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クラウドの髭剃り跡までくっきりな世界観に対する圧倒的高解像度「FF7 remake」

クラウドも髭くらい剃るわな。21歳なんだし。

元よりPS版のオリジナルから賛否が色々あったと思うゲームだったけど、今回のリメイクにあたってその賛否が出そうな部分を更に尖らせてきたなーって感じられた。そんなわけでFF7 remake クリアしました。

オリジナルをプレイ済みであることを前提にしたストーリーラインと演出、なおかつ「運命の番人」こと原作至上主義者のフィーラーの存在だったりとオリジナルからの脱却をメタ的に明確にしている。そうなってくると気になるのはエアリスの去就なわけで。「ここから先はオリジナルとは違う展開になるよ」と明記されたものだから「エアリスが死ぬ死なない」という火種になるわけで。おそらくエアリスがこの後死のうが死ぬまいが、どっちにしろスクエニは燃えるぞ。良い意味でも悪い意味でも。でも、そういう盛り上がりもスクエニが狙ってやってるかもしれないね。

さて「この後の展開」と書いたけど、このFF7R、既にご存知かもしれないがミッドガル脱出までで一旦のエンディングを迎える。言葉を悪くすれば分割商法だ。とは言え、分割商法と一言で断じるには、あまりにボリューミーだ。どちらかと言うとあんまりにも作り込みすぎて、分割しなきゃいけなくなったかもしれない。物理ソフトだとブルーレイディスクがまさかの2枚組だし。こういうことするあたりも、最近のスクエニは尖ってるなって思えた。

世界に対する圧倒的な解像度の高さ

「ミッドガル脱出までしかやらないのに、ブルーレイ2枚って」という疑問も実際にプレイしてみれば納得のいくボリュームだった。

そのボリュームの正体は何か。作り込まれたグラフィックとマップもそうだけど、それらを下地にした世界に対する解像度の高さだ。

最序盤のガードスコーピオン戦から「これがFF7のリメイクじゃ!」とばかりに映画的演出とカメラワークを凄まじい勢いと圧でぶつけられる。スラムを出歩けば、そこに住む人々の明日の生活を心配したり神羅に対する愚痴をこぼしていたりと生々しい生活感を目の当たりにできる。

ストーリーの展開からオリジナルと比べて長い期間七番街スラムに居座ることににあるので、彼らの存在がだんだんと身近になってくる。

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驚いたのが列車の中でバレットに絡まれることでお馴染みの神羅社員のこのおっさん。あんたらスラム住まいかよ。スーツ姿がスラムに全然似合ってないな。課長クラスですらスラム住まいでなきゃ生活できないという超格差社会なのか。

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一方で父親が魔晄炉作業員のジェシーはプレートの上に実家があったので、ホワイトカラーではなく作業員や軍人みたいな現場要員に優先的にプレート上の社宅が割り当てられたりするのだろうか。

そんな具合でミッドガルの行政体制も気になるくらいに生活感というものが臭い立っていた。この後の展開を知っていると、少し気が重くもなる。

さて、ミッドガルといえば「腐ったピザ」とも揶揄されていた。オリジナルでは見下ろし視点だったため、「腐ったピザ」と言われてもいまいちピンとこなかったが、今回は三人称視点となったことで上を見上げることができるようになった。

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実際に空を見上げてもこんな光景だ。そりゃ腐ったピザともぼやきたくなるわな、という圧迫感や鬱屈感がある。

NPCではなく確かにミッドガルの住人達がいた

オリジナルのPS版では当時の技術的、容量的な面でやりたくてもやれなくて簡略化したりプレイヤーの想像に任せていたような演出やストーリーテイクも、今回の十分な技術とリソースで丁寧かつ濃厚に「行間」というものをこれでもかというぐらいに埋めている。

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ウォールマーケットの歓楽街ぶりやクラウド女装イベントの力の入れっぷりには笑えた。

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ピカピカな神羅本社ビルはトイレまでピカピカだったし、ゲームの中のイベントとして社内見学向けのPR用映像とかツアーまで作り込むか普通。

個人的には「行間を語り尽くす」ことがとても際立っていたのが七番街プレート崩落イベントだ。PS版では「なんか大変なことになってるみたいだけど、早くエアリス助けに行こうぜ」程度に冷めたものだった。というのも、PS版ではちょっと描写不足だったし、その影響も七番街に入れなくなった程度だ。それよりもエアリスが拉致されたことがショッキングだったし。

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だが今回はプレート崩落が如何にとんでもない大災害であるかまざまざと描いていて、その惨状を目の当たりにすることができる。

かつての姿の見る影もない七番街、途方に暮れる生き残った人々、プレート上から見下ろす崩落跡には少なからず感じるものがあったのは、今のこの現実の世界も常に災害の影が潜んでいることと無関係とは言えないかもしれない。

神羅本社侵入後もプレート崩落による事後処理のために、夜遅くまで奔走している神羅社員の一人一人の姿にも、いち社会人として共感みたいなものを抱かざるをえなかった。彼らに対しティファが「なんか安心した」とこぼしたように、会社と仕事に誇りを持ち、家族や友人を心配したりソファでくたびれ果てながら残業をしている。その社員達を守る兵士やソルジャーも然り、社長や上層部の人でなしぶりは置いといて、神羅という組織自体は敵であっても、そこにいたのはまぎれもなく一人の人間たちだった。

いなうなってしまうことがわかっていたり、背景に過ぎない人物達であってもFF7Rのミッドガルの人々には、それまで積み重ねてきた日々というものが確かにあった。

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