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独りじゃないから辛くないソウルライク「CODE VEIN」

デモンズソウル、そしてダークソウルが世界的にヒットして以降、いわゆる〝ソウルライク〟と呼ばれるゲームが雨後の竹の子みたいにぽこぽこ出てきた。

開発が頓挫しかけていたコエテクの『仁王』がダークソウルっぽい感じに軟着陸したり、ストリーマーがこぞって配信したりと、ダークソウルが与えた影響は決して小さくないことになってる。

でもそうはあっても、そのストリーマーが話題作りのためにSEKIROに手を出しては途中で投げ出したり、Bloodborneでは序盤のスルーできないボスであるガスコイン神父の撃破率が5割切ってたりと、まあ割と物見遊山気分お断りなジャンルだ。

そんな「ダクソやブラボには興味あるけど、やたら難しくて尻込みしてる」というそんな貴方にもってこいのゲームがある。

そんでもって、テイルズやゴッドイーターなどアニメチックなイケメンや美少女キャラのゲームを得意としてるバンナムスタジオがソウルライクを作ったら……というのがこのコードヴェインです。

ざっとゲームシステムを説明すると、ものの見事にまんまダクソだ。かいつまむとこんな具合。

篝火⇛ヤドリギ

ソウル⇛ヘイズ

パリィ⇛受け流し

エスト瓶⇛再生力

といった感じにダークソウル経験者なら3秒で理解できる親切設計。わかりやすいね! とはいえまんまというわけでもなく、後述するが色んな独自要素で差別化できている。

イケメン美少女キャラでダクソをやりたい

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一方で特出しているのがキャラメイクだ。

ダークソウルやブラッドボーンをプレイしたことがある人なら既にご存知かもしれないが、あのゲームのキャラメイクは割と没個性的でその上兜や大きな帽子で顔は覆われるし、ゲーム中でもアップになることはあんまり無い。(肌が青かったりするキワモノなら作れるけど)

一方のコードヴェイン、このあたりはバンナムの得意分野なだけあって、こだわり抜いて「ウチの子」を作りたい皆様がたの期待に十分に答えられるクオリティとアセットの充実ぶりだ。特に戦闘中は基本的にガスマスクで口元を覆っているためか、髪型や目つきのパーツが多い。ポニーテールやツインテールなどで既存の髪型にアレンジを加えることもできる。とにかく一つ一つのパーツを細かく編集できるので、キャラメイクだけでゲーム起動初日は潰せる。

そんなこだわり抜いて作ったウチの子を愛でるフォトモードも完備。映えることもできる。

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難点なのが肝心の服装については、そんなにバリエーションが無い。というのもこのゲーム、戦闘中は吸血牙装というジャケット状の装備を装着しているので、そのせいでもあるのかなと。(現在はアップデートで吸血牙装の非表示設定が可能)このあたりは次回作があるなら改善して欲しいね。

ダークソウルとゴッドイーターを足して2で割ったバトル

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戦闘の基本的なシステムはほとんど一緒で攻撃や回避など何をするにしてもスタミナが必要。無理すれば死ぬというのも同じ。ついでに上の画像みたいにアノールロンドみたいなダンジョンまである。

それに加えてコードヴェインでは冥血と冥血スキル、吸血攻撃といったゴッドイーターと連なるシステムも導入されている。ダークソウルでいう戦技やスペルにあたるものだが、種類が豊富でなおかつ緩い条件をクリアすれば、色々と付け替えたりしてカスタマイズもできる。

ブラッドコードによる自由なビルド

いわゆるジョブやクラスみたいなもの。ダークソウルでいえばステ振り、あるいはビルドみたいなもの。

ダークソウルでは一度ステータスを構築すると、変更するには結構な手間や制限があったけど、コードヴェインではこのブラッドコードを付け替えるだけで、それに応じたステータスとスキル構成に切り替わる。

例えば純魔から脳筋ステにリアルタイムで変更することができたり、ダンジョン探索中には探索に特化したブラッドコード、ボス戦にはそれに応じたコードへ変えるという具合に、戦い方や遊び方を自由に変えられるのも楽しくて飽きが来ない。何よりステ振りに失敗して中途半端なステータスにならないのもありがたい。

独りじゃないから辛くない

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そしてコードヴェインの一番の特徴となるのが、仲間の一人を同行させられることだ。言うなれば、いつでもNPCの白霊を連れていけることだ。

このバディのAIがとてもよくできて、攻撃や回避、支援までもしっかりこなしてくれる。その一方で、バディに任せきりだとあっという間に死ぬので、そのあたりのさじ加減も絶妙だ。このジャンルの経験者であればわかると思うが、仲間が一人増えるだけで難易度がガラリと変わってくる。

