『Remordimiento』

暗い砂漠の上で
水を求めさまよう一人の若者
たどり着いた水辺のオアシスに
彼は一輪の白い花を見た

透き通るようなその花の色に
何を混ぜ合わせ幸福を得るのだろう

人に与えられた道のその半ばで知る言葉に
彼はどんな意味をつけてまた歩みを進めるだろう
歩いてきた足跡はすでに消えて思い出せない
遠い記憶は彼に何を思い出させるのだろうか



熱帯夜の
うなされるような夢か
それとも苦しいうつつか

痛みを伴うことを知りながら
気にも留めないのは
鈍感かただのサディストか

人が歩むべき道のその終わりにある何かを
知らないまま進むことに誰もが恐れを抱いて
互いの傷を嘗めあい他人の痛みを知っていく
その旅の終わりに向けて傷をまた増やし続ける



旅の途中にいる人の行く先には何が待つか
砂漠に立つ彼の明日にはどんな陽が射すのだろうか
「お前の背中の傷を他人に見てもらえ」と言った彼が
僕自身だと知るのはずっと先のことだった

2008.07.18

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