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医療危機を救う底辺の再構築 〜医療崩壊を防ぐための命題は2つである。


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医療崩壊を防ぐための命題は2つである。一つは「サイトカインストームを起こさないためには、どうすればいいのか」ということ、そしてもう一つは、「サイトカインストームを起こしたら、どうすればいいのか」ということである。
それは、医学の入口(末端)と出口(先端)の問題、つまり食と生命の問題であり、その主題は共に「免疫」についてである。

「免疫」システムは諸刃の剣である。サイトカインストーム、「免疫」が暴れだすと、ワクチンや抗体、そしてアビガンなどの抗生治療薬は無力である。


4月15日に、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構と、国立大学法人北海道大学遺伝子病制御研究所の共同による論文が発表された。


新型コロナウイルスに生じる致死的な急性呼吸器不全ARDSはサイトカインリリース症候群CRSであり、CRSを治療することができれば新型コロナウイルス感染症、COVID-19も恐ろしい病気ではなくなる。

この論文では、ここでの重症化は急性呼吸促迫症候群(ARDS)の発症と定義された。COVID-19に発症する致死的な急性呼吸器不全ARDSの発症の仕組みを考察し、その治療としてIL-6-STAT3経路遮断の有効性を示唆したのである。
だが、こうした研究や臨床はこれからの課題であり、私たちは、目の前で起こっている、。医療崩壊の現実に、向き合っていかねばならないのである。

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蘇生措置を行わないという選択

新型コロナウイルスの感染が急拡大しているアメリカでは、一部の病院で心肺停止した患者への蘇生措置を行わない方針が検討されている。医療リソースが不足しているため、医療従事者の感染リスクを低減するためだ。ただし、そこには生命倫理の問題が厳然と存在する。

通常なら、最期まで手を尽くすという使命のもと、すべての患者に蘇生措置を施すのが当然である。しかし、新型ウイルスが蔓延している今、それは医師や看護師を感染のリスクにさらすことを意味する。

患者の急増で受け入れ能力の限界に近づいており、全員は助けられない。医療機関は、日々緊迫した現場において命の選別が迫られている。 

最大数のための恩恵を最大化するという原則のもと、必要とするすべての患者に集中治療をするのではなく、助かる可能性が最も高い患者を優先するガイドラインを示さなければならない。もちろん、これは医学の領域ではない。生命や生命倫理の領域の問題なのである。だが、誰かがそのことについて問題提起しなければならない。

そして、私たちが真剣に向き合わなくてはならないのが、もう一つの命題である「サイトカインストームを起こさないために、どうすればいいのか」についてである。


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食品由来成分による免疫調節作用免疫機能を調節する食物でウイルスを予防できるか?


食品由来成分が免疫細胞に作用し、サイトカインなどの産生を介して免疫機能を制御する詳細なメカニズムが明らかになりつつある。一方で,免疫調節作用をもつ食品由来成分を摂取した際、胃や小腸における消化・分解の影響や、腸管免疫への情報伝達、全身免疫への影響など、解決すべき点が多く残されている。今後は、動物実験を用いて、生体内における食品由来免疫制御因子の動態と免疫機能の制御メカニズムを詳細に解析することが必要である。加えて,大規模なヒト介入試験を行うことで、ヒトが長期摂取した場合の効果と適切な摂取量、免疫関連疾患への予防効果などを検証する必要がある。

免疫機能は、加齢や肥満・運動不足、ストレス,睡眠不足、喫煙、食生活の乱れなどにより低下するといわれている。なかでも,過剰な脂質・糖質の摂取や極端な栄養不足は免疫機能の低下を引き起こすことが知られており、食生活が免疫機能に与える影響は大きい。また,食品由来成分の中には免疫機能を調節するものが存在し、栄養バランスの整った食生活を送ることが免疫機能を維持するうえで重要である。

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日本人は新型コロナの「自然免疫」をもっている。ーマクロファージ


そもそも、免疫とは2種類あり、生まれた時から備わっている、マクロファージなどが関わる「自然免疫」と、後天的に身につくリンパ球が主役の「獲得免疫」だ。今までは獲得免疫ばかりに注目が集まっており、インフルエンザの予防接種などは、獲得免疫を利用したものである。

