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〈中編〉予算500円でお台場散策/お台場景観案内

 「武器を置き、日傘を取って立ち上がれ―」

前置き~前回のあらすじ~

(※以下しばらく、彼は2022年の真夏にいます)
 はい。5月の散歩コースを紹介する記事なのに執筆時点で7月下旬になってしまっているお台場散歩記事、その後編です。
 前回の記事では、限界大学生散歩の真髄たる田町~台場までの過酷な行程にはじまり、お台場海浜公園のトイレやらゲーマーズを経て、デックス東京ビーチの甲板へとたどり着き、11時ごろに早めの飯を目指す決意を固めるところまで書きました。ここまででだいたい6,7キロくらい歩いているのではないでしょうか。冬ならちょっとあったかいくらいで、あとはかなり手がかじかんで全然スマホをフリックできないくらいで済むのですが、これが夏となると暑すぎて全能力2段階低下のデバフがかかり、手どころか全身動きません。景色も別によくないし、やっぱ夏ってワルですわ。皆さんも外出るならぜったい冬ですよ。できることなら盛夏に差し掛かる今言いたくなかったけど。

本題

 ではお散歩を再開していきましょう。「今また夢を、追いかけていこう……!」。

 さて、デックス東京ビーチの甲板あたりで虹ヶ咲の館内装飾を巡ったら、直結しているアクアシティお台場を抜け、とりあえずヒルトンの方を目指します。お台場に慣れない方はなんのこっちゃわからんでしょうが、要は田町駅からレインボーブリッジまでと同様、直進直進バクシンです。この街は碁盤の目状とまではいかないまでも街の区画が単純なので、基本的に「直進・右左折・直進」の直角移動1回で2つの地点をつなぐことができます。だからこの街で迷子になる果林ちゃんはエマちゃんの介護なしには生きていけません。
 と、長いことカメラロールを探してみたのですが、このテラスの直進中に撮った写真が全然見つからない。雰囲気すら伝わらないのは散歩記事の趣旨を外れてしまいますから、全然違う日に違う理由で撮った写真を添付します。

「わ!甲板の線と影が平行だ!」と思って撮った写真
真夏、ゲリラ豪雨が過ぎてすぐ
甲板が鏡面のようで幻想的だった
桜とフラッグ
長いことTwitterのヘッダーにしていました
続きを書いているうちに撮った
RAINBOW in the MIRROR

 東京湾を右手に見ながら道なりにテラス上を行けば、やがて自由の女神像や「LOVE」のオブジェのある広めのスペースに出ます。ここで突き当たりに聳えている、湾に向かって弧を描いた建物が「ヒルトン東京お台場」です。アニメではランジュの住居として登場しましたね。

飛行機雲とヒルトン
どんなに寒くてもソフトクリームを手放さない
n分咲のソメイヨシノと女神像

 これまた湾向きに弧を描いた歩行者用の張り出し(としか表現できない)は、2期のキービジュアルに使われた場所です。ぐるっとベンチが設置されており、真冬以外はたいていアベックが自分達の世界に浸っています。

ヒトも冬眠することがよくわかる無人のベンチ

 ここも、この記事が書き始められてから公開されるまでの間に、QU4RTZちゃんと一緒にしばしば描かれるようになりましたね……。
 ちょっと脇に逸れることにはなりますが、ここは階段を降りて海に近づいてみるのがいいでしょう。汚い汚いと喧伝される東京湾ですが冬場は意外にも澄んでおり、ユリカモメやウミネコ、カワウなどの水鳥も集まります。トビがいない砂浜というのも、神奈川県民の僕にとっては羨望の的です。

前編のサムネイル
いつまでも見飽きることがないのは富士山にも通ずるものがある
チャリでお台場を駆け抜けた際の記念写真

 この辺りは1期13話でスクールアイドルフェスティバルの運営本部となったり、お台場トレインコラボではめばちさんのイラストの背景になったりと、人が自然と集まってくる定番のスポット。お台場景観界のNHKといってもいいくらいです(フジテレビのお膝元で使う喩えじゃないが)。

 さて、ひとくさり海と橋を感じたところでまたお昼を目指しましょう。ずいぶん長い時間が経ったようですが、ゲーマーズからここまででだいたい20分くらいしか経っていません。してみると、田町から台場上陸までで本当に過酷なのは情報量の少なさかもしれませんね。

(※次の段落、彼は2022年冬の時空にいます)
 さてさてさて、ここまでお読みの皆さんはすでにお気づきでしょうが、もう冬です。すみません。尻を叩かれると痛くて動けなくなるタイプなので、前編から半年近く経ってしまいました。しかし今日、夏ネタの賞味期限はとっくに超過して、我らの季節がやってきました。みなさんお台場に行きましょう、今時分のお台場には美しくもどこか寂しい、クセになる景色が待っています。