そしてこのバディ、とにかく喋りまくるので同行してもらうと賑やかで楽しい。遠くに敵を見つけると「待ち構えてるな……」とか別れ道があると「どっちに行く?」とか、ボス戦で負けて死に戻ってくると励ましてくれたり、中には特定の場所でしか言わなさそうセリフがあるので、色んなキャラを連れ回してみるのも楽しい。

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仲間のみんなは飢えと脅威しかない行き詰まった世界でも、他人を思いやれる善人で、ギスる展開とかも無いのでご安心を。

血と記憶をテーマにした世界

ダークソウルも割と行き詰まった世界観だったけど、このコードヴェインも割といい塩梅に袋小路にハマってる。

突如出現した〝バケモノ〟に対抗するために、人類は人知を超えた力を持つ吸血鬼(レヴナント)に自らを作り変えて対抗した。その中でも切り札として生み出したレヴナントの『クイーン』が暴走し、人類とレヴナントは赤い霧の壁に閉じ込められてしまう。

吸血鬼なものだから血液、あるいはその代用品である「血涙」を摂取しないと堕鬼(ロスト)というモンスターに変貌してしまうが、赤い霧の中に閉じ込められているために、その血涙も量は捕れないし、ましてや残り少ない人間を襲って吸血するわけにもいかないと割と詰んでる状況だ。ちなみにコードヴェインの世界の人間はゲーム中でも少ないながらも存在していて、定期的な献血を義務付けられているようだ。レヴナントもレヴナントで、血涙を文字通り血税として政府に納めないといけない。世知辛い。

そんな中で記憶を失ったレヴナントの主人公が、道中で出会ったルイやヤクモと共に枯渇する血涙を確保するために、その源流を捜索するというのが大まかなゲームの導入だ。

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主人公達の拠点はこんな感じの雰囲気で、ジュークボックスやら酒類やらやけに娯楽用品が充実している。ヤクモの趣味らしい。


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温泉まである。吸血鬼でもお湯に浸かるのは大丈夫みたい。

そんな血みどろの世界で「記憶」をテーマの一つとして、ストーリーが綴られていく。定期的な血や血涙の摂取と心臓が破壊されない限り不死身のレヴナントだが、死んで蘇る度に記憶を少しずつ摩耗していく。登場人物の中には人間だった頃の自分の名前まで忘れてしまった者ものいる。

不死であるレヴナントにとって、記憶は自分が自分であることを認めるためのもの、すなわち人間性を保ち続けるための拠りどころなのだろう。

そしてその摩耗した記憶を結び直すことができるのは主人公だけだ。仲間の記憶の欠損を主人公が再び紡ぎ直すという形で、登場人物達が深堀りされていくのは、ハードコアなソウルライクであると同時にキャラクターも魅せたいコードヴェインにおいては画期的なシステみうだと思えた。

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ソウルライクのムーミン谷

バディを連れていけたり、マップ表示も可能だったり、死んでしまっても温泉に浸かることで落としたヘイズの半分だけ回収できたりといった救済措置が多く用意されていたりと、ダークソウルと比較しても難易度はわりかしぬるめだ。さすがにアクションに慣れていない人からうれば十分ハードコアだし、DLCや試練の塔のようなエンドコンテンツになるとかなりキツいけど。

ダークソウル経験者なら「ここに敵が隠れてるだろうなーほらやっぱりいたー」という場面も結構ある。経験が生きたな。

バランスもお世辞にも良好とは言えなくて、5種類ある武器がある中で両手剣が飛び抜けて強力だったり、バディの中でもヤクモとイオが群を抜いて優秀だったりする。(バランスに限っては元祖フロムも決して良好とは言えないけど)

マップもあるにはあるが、高低差が分かりづらい構造になっているので、ダンジョンの構造を立体的に把握しづらい。(無いよかマシだけど)

こんな具合であまりよろしくない点も数あるけど、ダークソウルのフォロワーゲームとしては良作だと思えた。

ぬる目の難易度も冒頭で前述した通り、ダークソウルに興味はあるけど世間のやや過剰な「難しい」という評判に手を出せずにいるようなライトなゲーマーにはちょうどいい塩梅だ。

ダークソウル経験者からしてもブラッドコードやバディといった本家とはまた違った切り口を楽しめたし、何よりキャラクター達が魅力的だった。

ダークソウルに折れた人や手を出せていない人にこそ、是非プレイして欲しいゲームです。石川界人ボイスや鳥海浩輔ボイスのキャラが励ましてくれるぞ。

世界中で100万本出荷されたことだし次回作も十分ありえると思うので、それも楽しみだ。

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