大、バークリー音大卒。ナギーレーンメンバー。 2021年「関ジャム 完全燃SHOW」に出演、同年メジャーデビュー。作編曲家としてこれまでゴスペラーズ、アオペラなどに楽曲提供。また、ゆずの楽曲「RAKUEN」にトークボックスで参加。洗足音大講師。

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  • 2020年代のためのグルーブ入門

    バークリー音楽大学卒、メジャーアーティストへの楽曲提供でも活躍する、ナギーレーンメンバー松原ヒロによるこれまでにない新しい「リズム」「グルーブ」の教科書!!「体感的な側面」「聴感的な側面」「文脈的な側面」で、2020年現在も進化し続けるポピュラー音楽のグルーブの理解を深めましょう。

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はじめに

 こんにちは。作編曲家、ボイスパーカッション奏者の松原ヒロと申します。バークリー音楽大学ジャズ作編曲科を卒業、帰国後はコーラス譜編曲や、メジャーアーティストへの楽曲提供の仕事等を経て、現在アカペラグループNagie Laneのメンバーとしても活動しています。  6年ほど前、ある大学のアカペラサークルからワークショップの講師を依頼されました。テーマは「リズム」について。リズム感について悩んでいるシンガーが多いので、それを解決するようなものにしてほしい…ということでした。大きな

    • 良い音楽(演奏音源)って

      最近思ってることなんだけど、 人間って立体的に感じるものを 気持ちよく感じるのではないかなと。 絵画にしても、 平面に切り取った中に奥行きがあると感動するし 味覚にしても 様々な五味、香りが重なったものは美味しく感じる (シンプルな良さもあるけどね) では音楽の場合 音っていう一つの塊で迫ってくる中 何でその立体を作っていくか そこに自覚的になれるかどうかが大事。 簡単なところでは ・音色の違い ・音量の大小 ・音程の高低 とか。 でも、それだけでも 平面的になって

      • 【毎日雑考】日本人の英語歌唱の違和感の正体

        英語曲の歌唱について、 クオリティを上げたい場合 発音記号を理解してからの 発音矯正、学習はまず第一歩だ。 ただ、それだけでもネイティブのようにはまだまだ聴こえてこない。 見落としがちなポイントは 「アクセント・非アクセントによって作られるリズムの波」 つまり音の強弱、これが一つ目。 通常の会話であれば、 音の高低、長短も要素に加わるので 再現しやすい。 しかし歌唱においては、 高低、長短はメロディーに含有されているので 必然的に強弱のみが歌い手がコントロールできるパラメ

        • 【毎日雑考】モノの見方の計測単位を変える

          何かの基本を考えるときに、 その一般的な測り方がある。 けど何か腑に落ちない部分もあるな、というとき 大概そもそもの見方が違う イコール 計測単位が違っている そんな場合が多い気がする。 引用したツィートもまさにそんな感じで 音楽的な追求をすると、 母音を考慮するのではなく 子音+母音+子音のシラブルという より大きな流れを意識するべき、と。 英語だとそもそも シラブルでのまとまりが一つの単位なので それをそのまま日本語にも置き換えれば良いのに 日本語で韻を踏もう、と考え

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        • 2020年代のためのグルーブ入門
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        記事

          【毎日雑考】気持ち良いダンスの動きって

          マガジンでも触れているが、 ポップスのグルーブ・リズムと 筋肉の構造は切っても切れない関係にある。 というのは、 ダンスレッスンを受け始めてから明らかに 自分の演奏のタイムキープや楽曲の聴き方が 変わった実感があったからなのだが、 常に感覚がアップデートされて どれだけ自分の中で その関係が乖離され続けてきたか、 少し後悔も覚える。苦笑 (物事のコツを掴むのが遅いというのもある) 気持ち良いダンスの動き、 それは筋肉の伸縮が見て取れるものだ。 よく指導で、各々のパーツの

          【毎日雑考】気持ち良いダンスの動きって

          【毎日雑考】ラップのレイドバックについて

          昨年から、歌唱での英語発音における大事なポイントとして センテンスのアクセント、非アクセント部分での 呼気のコントロールが上げられるなぁと気づき始めた。 アクセント部分では呼吸筋を使って発音を強め、 非アクセント部分ではゆるやかなカーブを描くように徐々に筋肉を緩めていく。 自分の中では、体を輪切りで考えて 肋骨あたりを円の外に広げるように息を吸って 吐くときは戻ろうとする力に抗うようなイメージ。 会話の中では音程の高低によっても そのアクセントを表せるため、 「高低だけ