 閑話休題。海をとりあえず見終えたところでした。ここからはレインボーブリッジに背を向けて、おおよそエマちゃんら寮生組の生活圏である青海方面へと向かいます。階段を上って歩行者用の張り出し(デッキといえばいいのかも)に戻ったら、そこからまたひたすら直進します。アクアシティ、フジテレビを左手に歩いて橋を渡ると、また左手にダイバーシティ東京プラザやユニコーンガンダムが出現します。こちらはとりあえず無視してもう少し直進すれば、雲状のベンチが無数に置かれた広場に行き当たります。別にここが目的地というわけでもないのですが、侑と歩夢が1話でコッペパンを食べていたところだったりするので、一旦思いを馳せましょう。

歩きながら振り返る
海が見えない分、空の広さを感じやすい
青海方面、秋の写真
よく見ると奥に見覚えのあるオブジェが
有明方面
この視点では左手にガンダムがいる
桜がたくさん植えられたエリアでもある
ソメイヨシノ・アンド・ガンダム
色がどう決まってるのかとかはよく知らない

 引き続き南へ向かって歩いていきます。ダイバーシティとガンダムが人を集めて作る結界みたいなエリアを抜ければ、そこは留学生とビジネスマンが集う閑静な青海エリアです。厳密には海浜公園とダイバーシティとの間に港区台場と江東区青海の境界があって、ダイバーシティの所在地はもう江東区青海なのですが、侑ちゃんの言う「お台場寄って帰ろっか」の「お台場」にはダイバーシティも含まれていましたから、たぶんここまではお台場ってことでオーケーです。……もしかして千葉が東京を名乗るやつと同じなんでしょうか。
 万国旗がはためく国際交流館を右手にもうしばし歩いていくと、やはり右手側に科学未来館が現れます。最近は少しずつ賑わいも戻ってきて、遠足だか社会見学だかの小中学生が集まって弁当を囲んでいることもしばしば。そんなこんなでこの辺りも閑静なりに人目があるので、もうちょっとだけ先に進みます。すると間もなく行き当たるのが「弧を描いてほら 町中に響くよ」の赤色オブジェ。

NEXT SKYで栞子とアイラが話していたあたり
この辺りからが、僕にとっての「お台場」です
確かに弧を描いてはいる

 ここまで歩けば、テレコムセンター駅経由で科学未来館や台場の方へ向かう観光客や、周辺でお勤めするオフィスワーカーのみなさん、いつもガラケーでワンセグを見ているおじいちゃんらが見えたり見えなかったりする程度で、昼休みの時間を外せばほとんどひとけがありません。僕はたいてい、ここらのベンチで昼食を摂ることにしています。
 突き当たりに聳える、コの字を地面に突き刺したようなビル(テレコムセンター)に向かってもう少し歩いていくと、右手ビルの一階に「青海珈琲」が見えてきます。

 ここは土日祝休業・完全セルフサービスの近隣ビジネスマン向けすぎるお店で、カレーやサンドウィッチ、そしてもちろんコーヒーを格安で提供しています。コーヒーは基本1杯100円、コーヒー付きサンドウィッチが330円〜、コーヒー付きチキンカレーが400円(2023年5月時点)となっており、僕が選ぶのはもちろんカレー。ミニ賽銭箱みたいな入れ物に100円玉を4枚投入し、重量制限いっぱいにカレーをよそって、お好きなコーヒーを抽出したら、今度は席取りです。残り予算0円。

──正午──

カレーとコーヒー(400円)
気に入っているアングル

 お店正面の通りは人の往来があるので、芝生の広場を挟んで対岸にある木陰のベンチを選ぶことが多いです。なんの木だかいまだに把握していないのですが、一年を通してずっと何かしらが降ってきます(葉っぱ、枝、羽虫、蟻、いもむし……)。幸いイモムシオンザカレーになったことはないので、多少気にかけていれば無問題ラ、だと、思います……。
 それにたいてい可愛らしい闖入者が現れるので、虫なんぞ気にしている余裕はありません。

カワE〜〜〜〜〜〜

 スズメさんです。座って昼食を摂っていれば大抵近寄って来るのですが、虫にしては大きすぎる影が視界の外から突然現れるので、慣れるまではだいぶびっくりします。チキンカレーを狙うのは共食いじゃないんか……? とずっと気がかりだったのですけれど、お望みはライスの方だったみたい。じゃあいいか。

