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HECPホーム・エレクトロニクスカフェ-「バウヒュッテ」コンソーシアム・プロジェクト❹

(4)ショークの「蒲生三丁目の家」。
なぜここが彼にとって最高のバウヒュッテになり得たのだろうか。

Showkショークが最後の形象に選んだのは、今までの住まいの「家」とは全く異なる。何もない小さな「小屋」である。彼はここを『バウヒュッテ』と呼んでいる。

バウヒュッテの生まれた時代背景には、「小工」という存在が出てきたことが大きく関わってきます。瓦礫の上の芸術と呼ばれる復興のバウヒュッテは、「小工」の住宅の形式として東日本大震災を契機に成立しました。この『バウヒュッテ』は、昭和初期の長屋の廃屋をハンドメイドでリノベーションした。外壁にはこげ茶色に塗った足場板が貼付けられ、内壁は合板、屋根は石綿スレートの大波板という質素な造り。家具はショークのダブルイマージュの世界観の、奇異な家電とロボットの融合によるインテリアオブジェで構成されています。今までのショークの「家」であった、高層アパートメントの最上階ペントハウスや昭和初期の茶室、農園風景の古民家でもない、何もない小さな「小屋」でなのです。

彼はここをバウヒュッテと呼んでいる。なぜここが彼にとって最高の「家」になり得たのだろうか。

バウヒュッテは六十歳を期に生まれ変わったショークにとって、過去の社会的な地位や贅沢な生活では得られない安息を得ることができるシャビーでミニマルな場所だったのです。本当に必要な物なんて、この小さな小屋を一杯にするほどもありはしません。「生活の簡素さ」ーつまり、「家」のあり方をインスタレーションという芸術を通して活動し続けてきた、ショークにとって「家」は日用品(コモディティ)であるという、ようやく問題の核心に辿り着くことが出来たのです。


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