大人の階段、降りる

まだコロナ禍の前のこと、
顔見知りの方と
名古屋市の中心部の高級なお店に
フラリと立ち寄った。

(まず、ひとりでは入りにくい)

江戸前の赤酢を使ったお寿司と日本酒の組み合わせが
口当たりがよく、つい、上機嫌になり、
自分のお気に入りの日本酒の銘柄を教え、
お店を出る際には、名刺まで渡してしまった。

すると、数日後、Kさんのオススメの日本酒を入荷したので
ぜひ、いらしてくださいと営業される。

術中にはまってしまった。

数日後、名古屋に用がある際に、お店に立ちより
お気に入りの酒と寿司を食べることとなる。

まだ、これくらいの距離感が良かった。

それから、なにかしら、おすすめの酒が入ったとかで
ちょくちょくお声がかかるようになる。

ある日、
お店の女将よりもスペックの高い男性の店員が働くようになった。

店員の正体は、ワインのソムリエで、専門学校でも講師をされているという。

そのときは、まだ違和感に気づかなかったのだが、
料理の調理中に、ソムリエ店員が女将に怒号を飛ばすのだ。

「バカ!まだ早い」とか「おい、こうだろう」って・・・。

おいおい落ち着かねえなあ。

と思いつつも、店を後にした。


また、数か月後に、
Kさん、お店にいらしてくださいと営業されてしまい、
また、名古屋に用事があるときに、店によるのだが、

相も変わらず、ソムリエ店員の怒号は変わらず・・・。


最初の一本はサッポロの黒生を飲んだ。

しっかり、どっしり。

本当にふつうに飲める。

いいビールだ。

サッポロって、
車ならスバル、バイクならカワサキってポジションだよなあ。

しかし、5分の1ほど残っているのに、
ひょいって瓶を取り上げて、

「新しいものに替えますね」。って
次は頼みもしないのにエビスビール。

サッポロなら、ドラフトかラガーでしょ。

エビスはなんちゃって高級ぶって飲む用でしょ。

ちょっとイラっときたけど、まあ、大人なので黙って飲む。

そして、また、5分の1ほど残っているのに、
ひょいって瓶を取り上げて、

Kさんにおすすめのお酒がありますよって

高い酒をすすめてくる。

酒も飲んでるけど、雰囲気にも飲まれてしまい、
すすめられるシャンパンを飲む。

すると、
「私たちもいただいてもいいですか?」
と、言うようになってしまった。

もう、これはイカン店のパターンだ。

客が、お店の人にどうぞって言って、
じゃあ、いただきますっていう構図だからこそ
成立するのに、ひょいって乗り越えられてしまった。

女将も飲むし、ソムリエ店員も飲む。

そして、お会計となり、バカ高いお勘定・・・。

「おいおい、通うほど高くなるね。こんな店、もう行かんわ!」

って言い残して、店を出た。

半年後、コロナ禍の災難にも遭い閉店したそう。

コロナの前から、経営はうまく行っていなかったのだろうな。

それで、テコ入れとして、ソムリエを連れてくれば
お店のグレードは上がるから本格的なお店になるだろうと思ったのだろう。

しかし、人件費も嵩んでしまったのだ。

商売は客数×客単価

客数が減ったら、客単価で取り返すつもりなのだ。

ましてや、おっさんしか来ないのに、
クオリティの高すぎるソムリエの蘊蓄は耳に入ってこない。

ましてや料理中に、店内で怒鳴るという。

コレジャナイ。

私のような素人は、適当に静かで落ち着いたお店で飲めれば、
雰囲気に飲まれてだませるんだけどな。

テレビ番組の格付けでも、安物でもけっこう

はめられることってよくあるし。


高い店だからいい店でもないし、

安い店でも落ち着ける店もある。


これに懲りて

名刺は仕事では出すけど、

飲食店では出さないようになった。



いろんな世界とリンクしましょう! Twitter @KAKOUTOMATO1 もフォローよろしくお願いします。