 そろそろみなさんお気づきかもしれませんが、予算500円のこの行程、平日しか踏めません
 ……すみません。限界大学生は限界であると同時に暇なのです。400円より多少値は張りますが、それでもお台場のランチにしてはお安く腹が膨れるお店にいくつか覚えがあるので、いずれまたどこかでご紹介できればと……。

 へい。スズメさんの共食いを見届けたところで、カレーの容器やコーヒーのプラカップはその辺のゴミ箱(いくらでもあります)に捨て、30分くらいのんびり過ごします。そのままぼーっとしても良いですし、自前の小説なんぞ読み進めるもよいでしょう。

この日は森見登美彦『聖なる怠け者の冒険』を読んでいたらしい
普段はこんな写真撮りません

──午後1時──
 さて、だいたい12時〜13時くらいになったら立ち上がって伸びでもして、次なる目的地をめざします。目的地といっても、ポイントを目指すというよりは道程そのものが目的といいますか、いよいよ僕の一番好きなエリアを通っていきます。では、まいりましょう。

 フジテレビ湾岸スタジオの辺りを通って、水の広場公園へと向かいます。この辺りは建築も洗練されていて、見た目にも写真にも映えるものばかり。反射や透けの具合を楽しみながら行きましょう。

テレコムセンタービルの反射
フジテレビ湾岸スタジオ

 BMWのショールームとかのある交差点へ。もはや歴史となってしまった旧ヴィーナスフォートを左手に見ながら信号を渡り、ゆりかもめの高架を潜ります。

ヴィーナスフォート
今はもう、
高架を潜ったあたりの「青海トンネル管理所」
施設については何も知らない

 ひとけの全くない(あっても自転車で走り抜けていくパトロールのおっちゃんくらい)歩道をゆりかもめと並走します。するとほどなく右手のフェンスが切れて、「水の広場公園」が覗きます。

こんなに名前通りの公園もない

 かねてより大好きな公園だったので、スクフェス2でURエマちゃんの覚醒前イラストに使われてチョービックリ。

「空に響く癒しの声」が似合いすぎる公園でもあるよ

 好きなので、たくさん写真を載せます。例によってぜんぜん5月に無関係なものばかりですが……。

よすぎる名前の紫陽花
オダイバリフレクションシリーズ
雨の翌日でなくとも、潮の満ち引きと波の関係で水溜りができていることがある
「今日の青い空は昨日と違う 明日の青い空 今日と違う」
という感じの写真
ここのコンクリに腰掛けたときの右斜め前が羽田方面
落ちてくるのではと怖くなるほどの低空を飛行機が過ぎてゆく
だいぶ歩くし、冷めるが、ここでカレーを食うと世界が自分のものになる
恥ずかしいセリフ禁止
レインボーブリッジ付近に並んで、ここも河津桜のスポット
開花時期はメジロがちょこまかしている
こういうので「です」調なことあるんだ
カリフラワーとメタルフラワーとゆりかもめ
紫陽花の時期だけはカメラを持った人で賑わう
葉が疎らな時期こそ落ちる影は美しい
ここに花弁を少々

 まだまだ足りない。ここは前も右も左も果てがあって、「海」と呼ぶにはやや閉塞感がある場所なのですが、一方で見える範囲に全て収まっているのは安心にもつながるようで、目的なくぼ〜っと時間を過ごすのに好適な場所でもあります。「水の広場公園」に「海」という言葉が含まれていないのも、見栄を張った感がなくてなんだか良いですね(今思った)。

 冬場に限ってはなんも気にせずコンクリートに腰掛けて本を読んだり、なにもしなかったりできるのですが、3〜11月中旬くらいまでは虫さんに気をつけましょう。色の薄いズボンを履いて座って、コンクリにウヨウヨしている赤いダニみたいなヤツをうっかり踏み潰しでもしたら大変です。残暑も抜け切って蚊とかよくわからない羽虫とかがいなくなっても、「冬眠前の祭りじゃい!」とばかりにバッタがぴょんぴょんしていますし、蟻たちが僕らの靴でクライミングを試みます。やはり11月下旬ごろから2月にかけての白昼に、直射日光で何かをするのがよいでしょう。冬季にこのあたりのコンクリや芝生に腰を下ろした場合、真横に太陽が沈んでいく格好になるので、夕方から影が邪魔をして読書しづらくなるのも注意。
 誰も真似しないのに誰に注意しているのでしょうか。

「水の広場公園」

 さて、名残惜しいですが(ここまで去るのが惜しいのはレインボーブリッジの見える海浜公園とここくらい)次なる目的地へ。場所それぞれという"点"も好きですが、やっぱり線とか面としての街全体の雰囲気が好きですから、そこらじゅうに潜むこまごましたキレイを見逃したくないのです。

