『羽根』

混沌に溺れるこの世界に
空から舞い降りた天使は
人々に向けて微笑んだ
僕だけと目が合った気がして
すぐに心を奪われた

見つめ合ったその目は
やさしさとぬくもりに満ち溢れてた
けど僕が魅せられたのは
目の奥に少し見えた悲しみのせいだろう

天使が微笑みをたずさえ
ぬくもりをくれるなら
僕は強さをたずさえ
きみを守っていきたい
たまには羽根をたたみ
自分のために笑ってほしい



救いを求め集う群衆から
きみを連れ出してみようか
嘘で固めた微笑みを
心からの幸せに変えさせてあげる
白い羽根もその笑顔も
僕の側では自然にしてて

きみが悲しみと向き合い
素直になれるように
僕は隣でやさしく
きみに向けて微笑むから
だから今度は
自分の心と見つめ合ってみて
なにも怖くないから




心から笑う天使の横で
僕も一緒になって笑った
二人の心は通じ合い
一つになれた気がした
「ずっとそばにいてもいいかな?」
天使はただ笑って
空へ羽ばたいた



気付くといつものベッドの上
すでに授業は始まってる
急いで飛び出した角で
ぶつかった娘の背に
羽根が見えたのは気のせいかな

2008.05.26

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