マメ子雑記⑤-2 付き添い入院のこと

 マメ子が、RSウィルス感染で入院した。命に関わるものではなかったし、最初から期間はおそらく5日、長くて1週間と告げられていて、幸い5日で退院した。それでも、辛かった•••!自分の人生で経験した帝王切開含む2度の入院(7日、9日)よりも、今回の付き添い入院5日間のほうがよっぽど、よっぽど辛かった。そして、こんなに(心の中でだけど)辛い辛い言ってしまう自分もなんかいや。5日だけなのに、子どもの回復を願い喜ぶだけでいられない、大人になりきれないわたし。。なぜか自分の嫌な部分についてまで考えちゃう、不思議な付き添い入院。長期の人たちは深刻に辛いと思うよ。
 今後ないとは言えないし、経験を書き留めておこうと思う。


 まず、私たちの置かれた状況。コロナ禍での付き添いルールとして交代は禁止だった。子どもを連れて行ったその足で入院。(私の場合は荷物を取りに行っても良いと言われたけど、具合の悪い子どもを連れて行動しないといけないので怖くて断念)夫に必要なものを持ってきてもらうことにした。夫は頑張ってくれたけれど、やっぱり自分で荷造りできないのは不自由だった••!「マメ子のなるべくゆるめのTシャツ」とか「静かに遊べそうなおもちゃ」とか言っても、どのくらいを求めてるのか伝わらないよね。翌日以降は、洗濯物などの荷物の受け渡しはできるけれど決まった時間帯(午後の1時間だった)に届けてもらわないといけない。預けるだけで、面会はできない。あと、荷物に食品を入れてはいけない(←でもこのルールは完全に破綻していた。私も、守るのは無理だな、と思った。ナマモノでなければ許されるっぽかった)そして、入院した瞬間からもちろん外出はできない。見守りを頼む人はいない。
 ちなみに私とマメ子は、4人部屋に入れてもらった。マメ子は声が大きいしイヤイヤも激しいので心配だったが、個室は空いていないようだった。

 こんな状況下で私の感じた辛さ、種類がいくつかあったように思う。


1. 基本的な生活ができない

 ニュースとかでも見たことがある通りだった。付き添い家族の過酷な状況。まず食事は出ない、外出はできないので売店で買うしかないけど、買いに行くタイミングも全然ない。みんな検査や治療の合間を縫い、子どもの寝ている時にベッドの柵を上げてささっと行くらしかった。マメ子は大きくて柵を上げても安心できないし、咳き込んでしょっちゅう起きるので、私は最初の二日間本当にそばを離れられず、見かねた看護師さんが一度売店に行かせてくれた。それで結局、夫からの荷物に食料も入れてもらい、しのぐことに。パンとかカップラーメンとかね。そんな状態なので、ゆっくりシャワーなんて夢のまた夢だ。1日目は当然入れず。2日目の昼寝中に無理矢理行くと、やっぱり起きて絶叫していて同室ママに大変迷惑をかけてしまった。(すごく親切なママで、自分の赤ちゃんを抱っこしながらマメ子に優しく声をかけてくれていた)ということで3日目はあきらめる。4日目も入れるわけがないと思っていたら、マメ子を連れて入って良いことになり、4泊のうち2回は入ることができたから、恵まれてたんだろうな。トイレは部屋が隣にあったので、行かないでと泣くマメ子に謝りながらささっと済ませる。男女大人子ども兼用、大人用は一つしかなかったので、出直すこともしばしば。寝る時はマメ子のベッドに一緒に寝た。点滴や呼吸器がついているときは、物理的に狭いし何度も巡回に来るので心配もあり眠れなかったが、外れてからは意外に眠れた。子どもの体がもっと大きくなってくると辛そう。
 付き添い人のための設備&子どもから目を離せる時間がほぼないので、最低限の生活を送ることがとても難しい!5日のことだから、と思って耐えるしかなかった。