「自然免疫」では、入ってきた病原菌を食べ、老廃物など体内のゴミも食べつくしてくれるマクロファージが非常に重要な存在であり、さらにマクロファージは、臓器や器官が正常に働くよう司令塔の役割もしてくれる。リポポリサッカライドはこのマクロファージを活性化する重要な成分なのである。

免疫学は日本が世界でも大きな成果を上げている分野の1つであり,日本発のマクロファージ学は世界でトップクラスの素晴らしい研究レベルを保っている。

生体のほぼすべての組織には恒常的にマクロファージが存在する.これらのマクロファージは組織に存在するシグナルに応答することによりさまざまな機能および形態を示し,組織における恒常性の維持に寄与する.しかし,この組織マクロファージの多様性を制御するシグナルの実体はほとんど明らかにされていない。

免疫力とは外から入ってきたウイルスなどの「自分ではないもの」を攻撃する力のこと。
「自然免疫」は異物が入ってくると真っ先に攻撃するのに対して、「獲得免疫」は特定の異物を攻撃する抗体を増やして強力な一斉攻撃を仕掛けます。また「獲得免疫」には一度攻撃した異物の情報を記憶するシステムがあるので、退治した異物に対する抵抗が身につくという特徴がある。


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マクロファージを活性化させる、リポポリサッカライドLPS


「自然免疫」を活性化する物質としては、乳酸菌のペプチドグリカン、キノコや酵母のβグルカン、グラム陰性細菌のLPSがある。これらの成分はいずれも、「自然免疫」担当細胞であるマクロファージを活性化すると言われている。マクロファージはウイルスが感染してしまった細胞を食べて処理してくれる。

ペプチドグリカン、βグルカン、LPSのうち、特にLPSは抗ウイルス因子(インターフェロンβなど)を誘導するシグナルを活性化する。従って、LPSを多く含む食品を普段から摂取することが、新型コロナウイルスに対する備えとなり、また感染した場合にも回復を早めることにつながる。

LPSは、グラム陰性細菌の成分で、グラム陰性細菌の細胞壁の外側にぎっしりと埋め込まれた形で存在している。糖と脂質が結合した構造をしているので、日本語では「糖脂質」あるいは「リポ多糖」と呼ばれ、英語では「リポポリサッカライド(Lipopolysaccharide)」、略してLPSと呼ばれている。

LPSの最も良く知られている生物活性は、、マクロファージの活性化である。マクロファージは自然免疫の中心的細胞で、体中に存在しており、細菌やウイルスから身体を守ったり、傷の修復を助けたり、新陳代謝の調節に欠かせない働きをしています。従って、マクロファージを活性化するLPSは、感染防御、創傷治癒、代謝調節の機能を高める。


リポポリサッカライドの摂取は、サプリなどではなく、玄米などの食物から摂取することが重要である。


玄米は最低100回〜200回よく噛むことにより唾液を分泌されることが重要である。また、近年、多くの研究機関が唾液の成分と働きに注目し、唾液の重要な作用が続々と発見されている。唾液は消化液にとどまらず、風邪やインフルエンザなどの感染症の予防、日本人の死因の上位を占めるがん、脳卒中、肥満や生活習慣病の予防、歯周病や誤嚥性肺炎などの感染症予防、アンチエイジングなどにも深く関わっている。

唾液には“IgA”という成分が含まれていて、身体の中に入ろうとする細菌類をシャットアウトし、免疫力の強い身体を作っている。しかし、加齢やさまざまな要因で唾液の力が低下すると、病気になりやすい身体になってしまうのである。ウイルスとの戦いにおいては、「唾液力」をきたえることもポイントになるのである。

唾液中の分泌型免疫グロブリンA(s-IgA)は、病原体の生体侵入に対する第一線の防御機能として働き、粘膜免疫に重要な役割を担っている。s-IgAには、ウイルス中和、細菌凝集、粘膜上皮細胞への細菌付着の阻止、種々の食物アレルゲンとの結合など様々な活性が、みられる。これらの活性によってs-IgAは病原性微生物の粘膜侵入を阻止し、とくに上気道感染に対しては血清抗体その他の免疫システムよりもさらに有効な第一線の生体防御機構として働くと考えられている。


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