          【毎日雑考】ラップのレイドバックについて

          JBGオーケストララボ・実習レポ

          こんにちは。 作編曲家、ナギーレーンメンバーのbarattiです。 今回は、表参道にあるDTM作曲スクール「JBG音楽院」による 「オーケストララボ」 にというレッスンを、ご紹介いたします。 というのも、今回私こちらのレッスンを受講、 そして修了したんですね。 自分としても大きな経験になったので、 レポートとして皆さんにお伝えできればと思っております。 さて、JBG音楽院ですが、2009年に開校し、現在 東京、大阪に校舎を構えるDTMスクールです。 数年前に 「音大での授

          JBGオーケストララボ・実習レポ

          第7章 魅惑の数字、「3」の考察・前編

           前回まで、ポピュラー音楽の歴史に沿って、その中のたった一つの流れではありますが、いくつかのジャンルのグルーブについて解説をしていきました。  この章では、そこで触れられなかったものについて、クローズアップして考えていきたいと思います。キーナンバーはズバリ!「3」です。 ■ハネてるけど…ムムム?Shuffleとは! Swingのグルーブ。もう説明は不要だと思いますが、表拍の方が裏拍より音価(音の長さ)が長く、ハネたようなニュアンスで聴こえるグルーブですね。  この長さの

          第7章 魅惑の数字、「3」の考察・前編

          第6章 グルーブ徹底解説その②〜2020年代まで〜

           前回に引き続き、1970年代から現在に至るまでの、グルーブの変遷を見ていきましょう。この頃になると、音楽ジャンルの細分化は進み、ここで紹介するのが本当に一部になっていきます(前章でもそうですが!)。今後、追加記事にて触れていければと考えていますが、ここではまず、一つの流れを見ていきましょう。 ■70’s:Soul Era  1970年にビルボードランキングで1位を獲得した、ジャクソン5のメジャーデビュー曲。正確にはリリースは1969年なのだが、グループの活躍時期的に70'

          第6章 グルーブ徹底解説その②〜2020年代まで〜

          第5章 グルーブ徹底解説その①〜1970年代まで〜

           この章では、ここまで解説してきた「体感的な側面」そして「聴覚的な側面」、その2つを用いて、実際に様々な楽曲のグルーブを理解していきましょう。 ■グルーブを理解する「もう一つの側面」 第2章でも解説した通り、現在のポピュラー音楽のグルーブはアフリカを起源として、アメリカを経由して日本や世界各地に広まっていきました。この流れの中で、音楽のジャンルは多様化していき、そして同じようにグルーブも変化し、発展していきました。

          第5章 グルーブ徹底解説その①〜1970年代まで〜

          第4章 奥深き世界「SWING」の考察

           前章までで、このテキストでお伝えしたかった「体感的な側面」「聴覚的な側面」について細かく解説しました。ここでは、それらについて補足を加えていきたいと思います。 ■SWINGの鍵は、地球の〇〇  グルーブ=律動を感じさせる要素。これをテキストの最初にまずは定義としてお伝えしました。「音楽のグルーブに合わせて→身体を律動させる」という伝達の順序ですね。しかしもしかすると元来は、「身体をこう律動させたい→音はこう奏でよう」という順番ではなかったのだろうか…こんな空想もしてしまい

          第4章 奥深き世界「SWING」の考察

          第3章 構造を理解する「聴覚的な側面」

           第2章では、グルーブの理解に必要な「体感的な側面」について解説しました。今回は、もう一つの「聴覚的な側面」についてです。 ■「ダウン・アップ」の間の音 いち音楽リスナーの方であれば、前回の内容までで、より音楽を楽しめるようになるかと思いますが、音楽を演奏したり、製作したりする立場になると、楽曲への理解や正確な表現というものが重要になってきます。(求道としてたくさんのことを知りたいという、熱心な音楽ファン。という、また違う立場の方もいらっしゃるかと思いますが。笑)その場合、

          第3章 構造を理解する「聴覚的な側面」

          第2章 律動を感じる「体感的な側面」

           このセクションでは、第1章で触れた「体感的な側面」について、より深く解説していきます。 ■J-popの起源はアフリカ!? 現代においてポピュラー音楽と呼ばれるものには様々なジャンルが存在しています。その中でも多くの日本人の耳に届いているものは、和声的(和音やメロディー)には16世紀頃からヨーロッパで確立され始めた、いわゆる西洋音楽が元になっています。

          第2章 律動を感じる「体感的な側面」

          第1章 グルーブ理解の「2つの側面」

           改めまして、本マガジンをご購入いただきありがとうございます。第1章は、グルーブに関する基礎的な考え方の解説です。ここが明確になるだけでも、実際の楽曲を聴きながらグルーブを掴む感覚が良くなると思いますので、ぜひじっくり、自分の好きな楽曲などをイメージしながら読み進めていってください。 ■グルーブって何だ? さて、いきなり本題に入りたいと思います。マガジンタイトルにもある「グルーブ」とはそもそも何なのでしょう?   ”この曲のグルーブ、かっこいいね”   ”もっとグルーブの

          第1章 グルーブ理解の「2つの側面」