『分岐』

あれだけ眩しく映っていた街も
色をなくしてしまった
空いた僕の左手が
掴むものをなくし露頭に迷う

いつからか感じてた違和感や
想いを言葉にするのが
不器用だった二人
それでも好きだったんだよ

君に教わってしまった
二人でいるということ
僕は覚えてしまった
一人でいる寂しさを
もう埋めることができないほど
大きく胸に空いた空洞に
君との想い出が響いてる



人影もまばらな秋の海に
一人、水に足をつけてみる
打ち寄せる砂が足を包み
引いていく波が砂をさらう

ねぇ、僕も海に還してよ
すべて洗い流し やさしく包み込んでよ
遠い海に語り掛けても 足元の砂がさらわれるだけ

君の左手のほくろも
笑ったときのえくぼも
僕は覚えてしまった
君に出逢ってしまった
付き合う前の自分に戻れたら
こんなに苦しまなくていいのに
君は罪な人だね



君が選んだ道
二人で決めたこと
なぜこんなにも悲しい歌ばかり
聞こえてしまうんだろう

電話越しの声
最後の言葉
「さよなら」のたった一言が
こんなに重いなんて知らなかったよ

君に教わってしまった
二人でいる楽しさ
僕は覚えてしまった
一人でいる切なさ
笑って君を送りだすよ
二度と振り向かないで
僕のことはいいから
僕は大丈夫だから

本当に好きだった人だから
これからは幸せであってほしい
「ごめん」「ありがと」
そして「さよなら」

2008.10.01

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