2.イヤイヤ期の子どもへの対応を24時間周りに公開しないといけない

 私は、地味に、これが本当にメンタルに来た。もともと声がすごく大きく、パニックになりやすい、騒がしい子だ。イヤイヤも激しい。寝起きもたいてい悪い。特にハンデがあるわけではないし、こんな状況ではみんなそうと言われればそうだけど。予想通り、体調が悪く病院で怖い目にばかり遭っているマメ子を5日間なだめるのは大変だった。点滴の針を刺したのが相当嫌だったようで、ずっとずっとそのことを言っている。私が少しでも離れると大声で泣く。看護師さんが入ってくるだけで叫ぶ。処置の間中暴れまわる。少し元気になってからも病院のごはんは決して食べず、代わりに菓子パンやジュースをあげるとそればかり要求してまた泣いた。まともなものを買いに行くこともできないのだ。治療は受けさせないといけないので汗だくでつかまえて押さえつける。さすがにかわいそうになり、好きな絵を描いたり絵本を読んだり歌ったりして束の間ほのぼの過ごしても、またすぐにぐずぐず言い出し、こちらもイラついて大きな声を出してしまう••• もう、ブレまくりの手腕なさすぎのみっともない母親像を、ずーっとみなさんに公開しているのだ。同室は赤ちゃんばかりだったので、お互い様ではなかったと思う。私たちだけがずっとずっとうるさかった。申し訳なさすぎて、2日くらいは謝ることもできなかった。少し落ち着いてから謝っておしゃべりもできた。本当にみなさん優しく、救われた。

3. 子どもと医療従事者をうまいことつながないといけない
 これがプレッシャー。入院してなくても子育てしてたら感じることだけど。まず、子どもの今の状態と、何がどうなれば退院できるのか、そのためどんな治療をしているのかを正しく理解しないといけない。そして、子どもの状態を観察する。異変があれば伝える。子どもをぽんと見せて、その様子だけで診断してもらえることばかりじゃないのだ。子どもだから当然治療を嫌がるけど、耐えさせないといけない。かと言って「ただぐずってるだけ。いつもそうだから」みたいな判断を私がして、マメ子のSOSを伝え漏れたら。そんなふうに考えちゃう場面が何回かあった。痛くないはずのところで痛いと泣いて、本当に何かおかしいのか怖くてグズってるだけなのか誰にもわからない、みたいな。
 病院から何かを求められたわけじゃない。医療に関する判断は向こうがしてくれるのだけど。「夜中はどうでしたか?」とか「お母さんから見てどうですか」とか聞かれるたびに、この返答で何かが変わってしまったらどうしよう、と怖かった。確かにマメ子を一番見てるのは私なんだけど、子育てに関していつも自信はないし、医療の知識はゼロなんだもの。


と、こんな感じだったと思う。2には私自身の面倒な性格も災いしてるな。3は当然の義務でもあると思うのだけど、やっぱり怖い。1に関しては、仕方ないとはいえ、どうにかなってほしいと思う。ただでさえ子どもがかわいそうで辛くて疲れているのに、自分の生理的欲求を満たすのに苦労する状態って過酷すぎる。病院が悪いわけではないけど、病院にどうすることもできないのだから、交代は可にしてほしいなあ。感染予防。どうにかできないのかな。2人までにするとか、検査してから交代するとか•• だめな理由があるんだろうけど、考えてしまう。だって長期の入院だったらどうなっちゃうんだろう。耐えるしかないけど、耐えられるかな。私が考えても何もできない大きな問題。

 親として、人間としての未熟さを突きつけられた経験だったなあ。次はないといい。本当に。
私は、マメ子が辛い時にも笑って励ますことができる親になりたい。マメ子が小さいうちは、辛いことから心をそらしてあげる方法をたくさん考えておかないといけない。マメ子と2人大変な状況におかれた時、周りの目を気にしすぎず、気負わずにわからないことを聞いたり、助けを求めてみたりできるようにならないといけない。
 私が今回の付き添い入院で得たものは、この目標だ。 

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