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「ペナンレストラン」の挑戦継続

マレーシア、ペナン。「美食の街」として人気の街です。
個人的な話ですみませんが、かれこれ35年前ほど、当時働いていた会社の業務で何回か出張しました。当時から歴史文化の香り高さが印象深かったのですが、2008年にジョージタウンがユネスコの世界遺産に登録されて以来、ますますお気に入りになっています。

さて、そんなペナンの「食」について。正直マレーシア料理はそれでも日本で専門店までは多くはないのですが、芝公園に「ペナンの料理」を謳ったレストランがあります。
まさに名前そのもの!「ペナンレストラン」

住所=東京都港区芝2-4-16 加藤ビル 1F
   都営三田線芝公園駅から東に徒歩5分
電話番号=03-3456-3239

青を基調とした外観で、海→港町ペナンを、まず連想させられます。

店内に一歩入ればすぐにそこはペナンの世界。ペナン出身のご夫婦に温かく誘導され、初めての訪問であっても、すぐに打ち解けて、気楽にオーダーができます。
その日はランチタイムに行ったので、ランチメニューを見せてもらいました。

うううんんん、困った。すべて頼みたい!こんな気持ちがペナンのフードコートで注文を迷うときの気持ちなのかもしれません。
「マスター、ラクサはできますか?ペナンに行ったときにラクサを食べてとても美味しかったのが忘れられないんです」
「アッサムラクサね。でもごめんね。今日はできない。材料の仕入れが難しいので、来る前に電話して」
「わかりました。今日はホッケンミーをください」

ホッケンミーが届きました。あれっ、シンガポールで食べたホッケンミーは焼きそばみたいだったけれど、ここのはスープなんだ。まずはスープを一口二口。うわっ、結構ピリリとくる。そういえばメニューにも唐辛子マークが二つ付いている。
「マスター、ペナンのホッケンミーはスープで結構辛いんですね」
「そうだよ、これがペナンの料理。うちは本場の味しか出さないから」
少しだけ汗が出てきました。しかし「病みつき」になるのは間違いなく、気が付いたらスープを全部飲み干していました。

「マスター、次はアッサムラクサ食べたいなあ」
「電話して」

言われる通りに後日、事前に電話をすると、「今日はできるよ」というお言葉。早速アッサムラクサを注文しました。

脳天にガツンとくる、というのはこういう状態なのかもしれません。電流が走ります。魚のダシはわかります。南国の果物の酸っぱさも感じます。でも、もっともっと複雑な味。
「マスター、このレンゲの黒いソースは何ですか?」
「それはね、蝦を発酵させたスープ。好みの量を入れて混ぜてね」
もちろん全量投入。しっかり混ぜていただきます。強烈なにおいはもう気になりません。

当たり前のようにスープを全量飲み干し、会計を済まそうとしたときに、4人グループのお客さんが来ました。
「チキンライスできますか?」
「ごめんね。今日はチキンライスの材料が無くなった。他はできるよ」
「じゃあまた来るわ」
後でマスターはつぶやきました。
「次の日に食材を残すとおいしくないからその日の量を決めるのがとても難しい。材料が揃わないこともよくあるし。そのためにお客さんに帰ってもらうのはすごく辛い・・」
聞けば、この味を出すためには食材で日本で手に入れるのが難しいものが多く、現地に帰って纏めて購入してくることも定期的にやるし、日本でも仕入れ先にいつも苦労しているそう。それでも「自分の求める本場の味を決して譲らない」
マスターの横顔にはそんな強固な信念が深く刻まれています。


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