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星星

─ 夜空に浮かぶ光にそっと手を伸ばした。 ─

冬の澄んだ空で一際大きな存在感を放つオリオンと呼ばれる星座は、その体躯に二つの一等星と五つの二等星を宿している。普段光光とした賑やかしい市街からですらも容易に見つけることができるそれは、深山みやまの闇に溶けて望むと名状し難いほどの美しさだった。
オリオン座だけではない。名のある星もそうでないものも、藍錆綾なす光の天蓋が二人を包み込み、彼と過ごす記念すべき日を祝福してくれているようだった。
倖せだと思った。愛する人と大好きな星たちのもとで過ごすこの時は、何度体験しても何にも代え難い倖福と、忘我してしまうほどの快楽を私にもたらした。
優しく彼の髪を撫で、そっとキスをした。そろそろお別れの時間だった。大粒の泪が頬を伝って、眼窩の血溜まりに落ちて混ざった。

「きっと、綺麗な星となってください。永永ようよう、愛しています。」

彼だった肉を、愛する思い出たちが転がっている穴にそっと落とし土をかけた。
顔を上げると、天蓋は変わらない美しさで私を優しく包んでくれていた。
そっと手を伸ばして、オリオンをなぞった。

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