 水の広場公園を道なりに抜け、先ほどから存在感を放っている東京ビッグサイト方面、江東区有明を目指します。

冬場は影が長くて面白い
面白い
橋が5本も6本も横並びになる
飛行機雲も横並び
長い影とピカピカのバス
冬場の昼下がりは、青いというより青白い
面白くはない

 「あけみ橋」という橋を渡り、有明地区へ。欄干の装飾がウネウネして波っぽかったり、道路側の鎖の柵も波っぽいデザインをしていたりと、海らしくない海に概念的な「海」を添えてくれます。実物は凪もいいところですが……。

 さて、橋を渡り終えると、右側に「La Bella Patria」に登場した東屋、左側には超高級会員制ホテルであるベイコートや「Solitude Rain」に登場した円形の広場が見えますが、ここは想いだけ馳せといてそのまま直進。トラックの行き交う交差点を渡ると、やはり右手の海側に下り階段が現れます。

いつも「虹色Passions!」が勝手に聞こえてくる景色
いつも鳩がしぬほどいる
ハクセキレイ「オレモイルヨー」

 奥に見えるビッグサイトへ歩いていきます。ここらは海面と歩道が近いのか、5,6月になるとクラゲが大量に打ち上がって干からびています。干からびるといってもほとんど水なので、円形の水たまりに目を凝らしてやっとクラゲの面影が浮かび上がってくる、といった風情ですが……。釣り人さんの多いエリアでもあり、彼らの敵であるエイなんかも比較的よく見ますし、餌を狙ってか猫も出没します。Happy Nyan! Days!!!!!
 突き当たり右方に「有明船着場」があります。このあたりでは高校だか大学だか、養成学校だか、何かしらの学生が船を使った研修っぽいことをしていたり(何も知らないじゃねえか)、催事や会議の休憩中の社会人のみなさんがぼーっとしていたり、清掃の方がタイルの掃除をしていらっしゃったり、どこか弛緩した空気が流れています。イチバンとは言えませんがやはり好きなエリアで、体力に余裕があるときは通っておきたいところです。なんせ、

影!
影!!
影!!!
西陽

 ビッグサイト周辺のここらは、人工物の落とす影に妙な味があるのです。イイカンジの影を追いながら建物(有明客船ターミナル)に入り、階段を上ってゆくと、そこはもう東京ビッグサイト。

影・イイカンジ・階段
「始まったのなら、貫くのみです!」

 階段の上りたてからビッグサイトのビッグサイトらしい建物を撮った写真があんまりないので、ちょっと違う角度も交えつつ……。

ゆりかもめ東京ビッグサイト駅との間より
1期2話で侑、歩夢、かすみがコッペパン食べてたあたり
同上
もうちょい先、虹ヶ咲学園の中庭のあたり
「DIVE!」の屋上へと繋がるあたり

 催事のない日はほとんど無人ですが開放はされており、休憩所もWi-Fiも無料で使えます。ただ(長居を防ぐためというわけでもないでしょうが)ローソン前のいちばん便利な休憩所はWi-Fiが弱く、あんまり大容量のデータの送受信はできません。僕はローソンで無印のバウムクーヘンとか買って、特に何もせず呆けてるのが好きですね。
 そのまま展示棟同士を繋ぐ廊下みたいな部分を抜けて施設の外へ。と言いたいところですが、屋上や展示棟が開放されていれば寄り道します。

廊下? 東展示棟へつながる
変だがすばらしい建築
西展示棟へ寄り道
りなあいが上ってきそう
部室周辺
西展示棟屋上
「DIVE!」
セブンイレブンのあたり
藤が咲く5月ごろは寄っておきたい

 なんせ学園そのものですから、どこもかしこも見覚えが。丹念にカット回収をしようと思えば、丸一日だって潰せてしまうでしょう。

予告

 さて、ビッグサイトも一通り巡ったところで次へ……、と行きたいところですが、文字数が前編を大幅に超えてしまったので、ここまでを<中編>として公開することにします。例によって後編の公開まで1年かかるかもしれませんが、今回は保険をかけずに「なるべく早く上げるゾ」と宣言しておきます。十分保険だわ。

今回の道のり

数字のテキスト化を覚えた

 ①デックス東京ビーチ甲板→②ユニコーンガンダム周辺→③テレコムセンター→④水の広場公園→⑤東京ビッグサイト、という行程。距離にしてみるとぱっと見前編と同じくらいなので、文量としては適正だったかも。じゃあ後編はどれくらいの長さになりそうかというと……。ハハハ!!!

 ほなまた!

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